【IFA2014】

IFAで見つけた気になるウェアラブルデバイスをまとめてレビュー

 IFA 2014では、さまざまな腕時計型のウェアラブルデバイスがお披露目された。そのIFAが終わらないうちに、長らく“iWatch”と呼ばれていたAppleのウェアラブルデバイスが「Apple Watch」として発表された。さまざまな憶測があった中、そのデザインはまさに腕時計。

 これでほぼ役者が出そろった感もあるスマートウォッチ市場。腕時計は長い歴史を重ねてきており、ステータスの一部としても扱われる製品。それゆえこだわりのある方からは否定的な声も聞こえてくるが、もしかするとこれが腕時計の新しい歴史が始まる“きっかけ”になるのではないだろうか。

 そんなわけで、ここではIFAの会場で触ることができた腕時計型のウェアラブルデバイスをまとめてみた。すでに記事でも取り上げられたものも、現段階での使用感や印象をご紹介したい。なお、今回はフィットネス系のリストバンドは省いている。

LG「G Watch R」

『LG、本物志向でラウンドディスプレイ採用の「G Watch R」を初披露』
http://k-tai.impress.co.jp/docs/event/ifa2014/20140905_665404.html

G Watch R

 Android Wareベースで、9軸加速度センサー、電子コンパス、ジャイロセンサー、心拍センサー、気圧計、IP67相当の防水/防塵性能を備える。メモリー512MB、ストレージ4GB、バッテリー410mAh。

 今回お披露目されたスマートウォッチの中で、一般来場者の興味をもっとも引いていると感じたのが、この「G Watch R」である。デザインはゴツめなので男性向けという印象。時計らしさが醸し出されており、バンドを交換することでスーツにも合わせられそうだ。

 ほとんどのデバイスはデモモードだったのだが、一部のデバイスに限って竜頭の長押しで時計のフェイスが変えられるようになっているのを確認した。やや小ぶりで白系のカラーバリエーションもあれば、フェイスとバンドの組み合わせで、女性でもカジュアルに持てなくはなさそうである。

時計らしいデザイン
いろんなフェイスが用意されているようだ

ASUS 「ZenWatch」

『ASUS、Android Wear搭載「ZenWatch」を発表』
http://k-tai.impress.co.jp/docs/event/ifa2014/20140904_665136.html

モデルの女性による着用イメージ

 Android Wareベースで、9軸加速度センサー、心拍センサー、リモートカメラ機能、電話ミュート機能、リラクゼーションレベルを確認できる機能などを備える。メモリー512MB、ストレージ4GB、バッテリーは369mAh、重さは75g。防水/防塵性能はIP55相当。

 動作はデモモードでの確認だったが、薄くて軽く、クラシックなデザインで好感が持てた。モデルの女性が装着していたが、大きいかなと思う程度で割と自然。四角いフェイスは背景が黒い場合は縁全体と馴染んで違和感がない。しかしメッセージなどが全画面表示されるととたんにイメージが変わってしまい、クラシックなデザインとのギャップが生まれてしまう点がやや残念。デバイス本体とAndroid Wareの世界観のマッチングは大変そうだ。

ZenWatch
控えめなボタン

SONY 「SmartWatch 3」「SmartBand Talk」

『ソニー「SmartWatch 3」がAndroid Wearとして登場、通話対応の「SmartBand Talk」も』
http://k-tai.impress.co.jp/docs/event/ifa2014/20140903_665052.html

SmartWatch 3
SmartBand Talk
アプリ「Lifelog」

 「SmartBand Talk」は曲面型E-Inkディスプレイが採用されており、情報の確認が可能になった。サイドボタン以外では画面を指で叩く、はじくといった刺激で操作できる。加速度センサーと高度計センサーにより、Fitbit Oneのように階段や登山時の測定も可能に。スマホの音楽のリモート操作やハンズフリー通話やボイスコマンドにも対応。バッテリー持続時間は約3日。Android4.4以降の端末で利用できる。

 プラットフォームがAndroid Wareの「SmartWatch 3」は、ストレージ4GB、バッテリーは420mAhで約2日間の利用が可能。Wi-FiとGPSを内蔵し、Android4.3以降の端末で利用できる。通話はできないが、コンテンツを転送できるため、スマートフォンがなくても楽しめる。

 いずれもIP68相当の防水/防塵性能を備え、Xperia以外の端末でも利用可能。アプリ「Lifelog」と同期することで、多彩なライフログの管理が可能になる。

 「SmartWatch 3」と「SmartBand Talk」は軽く装着感は悪くないが、「G Watch R」や「ZenWatch」がより時計を意識したデザインであるのに対して、どちらも材質が健康系やスポーツバンドよりのテイスト、という印象を持ちやすい。着せ替えは可能なのだが、最初にゴムバンド系のイメージが刷り込まれてしまうのはかなりもったいないかもしれない。

 また、「SmartBand Talk」でのライフブックマークが、アプリを呼び出してからの画面タップになって、手間が増えてしまった気がする。前モデルSWR10では画面を見ずにサイドボタンを押すだけで済んだので、これも少々もったいない。

