【Mobile World Congress 2011】
ケータイの未来を語るソフトバンクの孫正義氏


ソフトバンク、代表取締役兼CEO、孫正義氏

 16日(現地時間)にMobile World Congressで開催された「Evolution of the Mobile Internet」と題するキーノートセッションに、ソフトバンクの代表取締役兼CEOの孫正義氏が登壇し、ケータイ業界の未来や同社の戦略を話した。

 セッションの冒頭、孫氏は「みんなが私のことをクレイジーだと言うが、その批判は受け止めている」と語り、出席者の笑いを誘った。同氏によると、世界のキャリアは「頭痛の種」を抱えているという。2010年の契約者数は全体で54億を超え、2015年には74億にまで成長。契約率は100%に達する見込みだ。一方で、世界では音声ARPUの低下が著しく「5年間で42%も下がった」そうだ。

世界の総契約者の見通し世界のARPUは下降トレンド

 このデータを元に、孫氏はシンプルな計算式を提示。「契約者は1.5倍になるがARPUが1/1.5になり、成長はゼロ」と語った。「データトラフィックは5年で30倍、10年で30×30倍になり、設備投資はどんどん増えていく」のに加え、「アップルやグーグルといったプラットフォーム運営企業が上澄みをすべて奪っていく。キャリアは土管化してしまう」と、世界各国のキャリアは厳しい現実に直面している。

契約者は増えるがARPUが減り、成長がストップするデータトラフィックは乗数的に増加
プラットフォーム事業者の力が増し、土管化が進む

 これに対する解決策は2つ。「シェアを取ってデータARPUを上げる」ことだ。孫氏はまずVodafone時代からの純増数をグラフで示し、「ソフトバンクになってから一気にユーザーが増えた」と語った。一方のARPUに関しては「データARPUの増加が音声ARPUの減少を補うようになり、トータルでは上昇に転じた」とし、モバイルインターネットカンパニーへの転身が重要であると力説。「ここにあなたたちの未来を見ることができる」と、世界各国のキャリアにエールを送った。

シェアとARPUを上げ、市場価値を向上させる孫氏が「大好きだ」という純増数のグラフ
ソフトバンクの音声ARPUとデータARPUEBITもソフトバンクになり上昇している
ソフトバンクの3Gユーザー比率は100%となるARPUに占めるデータ比率の高さは世界NO.1とのこと

 モバイルインターネットカンパニーの一例として、孫氏はソフトバンク社内におけるiPhone、iPad、Wi-Fi、Twitterの普及率を披露。「フォロワーは80万人を超え、日本の元首相以上」と話すと、会場は大きな笑いのうずに包まれた。また、日本でスマートフォン市場が急成長していることにも言及し、「先月と今月で、高校生、大学生の85%がスマートフォンを選んでいる」というデータを公開した。このほか、スピーチでは、先日出資を発表した中国のオンラインTVサービス「PPTV」を紹介している。

ソフトバンク社内におけるiPhone、iPad、Wi-Fi、Twitterの浸透率鳩山元首相を超えるフォロワー数をアピールし笑いを誘った
高校生、大学生のスマートフォン選択率を披露先日出資を発表した中国のオンラインTV「PPTV」を紹介

 



(石野 純也)

2011/2/17 10:52