【Mobile World Congress 2012】
Huawei、世界最速を謳うクアッドコアスマートフォン発表


1.5GHzのクアッドコアCPUを搭載する「Ascend D quad」

 Huaweiは、スペインのバルセロナで開催される「Mobile World Congress 2012」(MWC)に先立ち、バルセロナにて同社主催による端末発表会を開催した。クアッドコアで1.5GHz駆動のCPUを装備したAndroid 4.0搭載のスマートフォンなど3機種が発表され、日本市場に投入されることにも触れられた。また、展示会場では1.5GHz駆動でクアッドコアCPUを搭載し、フルHDパネルを装備するタブレット端末も披露された。

 MWCの開催前日は近年、端末メーカー主催の発表会が集中する傾向にある。2011年はサムスンとソニー・エリクソンが発表会を開催し最新モデルを発表している。今年はファーウェイ、ソニー・モバイル(ソニー・エリクソン)、HTCと、実に3社が同日にそれぞれ発表会を実施した。一方、グローバル市場で大きなシェアを占めるサムスンは近年続けてきたMWC前日の発表会を行わないなど、MWCを契機としたPR戦略にも各社の思惑の違いが透けて見える格好となっている。

 MWC“前日発表組”のトップバッターとなったのは、中国メーカーの中でも勢いのあるHuawei(ファーウェイ)。同社のAndroidスマートフォンのラインナップの中でもトップエンドにあたる「Ascend D(Diamond)」シリーズの最新モデルが発表された。

 新たに発表されたのは、1.5GHz駆動のクアッドコアCPUを搭載し、世界最速を謳う「Ascend D quad」。これに、バッテリーを大容量にした「Ascend D quad XL」、CPUをダウングレードした「Ascend D1」も新たにラインアップする。さらに、クアッドコアCPU搭載でフルHDパネルを装備したタブレット「MediaPad 10 FHD」も披露された。

 

「Ascend D quad」

 「Ascend D quad」は、1.5GHz駆動(1.2GHz駆動版もあり)で、独自に開発したクアッドコアCPU「K3V2」を搭載。チップセットも独自に開発されたほか、GPUは16コアを搭載する。メモリも高速化を念頭に64bitをサポートしている。


 

 4.5インチ、1280×720ドットのCrystal Clear Displayは直射日光下でも綺麗に見られる性能を誇り、画面の密度は330ppiに達する。また、表示色は32bitに対応するとしている。狭額縁の本体は可能な限りコンパクトにデザインされ、幅64mm、薄さ8.9mmを実現している。

 ドルビーデジタルやドルビーの5.1ch サラウンドに対応し、ノイズキャンセリング技術を搭載した通話機能が用意される。ユーザーインターフェイスはAndroid 4.0に準拠したものとなるが、一部はHuawei独自のカスタマイズが加えられる。また、同社独自のアルゴリズムを導入した省電力が技術が搭載されており、従来比で約30%の省電力を実現しているという。

 カメラは800万画素で、裏面照射型CMOSセンサーを搭載。フロントカメラは130万画素となっている。カメラは1080pの動画を撮影することも可能。

 通常版となる「Ascend D quad」では、内蔵のバッテリーは1800mAh。同社では、平均的な使い方で1~2日間使用できるとする。重さは約130g。

 「Ascend D quad XL」は2500mAhのバッテリーを搭載し、平均的な使い方で2~3日間の使用できるとする。端末の厚さは10.9mmとなる。

 「Ascend D1」は、CPUをクアッドコアではなくデュアルコア(1.5GHz駆動)としたモデル。こちらは1670mAhnバッテリーが搭載される。

 なお、「Ascend D1」はLTEへの対応が表明されたほか、中国や北米などとあわせて日本市場に投入されることも明らかにされた。グローバル市場での発売時期は、「Ascend D1」が2012年4月、「Ascend D quad」が2012年第2四半期になる見込み。


 

「MediaPad 10 FHD」

 発表会では詳細な解説が行われなかったものの、新モデルとして案内されたのが、1.5GHz駆動でクアッドコアCPUを搭載し、10.1インチのディスプレイを装備するAndroid 4.0のタブレット「MediaPad 10 FHD」。このタブレットはディスプレイ解像度が1920×1080ドットで、フルHD表示が可能なディスプレイを搭載するのも特徴で、薄さは8.8mmと薄型に仕上げられている。グローバル市場で、2012年第2四半期に発売される見込み。


「MediaPad 10 FHD」、1.5GHzのクアッドコアCPUに10.1インチのフルHDパネルを搭載する

 

「Ascend D quad」は“世界最速”、ライバルと比較も

Huawei DeviceのChairman、Richard Yu氏

 26日に行われた発表会では、Huawei DeviceのChairman、Richard Yu氏が登壇した。Yu氏は、今回発表した「Ascend D(Diamond)」シリーズが、「CES 2012」で発表した「Ascend P(Platinum)」のさらに上位に位置づけられるラインナップであることを紹介。クアッドコアで1.5GHz駆動な点や、64bit対応メモリ、16コアのGPUなどにより“世界最速”を謳う。

 同氏からは、クアッドコアCPU(1.4GHz)の「Tegra 3」を搭載するASUSの「EeePad TF201」、およびデュアルコアCPU(1.2GHz)を搭載するサムスン製の「GALAXY NEXUS」とのベンチマーク比較の結果も示された。「Quadrant Advanced」「Antutu Benchmark」「Coremark」などのベンチマークではいずれも「Ascend D」が勝る結果になっており、画面操作やギャラリーの表示といった日常的な使い方でも、従来と比較して49%高速化されているとした。同氏はさらに、16コアのGPUについても、ベンチマーク結果で前述の2機種を上回っているとアピールした。

 ノイズキャンセリング技術についても、騒音環境下でも通話できる耐性をアピールし、こちらは「iPhone 4」や「GALAXY NEXUS」と比較して、「クラブや街中でもクリアだ」と優位性を訴えた。

 Yu氏は「この端末が世界で一番速い」と世界最速を強調。同時にLTEへの対応や日本を含むグローバル市場で幅広く展開していく方針を示すなど、同社の力強い姿勢をアピールした。


プレゼンテーション

 




(太田 亮三)

2012/2/27 08:38