【2012 International CES】
カシオブースで可視光通信のデモ、Bluetooth対応腕時計も


可視光通信をiPadでデモ。コンテンツを受け取ったところ

 「G-SHOCK PHONE」を展示していたカシオのブースでは、新技術としてスマートフォンと可視光通信のデモンストレーションが披露されている。

 携帯電話の無線通信、あるいは赤外線による通信などでは目に見えない電磁波が用いられている。一方、可視光通信とは、人間の目に見える光を使って通信するというもの。今回のデモでは、赤や緑など4色が交互に光る装置、あるいは同じようにスマートフォンやタブレットの一部を光らせて、その光をスマートフォンのカメラで捉えると、通信経由でコンテンツを取得できるというもの。コンテンツ取得の際には、位置情報も用いており、「この場所で、このパターンで光っている場合は、このコンテンツ」といった流れでデータをやり取りする。

 この仕組みの応用例として、ソーシャルサービスにおいてユーザー同士のプロフィール情報の交換、あるいは店頭に設置した装置を設営してクーポンなどを取得する、といったことが考えられるという。

タブレット側が発信元となる場合は、画面上に丸く、色が変わるマークが表示されるブース内、画面中央よりやや左のところに発光装置
デジタルサイネージでの利用を想定し、大画面にマークを表示

 カシオでは、業界団体が設立される2004年以前から研究開発を進めてきた。そうした研究開発の成果が、2012年初頭のこの時期に発表されたのは、スマートフォンの発達、クラウドの進展と、環境が整ってきたことがある。さらに、今回の可視光通信では、認識対象の光が4色で表現され、光源が目立つ形となっている。

 担当者によれば、もともとは室内や店頭などの照明を点滅させて情報を配信しようとして、その光源が点滅していることがわからないような仕組みを目指していた。ユーザーが意識せずに情報を得られる、という利用シーンを想定したものだが、そうした光源を認識するには、特殊かつ高価なカメラを用いることになり、ユーザー層の拡大が難しいと思われた。そこに「広告にとっては、ユーザーの注目を集める形のほうが望ましい」と開発者以外の視点に基づく意見が得られ、それまでの発想を逆転させて、目立つ形の可視光通信の開発が行われた。メーカーや機種によってカメラで認識する色合いが異なるため、そうした点も調整しながら、今回、来場者が操作できる状態での展示にこぎつけた。商用化は未定ながら、汎用的な製品を組み合わせて実現しており、導入コストも比較的安価に抑えやすいと見られる。ARなどと組み合わせることも可能で、今後に期待が持てる技術と言えそうだ。

 このほか同社ブースでは、Bluetooth Low Energy対応の腕時計「G-SHOCK GB-6900」が展示されていた。日本では3月に発売される予定で、同じくBluetooth Low Energy対応のスマートフォンと接続して、自動的に時刻を修正したり、スマートフォンへの通話着信・メール受信を通知したりできる。今回の展示でも、Bluetooth Low Energy対応の「MEDIAS PP」などと組み合わせて、その使い方が紹介されていた。

Bluetooth Low Energy対応のG-SHOCKMEDIS PPなどとあわせて展示

 




(関口 聖)

2012/1/11 17:52