【mobidec 2011】
グリー田中社長、会員数10億人が目標の成長戦略を語る


グリー 代表取締役社長の田中良和氏

 「mobidec 2011」の基調講演では、グリー 代表取締役社長の田中良和氏が登壇し、「ソーシャルビジネスのモバイル戦略」と題した講演を行った。

 ソーシャルゲームを大々的に展開している同社だが、冒頭では「モバイルのSNSは市場としてもう飽和しているのではないかという声もあるが」とした上で、直近の四半期の業績が伸びている様子を示し、「まだまだ成長力が存分にあることを指し示している。海外展開を進める中で、端末や通信環境などの違いを懸念されるが、それよりも重要なのはサービス。日本では、料金体系が変わったわけではないのに月次で1.5倍ぐらいの伸び。サービスを良くすることで伸びる」と、サービス内容に注力することが規模を拡大させているとした。

 海外企業を買収するなどして世界規模で会員数を拡大しているグリーだが、現在の会員数は全世界で1億5544万人。欧米、アジアで伸びているが、「ビジネスとしては、ほとんどの売上は日本」という。田中氏は、「利益は日本から出ている。日本のユーザー数は2割程度(17.8%)だが、今ぐらいの事業規模になる。日本以外の国で、日本と同じような売上が出れば、売上は5倍になってもおかしくはない」と、海外市場が売上の面でも大きな伸びしろがあるとする。

 同氏はここで、「お騒がせしているが」と触れながら、「公正な競争環境での成長」というテーマで、ディー・エヌ・エーに対し損害賠償請求訴訟を提起している状況や、「コピー製品ではないか」とする「釣り★スタ訴訟」を紹介し、「違法な行為は第三者を通じて損害を回復する」と、独占禁止法や著作権に配慮した公正な競争環境を推進していく考えを示した。

 同社が積極的に進める海外展開については、SNS、プラットフォーム、ゲームタイトルのすべてを扱う同社が「ユニークで、世界に通じると思っている」としたほか、「5年後、10年後はどうなるか。スマートフォンの出荷数に対し、パソコンは微々たるものになっているだろう。一般ユーザーにとっては、コンピューターといえばパソコンではなくスマートフォンという時代が来る。そういう時代にどういったことができるのかと考えて、ビジネスをしている」とスマートフォンが中心になるとした。

 現在は、世界中にオフィスを設立している最中とのことで、「グローバルビジネスを展開するというのは、単に英語版を作るということではない。オフィスオペレーションもグローバル化する。5億、10億を目指しており、それに必要なグローバルオペレーションを整えていく」と語り、現地の文化や法制度なども含めて国際的な展開を図っていくとした。

 足元のスマートフォン向けの展開状況については、ARPUがフィーチャーフォンとスマートフォンでかわらないレベルにきているとのことで、「ガラケービジネスが消滅したとしても、事業上は問題ないという進め方をしている」とスマートフォンにシフトしている様子を語った。また、広告分野にも参入しており、多面的に展開している様子が語られた。

 同社では日本で提供しているタイトルをアメリカでもすぐに展開できるよう、アメリカの企業を買収してアーキテクチャの統合を進めており、「我々のゲームを全世界で展開する」としたほか、世界中のキャリアやメーカーと提携などの話し合いを進めていることも明らかにされた。

 今後の目標については、「10億人が利用するサービスをつくる」という目標が掲げられた。「Facebookは7億人だが、5年後、10年後がどうなるのかを考えている。現在でもFacebook、Twitterなど、数億人に使われるサービスが数年で表れる。スマートフォンが爆発的に普及すれば、さらに多くのユーザーがサービスを使うようになる。5年後、10年後では、数千万人規模のサービスはショボイということになる。実際に今でも中国では数千万人規模のサービスがゴロゴロある。これからそういう時代がくる。世界を代表するサービスを作っていくと考えるなら、こういう目線で考えないと、作り得ない。新しいスマートフォンの時代に、こういう(10億人規模の)サービスを作り、日本から誕生した会社でも全世界に通じるサービスは作れると自ら証明したい。実例をもって世界の人に示していきたい」と、田中氏は世界を代表するサービスに拡大していく意気込みを語り、講演を締めくくった。


 




(太田 亮三)

2011/11/25 15:27