【2012 International CES】
Snapdragon搭載のWindows 8も、クアルコムCEO基調講演


クアルコムCEOのポール・ジェイコブス氏

 現地時間の10日、「2012 International CES」の基調講演に米クアルコムCEOのポール・ジェイコブス氏が登壇した。

 ジェイコブス氏は、同社が2011年に研究開発費として30億ドルを投資したことを紹介し、そうした不断の努力でモバイルが進化し、その進化が世界に変革をもたらしたとする。モバイルサービスは先進国だけではなく、世界中に行き渡り、中国やインドといった国々では爆発的にユーザーが増えている。こうした状況をチップセット、通信技術といった面からクアルコムは支えており、同氏は学生や漁師など、一般的な人々のインタビュー映像を流して、モバイルサービスが世界のどこにおいても必須のサービスになったとあらためて紹介した。

 同社が提供する製品の1つ、Snapdragonに触れたジェイコブス氏は、クアルコムが培ってきたノウハウを活かし、バッテリー駆動時間などの課題に取り組んだ結果、これまでに300以上の機種で採用されたと紹介。また350以上のSnapdragon採用機種が開発されているだけでなく、Snapdragon S4シリーズでは、20の端末製造会社が70機種以上を開発中とのことで、先進国だけではなく、新興国にもそうした機種が続々と提供される状況になってきており、メーカーにとっては絶好の機会と指摘する。

ノキアのエロップ氏が登場

 Androidだけではなく、Windows Phone対応機種は全てSnapdragonを採用しているとのことで、ここでノキアCEOのステファン・エロップ氏がゲストとして登場。エロップ氏は、ローエンド寄りのWindows Phone端末「Lumia 710」を2月より米国T-Mobileでも提供する方針を示したほか、中国やインド、オーストラリアなどでも展開することを明らかにした。ノキアの強みとして「新興国だけではなく先進国も理解できる立場にある」ことを挙げたエロップ氏は、これまでノキアのシェアが伸びてこなかった北米市場への意欲を見せた。

 再び壇上に戻ったジェイコブス氏は、Snapdragonの最新製品「Snapdragon S4」を紹介。従来よりもレベルアップした性能を目指すと語った同氏は、「Snapdragon S4」ではモバイル機器にも関わらずホームシアターとして利用できるようなスペックを備えるとした。さらにWindows 8もサポートし、よりパワフルな製品になるとした。

Snapdragonの取り組みに関して、さまざまなメーカーのロゴが示されたSnapdragonで動作するWindows 8端末を操作するジェイコブス氏

 このほか基調講演では、医療分野や学習分野などにおけるクアルコムの取り組みも紹介された。

ハイスペックなSnapdragon S4をアピール

高解像度なゲーム。ゲームロフトのFPSでデモ

 クアルコムブースの多くでは、Snapdragon S4の性能をアピールする展示に場所が割かれている。

 高画質なゲーム、カメラを活用したジェスチャー操作、AR(拡張現実)技術を取り入れた「セサミストリート」のコンテンツ、カメラの手ブレ補正などだ。さらに5.1ch対応の動画撮影および再生をアピールするコーナーや、イントロクイズをスマートフォンで楽しめるコーナーも用意されている。楽曲を再生し、曲名を当てるイントロクイズは、2人でプレイし、その曲名が分かった時点で「わかった!(Got it!)」と叫ぶと、そのプレイヤーが解答権を得て、画面に表示された回答候補から正解を選ぶ。一見するとSnapdragonとは全く関係ないように思えるが、「わかった!」という声がどちらの方向から発されたのか、識別できる仕組みはSnapdragon S4に用意された機能だという。

ジェスチャー操作。滑らかに動作していた手ブレ補正
5.1chの体験コーナー。Snapdragon S4搭載の試作機で線路脇を撮影。左後方から鉄道が近づいてくるのがわかるイントロクイズ

 このほかクアルコムブースでは、同社開発のディスプレイ技術「mirasol(ミラソル)」を採用したAndroid端末として、韓国で発売されたモデルに加えて、中国で2月に発売される新機種を紹介。さらにクアルコムの子会社がMVNOとなって、Verizonのネットワークを利用するペット探索サービス「The Tagg Pet Tracker」のデモも行われた。

 いずれの展示も、ユーザーに親しみやすい内容となっており、“消費者向け製品”の見本市を標榜するCESならではの展示に仕上げられている。

2月に中国で発売されるmirasolディスプレイ搭載端末ペットの首に付ける
通信モジュールなどを備えるラスベガスを走るクアルコムのシャトルバスに装置を取り付け、リアルタイムで捕捉する様子を紹介




(関口 聖)

2012/1/11 15:00