【mobidec 2009】
ドコモ原田氏が語る「iモード」の現状


 25日、都内で携帯コンテンツプロバイダ向けイベント「mobidec 2009」が開催された。午前中には主要キャリア関係者による特別講演が行われ、トップバッターとしてNTTドコモ コンシューマサービス部 コンテンツ担当部長の原田由佳氏が登壇。「~パーソナルツールを目指して~iモードの取り組み」と題して講演を行った。

iモード、直近の状況

ドコモ原田氏
iメニューPV

 原田氏は、新機種での取り組みやiモードの状況などの説明からスタートした。11月10日に発表された新機種群では、さまざまな特徴を持った機種がラインナップされているが、コンテンツ面では、プリインストールのデコメ絵文字を拡充し、STYLEシリーズ向けには無料デコメ素材サイトを提供している。ゲームコンテンツでは、「ドラゴンクエストIII」が好調とのことで、11月19日にサイトがオープンし、新機種が翌20日に発売され、現在まで1週間も経っていない状況ながら有料ダウンロードが10万件ほどに達したという。

 iモードのトップページである「iメニュー(iMenu)」は、2009年5月にリニューアルし、iモードボタンですぐアクセスできるようになったり、「マイニュース」といった機能が追加されたりするなど、刷新が図られた。2007年4月以降、1日あたりのページビュー(PV)は1000万強で微増してきたが、リニューアルした頃から右肩上がりでPVが増加し、現在では1日80万PVのペースで成長。1日あたりの「iメニュー」PVは2000万に達するまでに成長している。

 「iメニュー」からアクセスできる各ジャンルでは、週刊iガイドのPVが2009年5月ごろより伸びて、他ジャンルを抜いた。全体的には横ばいが続きいているものの、原田氏は「リコメンド(週刊iガイド)が少しずつ伸びている。動画も一時BeeTVで伸びた」などと語り、堅調に推移しているとした。iメニュー上に用意された検索機能の利用状況も明らかにされ、2007年秋から比べると利用状況は約4倍、1年前と比べると倍となった。原田氏は「利用が減少している着信メロディに検索機能を導入したところ減少傾向に歯止めがかかった。全体的に検索の利用が増えているのは明らか。ショッピングジャンルについては今後、各社から話を聞きたい」と語り、検索機能の利用が進んでいることを示した。

 コンテンツ利用の土台とも言えるパケット通信定額制サービスを利用するユーザーの割合については、年齢別でデータが示された。高校生以下~大学生での利用率は9割に達し、ほとんど全員が定額制を利用する一方、30代以上は徐々に利用率が下がっている。ただ、過去1年の定額制ユーザーを年齢別に見ると、40代での利用が拡大しつつあるとのことで、「30代、40代は(定額制やコンテンツを利用してもらうには)ハードルが高い層ではないと思う。このあたりをコンテンツで引きつけたい」と今後の目標を掲げた。

冬モデルのSTYLEシリーズにはデコメ素材を無料配信するサイトもジャンルごとのアクセス推移

 このほか、iメニューやメニューリストからコンテンツへの誘導をはかった際の効果なども明らかにされた。たとえばメニューリスト内に設けられたリコメンド枠にデコメ絵文字サイトが掲載されたところ、PVは通常の5倍、入会は通常の3倍という効果があったという。

iメニュー検索機能の利用動向定額サービスユーザーの内訳
リコメンド枠からの誘導事例iモード市場規模は月間228億円

 

通販の事例、メロディコールに新施策

ニッセンの事例を紹介
メロディコールで試用機能を導入

 10月時点でのiモードユーザーが約4876万人、コンテンツプロバイダーは約3400社、1万9000サイトにのぼる中、有料コンテンツの傾向としては、月間の売上高は約228億円という規模に成長している。通販サイトも順調で、具体的な事例として紹介されたニッセンの場合、2008年度の携帯向けサービスでの売上高は147億円に達している。この売上高は、原田氏が「かなり凄い」と表現するほどで、その背景として、カタログからの誘導や携帯向けサービス限定商品のラインナップを用意するほか、在庫などを通知するメールサービス、iチャネル/iコンシェルの活用など、さまざまな施策を採っていることが紹介された。原田氏は「占いで遊ぶと、その結果画面で“この香水がオススメ”と紹介するなど、コンテンツと通販をからめている。若い人は(占いなどに)弱いし、携帯電話は気軽に購入できるツールではないか」と説明した。

