【2014 INTERNATIONAL CES】

CESで見かけたSFの実現を感じさせるヘッドマウントデバイス

さまざまなメーカーのヘッドマウントデバイスを並べた企画展示

 「2014 International CES」では、大小さまざまな企業が形状・コンセプト・機能が異なるさまざまなウェアラブルデバイスを出展している。ここでは目に付いた製品の中から、ウェアラブルカメラ以外のヘッドマウンドデバイスをピックアップし、簡単な説明とともに紹介する。

Vuzix

http://www.vuzix.co.jp/shop/item_detail?item_id=925952

M100。専用のヘッドバンドやメガネ型マウントなどで装着する

 Vuzixは昨年のCESでアワードを獲得した「M100 Smart Glasses」を展示している。これはAndroidベースのOSを搭載し、さまざまなアプリを単体で動作させられるスタンドアロン型デバイス。すでにアプリやソリューション開発者向けに出荷が開始されている。

 ディスプレイは単眼・非シースルー・フルカラーで、視野角15度、解像度はWQVGA(400×240ドット)。OSはAndroid 4.0をベースにしており、Wi-FiやBluetooth 4.0に対応。単体でもアプリを動作させられるが、スマートフォンをホストデバイスとして利用することも可能で、Androidと連携できる(iOSとの連携は開発中)。

 すでに開発者向けに出荷されている製品だけあって、ブースでは日本のメトロポリスが開発したQRコードリーダーや、NTTドコモが開発したAR翻訳システムを動作させるデモが行われていた。このM100は日本が2番目に売れているとのことで、ブースでは日本人の担当者がデモの説明をしていた。なお、M100は日本での無線機器としての認証を通っているとのこと。日本では、同社の日本オフィスが開発者向けに本体と開発キットのセットを14万7000円で販売している。

画面は視界の隅に見える
ディスプレイ部分にカメラも内蔵されている

Optinvent

http://optinvent.com

Optinvent(モックアップ)

 Optinventはシースルーディスプレイ搭載のメガネ型デバイス「ORA」を展示している。AndroidベースのOSを搭載し、単体で利用できるスタンドアロン型デバイスに分類される。3月に開発者向けモデルを出荷予定で、価格は949ドルもしくは699ユーロ。今年後半にはより小型化・低コスト化したコンシューマー向け製品の発売を予定している。展示ブースでのデモは、有線でWindowsパソコンから映像信号を送る形で行なわれていた。

 ディスプレイは単眼・シースルー・フルカラーで、視野角は24度、解像度はVGA(640×480ドット)。ディスプレイ部は板状のプリズムのようになっており、この部分の技術自体は日本企業のものだという。ディスプレイ部の位置は上下に移動可能で、視界の中央に置いてARに使ったり、視界の下に置いて情報を確認したりできる。本体の重量は70gで、調光レンズが付属するほか、手前に度付きレンズを装着することもできる。AndroidベースのOSを搭載し、アプリを追加して単体で利用できるが、BluetoothやWi-Fiでスマートフォンと連携することも想定されている。

装着した様子。内側に度付きレンズを付けている
小型化したコンシューマー向けモデルのデザインコンセプトモックアップ
ディスプレイ部のプリズム的ななにか
動作中のディスプレイ部

GlassUp

http://www.glassup.net

GlassUpディスプレイ部の技術実証実験機

 GlassUpは、現在開発中のデザインコンセプトやディスプレイの実証実験機を展示していた。GlassUpは自社サイトやクラウドファンディングのSeedrsで予約受付中で、自社サイトでの販売価格は標準モデルが299ドル、カメラ付きモデルもしくは度付きレンズモデルが399ドル、カメラ・度付きレンズモデルが499ドルとなっている。秋頃に出荷されるとしているが、ブースでは開発途中のディスプレイの技術デモが行われるにとどまっていた。

 GlassUpはスマートフォンと連携させるコンパニオン型デバイスとしてデザインされている。各種通知やナビ、ARなどの用途が想定されている。搭載OSは独自仕様で、Bluetoothでスマートフォンと連携する。加速度センサーや方位センサーを内蔵するが、GPSなどスマートフォン側に内蔵されていて、GlassUp側に必要ないデバイスは搭載しない。ディスプレイは単眼・シースルー・単色タイプで解像度はQVGA(視野角未公表)。フロントレンズに映像を直接投影する形式になっている。

GlassUpのデザインコンセプトモックアップ。テープで止めてある
GlassUpのポスター。クラウドファンディングで受注を開始しているが、デザインはまだ決まっていない

