【Mobile Asia Congress 2011】
スマートフォンやLTEを解説するドコモ、ドライブネットも出展


 11月15日~16日にかけて、中国・香港で「Mobile Asia Congress」が開催された。初日にあたる15日には、「Creating a Connected World:Mobile Operator Strategies」と題したキーノートセッションに、NTTドコモの代表取締役社長、山田隆持氏が登壇。同社の戦略を解説した。また、Mobile Asia Congressの展示会場には、同社のブースも開設されているので、その様子も合わせてお伝えする。

代表取締役社長、山田隆持氏の講演

NTTドコモ 代表取締役社長 山田隆持氏

 講演の冒頭、山田氏は「記録的なペースで伸びている」と述べ、日本と世界におけるスマートフォンの普及予測を紹介。2015年の販売台数は、2011年の約3.5倍に上る見通しを示した。これに伴い、データトラフィックは「約25倍に増加する」という。市場の変化はドコモの収益にも反映されており、総ARPUに占めるデータARPUの割合が、急速に高くなっている。山田氏によると、2011年第2四半期には全体の54.1%がデータARPUで、この数値は米国Verizonや、韓国KT、欧州Vodafoneなどと比べても高いという。

世界各国と日本におけるスマートフォンの普及予測総ARPUに占めるデータARPUの割合。ドコモの数値は、世界の主要キャリアより高くなっている
決算期別の音声収入とデータ収入

 

 一方で山田氏は、「パラドックスもある」とし、トラフィックの増加に対して、収益の伸びが小さいこと指摘した。キャリアはスマートフォンやデータトラフィックの増加に対してどのようなアプローチを取るべきなのか。山田氏が示した解決策は、“スマートフォン上で提供するサービス”と、“ネットワークの効率化”だ。ドコモでは、まず「AndroidをメインのOSとして採用し、iモードのコンテンツを移植した」。spモードによって「キャリア認証・決済も提供している」という。これらに加えて「革新的なサービスを生み出す鍵」となるのが、クラウドだ。ドコモではパーソナルクラウドやビジネスクラウドのほか、ネットワーククラウドに取り組んでおり、その一例として先日日本で発表した「通訳電話サービス」を紹介した。


トラフィック増に比べて収益の伸びが小さいというパラドックスが生じているパラドックスの解決策を大きく2点紹介
ドコモの冬春モデルを紹介スマートフォン上で展開するドコモのサービス
dメニューやdマーケットの解説ドコモのクラウドサービス
パーソナルクラウドとネットワーククラウド

 

 ネットワークの効率化として挙げられたのが、「Xi」だ。Xiで利用するLTEには“高速”“大容量”“低遅延”という3つの特徴があり、「HSPAの3倍」という容量がトラフィック対策につながる。また、「1%のユーザーが、全トラフィックの30%を消費している」といい、この部分をコントロールすることも重要になる。山田氏は「3日で300万パケット以上使ったユーザーには、混雑時に制限をかけている」という通信規制の仕組みを紹介した上で、周波数の拡大や、Wi-Fi、フェムトセルを利用したオフロードの取り組みに言及。このほか、「スーパーヘビーユーザーだけを制限できるプラン」として、1カ月7GBを超えた場合、速度を128Kbpsに落とすか追加で料金を支払うかを選択できる、Xiの料金体系を解説した。


データトラフィックの増大に対する解決策LTEの特徴とXiの概要
Xiのエリア展開や人口カバー率の目標Xi対応端末のラインナップ
ヘビーユーザー規制の解説フェムトセルやWi-Fiを利用したデータオフロード
7GBの制限を設けたXiの料金プラン

 

ドライブネットを展示するドコモブース

報道陣や通信関係者でにぎわうドコモブース

 Mobile Asia Congressのドコモブースには、「ドコモ ドライブネット」が出展されていた。

 ドライブネットとは、スマートフォン向けのカーナビゲーションサービスのこと。月額315円で利用でき、最新の地図や渋滞情報などは、通信経由で取得する仕組みだ。車載用GSP、加速度センサー、ジャイロセンサーのデータと連動させるためのクレードルも発売されている。ブースではこれら既存サービスの紹介に加え、製品化されていない法人向けのソリューションも展示されていた。このシステムは運送業や営業などへの応用が想定されており、オペレーションセンターでドライバーの位置情報や状況を把握できる仕様になっている。端末側にも走行ルートが表示される仕組みだ。ブースの解説員によると、「海外への展開もにらんで、出展した」といい、端末の地図も香港のものになっていた。


「ドコモ ドライブネット」を実機で展示ドライブネットを応用した、法人向けのソリューション
オペレーションセンターで、端末の位置などを表示できる

 

 




(石野 純也)

2011/11/17 11:00