 メロディコールについても触れた原田氏は、売上高が月額6億5000万円に達しながらも過去1年はやや成長が鈍化したとして、来年2月には「お試し楽曲」と呼ぶ機能を導入してテコ入れを図る。これはユーザーがメロディコール用に設定した楽曲の使用料を設定当月のみ無料とするもの。当月内に解除すれば利用料は発生せず、翌月へ繰り越せば課金が発生する。「とりあえず試してみよう」と設定したまま、解除の手続きをうっかり忘れてしまうと、そのまま課金されてしまうというものだが、原田氏は「メロディコールユーザーは男性が多い。女性のほうがカスタマイズ系サービスの利用動向が高いことを考えると、伸びる余地は大いにある。メロディコールユーザーは1000万弱ほどいるが、有料コンテンツを設定しているのは1/3くらい」などと説明し、試用サービスを通じて、メロディコール市場拡大を進める意向を示した。

 このほか、人気のコンテンツとして、女性ユーザーに受けているという恋愛ゲーム、アーティストの素材なども登場してきた「きせかえツール」、マクドナルドやぐるなびなどで人気のグルメジャンル、ユーザー数やサイト数が順調に増えているというヘルスケア/美容ジャンルなどが紹介された。

 

iコンシェルは250万契約、認知率は7割

 ドコモが2008年冬モデルで導入した行動支援サービス「iコンシェル」は、スタートから1年を経て、契約数が250万件に達した。新規契約などの手続きを行う際のiコンシェル加入率は、半年前の時点で44%だったが、現在では63%となった。またiコンシェルの認知率は約70%となった。ユーザー層はiモード全体とほぼ同じ傾向とのことで、性別で見ると6割が男性、年齢別に見ると30代以下のユーザーが全体の約7割になる。対応コンテンツも450種類を数え、ユーザーの月間コンテンツ取得数は604万件(2009年10月時点)となっている。新しいiコンシェル向けコンテンツを紹介するポータルサイトのPVは、2008年11月末時点で329万だったが、2009年10月末時点では2820万となった。

iコンシェル契約数iコンシェルユーザーの属性
コンテンツ取得件数は604万件ポータルへの誘導も好調

 原田氏が示した、ある占いサイトでの事例を見ると、お試しマイメニューを使ったユーザー入会率を「1」としたとき、同サイトでiコンシェルを導入してお試しマイメニューへ誘導するようにしたところ、ユーザー入会率は「2.25」に伸びた。

 2009年冬モデルで、自動的にユーザーの現在地を測位する「オートGPS」が導入され、iコンシェルでも活用できることに触れた原田氏は「たとえばテレビ番組情報をiコンシェルのスケジュールに登録していたりすれば、ユーザーの趣向が把握でき、そういった方に適したコンテンツを提供できる。個人の趣向をきちんと把握するには、ユーザーから預かっている情報はまだ足りないが、位置情報を手始めに、一歩、二歩と進めていきたい。携帯電話がパーソナルツールになっていくと、ニッチなジャンル、地元密着の店舗情報などへのニーズが高まる。今後、新規サイトを立ち上げる際には、そういった点も踏まえて展開することも考えてほしい」と、コンテンツ関連事業者がほとんどと見られる聴衆に呼びかけた。

占いサイトでは会員獲得率が倍以上に「iモードポータル」「各社のコンテンツ」「携帯電話端末」「(課金など)プラットフォーム」でユーザーにリーチ

 最後に同氏は、「iモードポータル」「各社のコンテンツ」「携帯電話端末」「(課金など)プラットフォーム」がユーザーへリーチできる部分として、「パソコンで楽しんだコンテンツの続きをケータイで、といった仕組みも作りたい。iモードのメディア価値を拡げ、マスメディアとの連動を増やし、活性化に繋げたい。(iモード10周年を迎えた今年)、今後の10年に向けて踏み出したが、よろしくお願いします」と今後の発展に注力し、コンテンツプロバイダへアピールした。

 

(関口 聖)

2009/11/25/ 15:15