Topsky

http://www.ivsvideoglasses.com

W100を装着している様子

 安価なヘッドマウントディスプレイ製品を展開している香港のTopskyは、Android搭載のヘッドマウントデバイスを2機種、展示していた。ただし2機種のうち「Cloud-1」はデザインモックアップのみの展示で、もう一方の「W100」も取材時には電池切れで利用できなかった。

 W100は両眼・非シースルー・フルカラーのディスプレイを搭載する。視野角は45度で解像度は854×480ドット。装着中は外の景色が見えなくなるため、主にビデオなどのコンテンツを楽しむために利用する。3月に350ドル前後で発売される予定。

 Cloud-1は単眼・シースルー・フルカラーのディスプレイを搭載する。解像度は480×240ドット。こちらは装着しても視野が完全にふさがれることはなく、カメラも搭載していてAR的な用途も想定されている。5月に250ドル前後で発売される予定。

W100について
Cloud-1について

LUMUS

http://www.lumusvision.com

DK-40

 LUMUSはAndroid搭載のヘッドマウントデバイス「DK-40」を展示していた。コンシューマー向け製品とされているが、現在は開発者向けに提供している段階で、開発キットは6000ドルで販売されている。

 DK-40は単眼・シースルー・フルカラーのディスプレイを搭載。ディスプレイ解像度は640×480ドットで視野角は25度。全体で80gと軽量なのも特徴。Android 4.1.2を搭載し、各種センサーを内蔵。ほかのAndroid端末をリモコンとして利用できるようになっている。

 開発キットしか販売されていない段階だが、展示されていたのはケーブルなしで動くほぼ製品レベルのモデルで、顔を動かすと映像も動くというアプリのデモが行なわれていた。

Moverio BT-200

http://www.epson.com/cgi-bin/Store/jsp/Landing/moverio-bt-200-smart-glasses.do

BT-200

 エプソンはCES会期中に発表したヘッドマウントデバイス「Moverio BT-200」を展示している。BT-200はAndroidベースのOSを搭載するスタンドアロン型のデバイス。アメリカにおいて3月から699ドルで発売される。詳細は発表会の記事も参照されたい。発売が近い製品だけあって、製品版に近い、完成度の高いものが展示されていた。

 BT-200は両眼・シースルー・フルカラーのディスプレイを搭載する。解像度は960×540ドットで視野角は23度。ディスプレイ部とバッテリーやタッチパッドを内蔵する操作部が分離している。カメラや加速度センサなどのセンサを搭載し、AR用途や、映像コンテンツ、ゲームを楽しむ用途も想定している。2種類の濃さの色つきレンズが付属し、度付きレンズを装着するためのフレームが付属する。

絵をカメラで認識し、3Dキャラクタを表示させる試作ゲーム(バンダイナムコ製)のデモ
度付きレンズを固定するためのフレームが付属。ユーザーが眼鏡店などでレンズを作ってもらう形式

JVCケンウッド

JVCケンウッドの展示

 JVCケンウッドは同社のプロジェクター技術を応用したヘッドマウントディスプレイを参考出展している。これは販売が決まっている製品ではなく、主に業務用途向けの製品化を狙っている。

 ディスプレイは単眼・非シースルー・フルカラーで、解像度は1280×720ドットと高いのが特徴。ディスプレイ部とボックス型のコントローラーが分離している構造だが、AndroidなどのOSを搭載しているわけではなく、ワイヤレスでほかの機器と連携させて利用する。ディスプレイの解像度の高さと非シースルーによる見やすさを活かし、整備工場での整備マニュアルを表示するといった業務用途を想定している。技術的には表示部のミラーを交換するだけでシースルー表示にも対応できるという。同様のコンセプトの製品として、島津製作所がヘッドマウントディスプレイを販売していたが、そちらは昨年で販売を終了している。

「JVC KENWOOD」のロゴがついていたが、どのブランドで製品化するかは決まっていないとのこと
固定されたデバイスをのぞき込む形でのデモが行なわれていた

ソニー

実際に動作する展示モデル。ディスプレイ部がどこにあるかわからないくらい小さい

 ソニーは開発中のヘッドマウントディスプレイを参考出展している。こちらも販売が決まっている製品ではなく、ヘッドマウントディスプレイ技術の応用例を示すためのコンセプト展示となっている。

 ディスプレイは単眼・シースルー・単色になっていて、大型スクリーンに表示されるサッカーの試合に関する、各種データを表示するデモが行なわれていた。展示されていたデモ用のデバイスは、メガネのツルがない前面フレームだけの形状で、顔に当てて見るようになっていた。

緑色の文字などが浮き上がって表示される
実際には写真より広いエリアにわたって表示される

白根 雅彦