【CES 2016】

ソニー平井CEOが語るモバイル事業やXperia

北米など海外事業を再強化する可能性も

 「CES 2016」ではXperiaや、Xperiaに関連したサービスなどの発表がなかったソニー。昨年も、モバイル関連の新機種発表はスペイン・バルセロナで開催されるMobile World Congressに集約しており、その傾向は今年も変わらないようだ。一方で、ソニーのモバイル事業は、現在、構造改革が進捗中だ。年度内にはこれが終わり、新たなビジネスに向け、事業を強化していくフェーズに入る。

 CESで報道陣からの取材に応じたソニーのCEO、平井一夫氏が、その見通しや今後の展開を語った。また、平井氏はウェアラブルや新規事業創出プログラムについても、展望を話した。主な一問一答は、以下のとおりとなる。

CESでの発表には、モバイル関連製品はなく、テレビやオーディオが話題の中心だった。平井氏は、コモディティ化する製品ジャンルの中にもイノベーションがあると力説。こうした理念の説明に、多くの時間が割かれた
ソニー CEOの平井一夫氏

――モバイル事業の構造改革の進捗状況はどうか。また、今年はキャッシュバックの規制などが入り、ハイエンド端末が苦しい状況になるという見方もある中で、Xperiaをどのようにしていくのか。

 ソニーモバイルコミュニケーションズの構造改革は、今年度、大きいところは全部やる。今の段階では、予定通りの進捗とみている。

 日本の市場では、Xperiaは商品群としてかなり高くご評価いただいている。どういう環境になるのか。これは弊社でコントロールできるものではないが、ソニーらしさをどれだけアピールしていくか(が大事になる)。

 ややもすると、(デジタル製品は)コモディティ化の波に飲まれてしまう。そうでないところで、ソニーらしさを出した商品を作り、いかに環境に適用していくのかが重要。

――(構造改革の結果)Xperiaに関しては、北米で存在感がさらに下がっている。Zシリーズは「ベストオブソニー」という話もあったが、そのベストが存在感を示せていない北米は、ほかの製品にも影響があるのではないか。

 個々のキャリアとのお話はご勘弁いただきたいが、確かに十時(ソニーモバイル社長)がマネージメントになってから、そこは冷静に判断して、ビジネスベースに乗るところに集中している。全世界でマーケットシェアを取りに行くのではないという、方向転換を行い、北米は縮小している。中国もだ。

 ただし、これがずっといいと思っているわけではない。今は限られたリソースの中で、戦える市場で戦っている。日本がいい例だが、そこでは徹底的に戦い、マーケットも広げる。そして、確実に足元が強くなったところで、北米や中国に出ていく考えでいる。金輪際やらないということは全くない。

 スマートフォンはいろいろな機能が入っていて、それが凝縮されている商品。ベストオブソニーを語る中では、非常に重要。アメリカ市場で、ソニーとしてビジネスをする中でも、大事にしないといけない。

 また、スマートフォンの次に、どういう世界をモバイルで展開するのかも考えなければならない。それをするには、今の世代でもいろいろなノウハウを蓄積しないと、次にいけなくなる。そこも考えて、北米のマーケットも大事にしないといけないと考えている。

――オープンマーケットで戦うことはあるのか。

 地域や、機種によっては十分可能で、必要に応じてやっていくし、今もやっている。大々的にマーケティングしてというわけではないが、中国でも(縮小はしているが)ビジネス自体はしている。

――ソニーモバイルについて、第2、第3の構造改革はありえるのか。

 構造改革が金輪際ないのかというと、それはモバイルに限らず、全事業でありえること。それを常にやっていくのが、マネージメントの責任でもある。ただし、今、ソニーモバイルで進めている規模の大きな構造改革は、今年度でひと段落にしたい。

――米国での再開時期はいつか。

 時期がいつになるのか、今は情報をシェアする段階ではない。足元として、今年度のリストラをやり抜き、成長シナリオをどう描いていくのか。私は(成長フェーズに)入れると思っているが、その中で日本をどうするのか、北米をどうするのかというシナリオを作る。

――新興国についてはどうか。

 東南アジアに関しては、国によって違いはあるが、ビジネスはできている。Xperia Z5のような超プレミアムではなく、その1つ下で展開している地域もある。アジアは、ビジネスとして成長させていくのに、いい地域だと思っている。

――昨年はウェアラブルの展示が多かったが、今年は少ないように見える。縮小したイメージがある。

 ウェアラブルでも、すでにいろいろな商品群を出してきた。スマートコアという、ライフログアプリと合わせて使う商品の第1世代を出し、第2世代では脈拍が取れるようになっていて、商品的には着実に進化している。

 その中で、確かに、今回のCESでは、飛躍的に違う体験を提供できる商品は出展していない。やや華やかさに欠けたかもしれないが、ソニーモバイルでもウェアラブルはXperiaの重要な一部と認識している。これからも、ソニーモバイルを中心に、さらに市場を広げていかなければならない。

 また、ウェアラブルという観点ではSAP(新規事業創出プログラム)から出ている商品もあるし、IoT的な発展も考えられる。

――そのSAPについて、立ち上げ時からの変化や進展を教えてほしい。

 社内の話になってしまうが、SAPに対する注目度や参加率はどんどん上がってきている。オーディションをすると多くの案件が集まるし、第1回、第2回でダメだった方が、もう1回チャレンジしてくれるようにもなっている。

 ソニーのような大きい会社がこういうことを始めると、私がいち社員でもそうかもしれないが、「また、マネージメントがお祭り騒ぎをしている。どうせ3カ月もすると忘れてしまうだろう」と思われてしまう。ただ、私は頑固おやじなので、よくも悪くもやってしまう。

 実際にソニー不動産を作ったし、「wena wrist」(バンドにFeliCa内蔵の腕時計)にはクラウドファンディングとして、日本最高の1億円以上が集まった。今年度も、まだ発表には至っていないが、いいところまでできている商品群がある。これは、時期を見て発表する。(今回のCESでは)新しいものがなかったが、風呂敷を広げたあとですぐにやらなくなるというものではまったくない。

 最初に社内と言ったが、SAPでユニークなのは、社外の方を招いて一緒にやってもいいということにして、間口を広げている。これから、もっとおもしろい展開にできるのではないか。

(石野 純也)