【CEATEC JAPAN 2009】
日産、iPhoneの試作アプリを使った「エコ運転」体験


エコ運転診断アプリ。リアルタイムでエコ運転度が表示される

 日産自動車は、エコ運転をゲーム感覚で楽しめるiPhone向けのエコ運転診断アプリ(プロトタイプ)を開発し、「CEATEC JAPAN 2009」の会場周辺を利用した体験デモを実施している。

 日産と横浜市は、「ヨコハマ モビリティ “プロジェクトZERO”」を展開しており、エコ運転の本格的な普及を目指す燃費競争ゲーム「E1グランプリ」を開始している。「E1グランプリは」では、燃費競争と自治体や運転教習所、日産の販売会社などで実施される「エコ運転診断」の2つの活動を行う。

 イベントでのデモは、この「エコ運転診断」をiPhoneを使って行い、「エコ運転」度を点数化、体験者同士で得点を競い合うもの。日産は将来的にアプリを世界に普及させ、世界中のユーザーと「E1グランプリ」で競い合えるようにしたい考え。

 説明員によれば、最近の自動車には燃費表示機能があるが、運転者が燃費効率の良い運転をしているかどうかはわからないという。iPhone向けのエコ運転アプリでは、車から詳細な走行データを受け取り、それをiPhoneアプリ側で計算し、エコ運転度を診断する。

 最近の車には、ディーラーなどが各自動車の車両データや走行データを確認できるよう、専用ポートが用意されている。これは日産車に限ったものではない。今回のデモでは、このポートに無線LANユニットを設置し、車両の走行データをiPhone側に転送、走行中、リアルタイムにエコ運転度を表示する。日産車を使って幕張メッセの外周を2周りし、最終的にその運転結果を得点表示する。

 車はアクセルを踏んだときに最も燃料を消費するため、ストップ&ゴーを繰り返すのは燃費効率が非常に悪い。説明員によれば、時速50km/hで走りたい場合は、40数km/h程度に達したところでアクセルを緩め、あとは惰性で50km/hに到達させると効率がいいという。ただし、アクセルを完全に離してしまうとエンジンブレーキがかかるため、目標時速に達した後はほんの少し踏むぐらいの気持ちがエコ運転に繋がるとのこと。なお、運転結果が100点満点だった場合、2割弱燃費が良くなるという。

 取材では、一般参加者が運転するデモに同乗させていただいた。運転中の加減速に合わせるように、iPhoneのリアルタイム表示のグラフが変化していった。1週目、一般参加者のデータは、5段階表示で加速度と減速度が満点、巡航速度は2となり、総合評価は2となった。この数値は100点満点の数値でも確認可能で、それぞれ加速度が100点、減速度が93点、巡航速度が63点の総合70点となった。この結果を踏まえて説明員は、なるべく一定の速度で走行するようアドバイス、すると2週目は総合86点と高得点を獲得した。

 なお、今回のアプリでiPhoneを採用したのは、世界中のユーザーが楽しく「エコ運転」できるようグローバル展開を考えているためだという。実用化については未定だが、走行データは同様の仕組みで国内外の車で取得できるとのこと。今回のアプリは日産の「CUBE」向けに開発されたもので、あらかじめ車重などが登録されている。メーカーを選ばず対応させるためには、こうした初期データの設定方法なども検討課題という。

1週目の結果詳細な数値で表示。巡航速度が低い
ハンドルの下に見えるケーブルが無線LANユニットに繋がっている説明

 



(津田 啓夢)

2009/10/9/ 15:52