【2014 INTERNATIONAL CES】

64bit CPU搭載「Tegra K1」発表、NVIDIAのフアンCEOが語る

 1月7日(現地時間)から米・ラスベガスで開催されるCESに合わせ、NVIDIAは5日、プレスカンファレンスを開催。Tegraシリーズの最新チップセットとなる、「Tegra K1」を発表した。

NVIDIAが発表した「Tegra K1」
プレゼンテーションは、CEOのジェン・スン・フアン氏が行った

 プレスカンファレンスでは、同社のCEOのジェン・スン・フアン氏が「ゲーム」「チップ」「カー(車)」という3つのテーマを掲げ、それぞれに沿った製品を紹介していった。Tegra K1は、この中のチップに当たるものだ。Tegra K1の発表に先立ち、フアン氏はTegraシリーズの歴史を振り返る。同氏が「Tegra 2は世界初のデュアルコア、Tegra 3は世界初のクアッドコアで、Tegra 4ではCPUパフォーマンスが2倍になった」というように、NVIDIAは、現在のスマートフォンやタブレットでは当たり前のマルチコア化を他社に先駆ける形で行ってきている。

フアン氏は、Tegraシリーズのこれまでの歩みを解説した

 一方で、新たに発表されたTegra K1は、「直線的ではない」(フアン氏)という進化をとげている。NVIDIAが「GeForce GTX 780 Ti」のGPUに採用したKeplerアーキテクチャーを採用し、GPUのコア数も192となる(Tegra 4は72のGPUを搭載していた)。

Tegra K1は、同社のグラフィックスカードにも採用されるKeplerアーキテクチャー

 Tegra K1のCPUには、2つのバージョンが存在する。1つが、従来のTegraシリーズにも採用されていた「ARM Cortex A15」で、こちらはクアッドコア、2.3GHz駆動。もう1つが、NVIDIAがカスタム設計した64bitのCPUで、これは「Denver」というプロジェクトネームで呼ばれていたものだ。こちらのバージョンは「ARMv8」を64bitにしており、デュアルコア、2.5GHz駆動となる。

CPUは32bitと64bitの2種類を用意した

 フアン氏はプレスカンファレンスで、Androidが動作するデモを行っており、「64bitのARMv8でAndroidを動かす、世界初のパフォーマンス」と自信をのぞかせた。フアン氏が紹介したベンチマークによると、Tegra K1は、同じ64bitのアーキテクチャーを採用しているアップルの「A7」(iPhone 5sやiPad Air、iPad mini with Retina Displayに搭載)と比べ、3倍弱のパフォーマンスを誇るという。

プレスカンファレンスでは、コンソールゲーム機や、アップルの「A7」をしのぐ性能を誇ることが示された

 このチップセットには、パソコンや「PlayStation 4」「XBox ONE」といったコンソールゲーム機用のタイトルにも採用される、「Unreal Engine 4」が対応することも明かされた。プレスカンファレンスでは、Androidタブレット上で動作するさまざまな映像が紹介されたが、フアン氏が「これは写真ではなく、リアルタイムにレンダリングされたものだ」と述べていたことが印象的だった。

パソコンやコンソールゲーム機で採用例の多い「Unreal Engine 4」に対応する
写真のようなクオリティの高い映像を、物理シミュレーションで作り出すことができる

 パソコンやコンソールゲーム機と同じエンジンが採用されたことによって、ゲームの開発者は、モバイル向けのタイトルも同じプロセスで開発できるようになる。こうした状況を指し、フアン氏は「今は(それぞれの)アーキテクチャーが異なるが、より多くのユーザーにタイトルを届けることができるようになる」と語った。

ゲーム開発者は、よりクオリティの高いゲームをモバイル向けにリリースでき、デバイスの溝を埋めることが可能になる

 Tegra K1を搭載した端末は、32bitのクアッドコアバージョンが2014年の上半期、64bitのデュアルコアバージョンが2014年の下半期に登場する予定だ。プレスカンファレンスの会場には、日本でも発売された「Tegra Note 7」に似た筐体のリファレンス端末が展示されており、実際にTegra K1上で動く映像などを確認することもできた。

会場には、Tegra K1を搭載したリファレンス端末が展示されており、実際にハイクオリティな映像が動く様子を確認できた。リファレンス端末は、日本でも昨年12月に発売された「Tegra Note 7」がベースになっているものと思われる

 このほか、NVIDIAのプレスカンファレンスでは、Tegra K1を車載用にカスタマイズした「Tegra K1 VCM」も発表されている。

車載用の「Tegra K1 VCM」も発表された

石野 純也