SAMSUNG 「Gear S」

『「GALAXY Note 4」「GALAXY Note Edge」の特徴とは
「SAMSUNG UNPACKED EPISODE2」レポート』
http://k-tai.impress.co.jp/docs/event/ifa2014/20140904_665174.html

Gear S
Gear S(右)とGear Live(左)を比較
いろんなアプリが用意されている

 Gear LiveとGear 2ユーザーの筆者としては、とても気になっていた1品。プラットフォームはTizenベースで、本体にSIMカードを装着することができるという。IP67相当の防水/防塵性能に加速度センサー、ジャイロセンサー、電子コンパス、心拍センサー、紫外線センサー、気圧センサーなどを装備している。

 まず目にした最初の感想は「デカイ!」であった。持参したGear Liveも大きめだが、並べてみるとその大きさは際立っている。ラウンドしているのでフィット感はいいが重量感はある。スワロフスキーでデコレーションされたモデルも展示されていたが、さらに重たくなっていた。

 Gear 2の進化形デバイスで、機能的にはミニスマホといえるほど豊富。完全に単体でも楽しめそう。スマートフォンを忘れてしまったときでも安心できそうに思える。ただ、スマートフォンが大きくなったので、ちょっとした情報はスマートウォッチがあれば見やすいという流れだったかと思うが、そのスマートウォッチが大きくなってしまった。これはこれで見やすいが、この大きなデバイスとファブレットクラスの端末を同時に携帯するかと言われると悩ましい。

Meta Watch 「META M1」

『併催イベントでもスマホやスマートウォッチが出展
Windows Phoneやメディアテックチップ採用ウォッチも』
http://k-tai.impress.co.jp/docs/event/ifa2014/20140909_665747.html

 IFAの併設イベント「Showstoppers」で展示されていたのが「META M1」である。今年のCESでも展示されていたようだ。

META M1
Twitterからの情報を表示

 E-Inkを採用しており、1回の充電で5~7日間の利用が可能だという。ディスプレイの粗さには古さを感じるも、スマートフォンとBluetoothで連携し、フェイスをカスタマイズできるほか、さまざまなアプリの通知の表示、音楽プレーヤーの操作ができるといった今時の機能をサポートするなど、ギャップがユニーク。 Meta WatchはFossil Groupからのスピンアウトとのことで、これまで見たスマートウォッチの中では、最もガジェット感にあふれていた。

アプリでカスタマイズできる

COGITO 「COGITO CLASSIC」

『「ZeWatch2」や「COGITO」など、スマートウォッチ6モデルが国内販売』
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20140905_665395.html

COGITO CLASSIC

 アナログムーブメントの上に通知を重ねて表示するスタイルのスマートウォッチ。防水性能を備え、iOSやAndroid4.3以降の端末とBluetoothで接続。電話やメッセージ、メールなどの着信を通知できるほか、スマートフォンを探す、音楽プレーヤーやカメラのリモート操作、スマートフォンのバッテリーアラート機能などを備える。ボタン電池で駆動するため、再充電なしで数ヶ月の利用が可能。

 現在販売中の製品だが展示ブースでは操作可能な実機がなく、担当者も不在で動作確認はできなかったが、スポーティなデザインで、ベースがアナログという点が他に見られない特徴のようだ。通知もアイコンが中心なので、通知だけ分かればいいと割り切って使うにはよさそうだ。ボタン電池駆動なので、スマートフォンとの連携に飽きても普通に時計として長期間利用できる。

時計部分はアナログ
厚みがある

SONY 「SmartEyeglass」

 ブース担当者曰く「これからどうするか、まさに模索中」というデバイスが、ソニーブースに参考展示されていた「SmartEyeglass」だ。レンズに情報をホログラム投影できるというアイテムである。

 電子コンパスを内蔵しており、スマートフォンのGPSと連動することで、現在地周辺の情報がシンボルやテキストとして表示。顔認識機能も備えており、やや時間はかかるが、目の前に現れた人物の顔から名前などの情報を表示できた。このほかスマートフォン側のアプリには、Twitterから指定エリアの情報を絞り込んで、画像とともに表示できる「localive」や、料理中のレシピを順次表示できるアプリなども用意されていた。

 操作はケーブルで接続されたコントローラーで行う。レシピを見る際は、コントローラーの側面をなぞると表示が切り替わった。コントローラーが必要というのは調理にどうかと思うが、いずれレシピをのぞき込まなくて済むようになるならうれしい。ソーシャルサービスと連携することで、目の前にいる人物が誰か分かるようになったら助かる人も多そうだ。

 時計と同じく、眼鏡もまた人によって好みが大きく分かれるアイテム。ゆえに、この先どうなるのだろうという気はするが、未来を感じさせる一品だった。

SmartEyeglass
装着した状態
文字や図は緑色で投影され、風景と重ねて見られる

 Android Wearベースのモトローラ「Moto 360」の姿を会場で見ることはできなかったが、9月5日に米国で発売が開始されている。こちらもいかにも腕時計といった風情のデザインのようだ。筆者が会場を歩いた限りでは、いかにも時計らしいデザインのデバイスを手に取る来場者が多かったように思うが、果たして手首の一等地を確保するデバイスはあるだろうか。今後の展開が楽しみである。

すずまり