【Mobile World Congress 2012】
ZTEのLuo氏、スマートフォンの拡大戦略を語る


 近年、スマートフォン市場の拡大とともに勢いを増しているのが、中国の端末メーカーだ。「Mobile World Congress 2012」においては、MWC自体への協賛や端末発表会、バルセロナ市内の広告なども含めて、さまざまな場所でその勢いを感じることができる。

 そうした中国メーカーの中で、Huaweiと並んで注目されるのがZTEだろう。日本では比較的ローコストな端末を供給し、ボリュームゾーンを狙う戦略に留まっているが、グローバル市場においては、今回のMWCでハイエンドモデルを発表、ラインナップの本格的な展開の準備が整った格好だ。

 MWCの会場にて、ZTE Vice President General Manager Operation Dept.1 Handset Products DivisionのZhongsheng Luo(羅 忠生)氏に、ラウンドテーブルという形で話を伺う機会を得た。


ZTE Vice PresidentのZhongsheng Luo(羅 忠生)氏

 

LTEで「同じスタートライン」に

 同社はMWCにて「Tegra 3」搭載のスマートフォンをはじめ、タブレットなどもハイエンドなモデルをラインナップに加えているが、これまで主力としてきたのは、中~下位のモデル。戦略面での変化を聞くと、Luo氏は「(ハイエンドへの)シフトではなく、カバー」とその意図を示す。トレンドをフォローする端末を必要とする一方で、技術を発達させる経過が必要とのことで、「我々のハイエンドの端末はまだ初心者の段階。提案し、いろんなラインナップを揃えたい」と語る。

 市場でのポジションという意味では、こうしたハイエンドモデルが受け入れられるには「ある程度のシェアを確保しなければならない」とのことで、過去3~5年は、安価で数を出荷する戦略をとってきたという。「ハイエンドモデル、ブランド力、技術力もアップしなければならいない。世界的にもそういうフェーズで、そろそろチャンスではないか。Androidではクアッドコアや薄型モデルも発表し、評判も良い。OSも、Windows Phoneなど、いろいろなところとコラボレーションでカバーしていく」と、グローバル市場と歩調を合わせる形で、ラインナップをさまざまに拡大していく戦略を示した。

 同社は、MWCの会期中にインテルとの提携も発表しており、こうしたさまざまなコラボレーションは、同社の世界戦略が新たなフェーズに入っていることを裏付けている。また、「世の中はこれから、LTEに切り替わる時期。新しいシャッフルの時代だ。これは、同じスタートラインではないか」とLuo氏は語っており、LTEをひとつの契機としていることも窺わせた。

キャリアの要望には「とりあえずイエス」、ハイエンドも展開

 では、日本市場向けの戦略はどうなっているのだろうか。Luo氏は、「いままで提供している端末は比較的安価なモデルだが、スペックはそれほど悪いわけではない。そうしたポイントは守っていく」と語り、さらに「グローバルモデルも入れて、日本向けカスタマイズも行なっていく」と戦略を強化していく方針を示した。

 ラインナップの強化において、ZTEが持つ強みとは? と質問を投げると、「カスタマイズ、スピード、コストパフォーマンス」という答えが帰ってきた。カスタマイズは日本市場向けの最適化で、スピードとは端末開発の早さを指す。「日本市場でもハイエンドモデルを攻めていく」とするものの、「日本のハイエンドはハードルが高い。序々に攻めていくことになるだろう」としており、腰を据えて展開していく構えだ。

 端末開発の早さは、中国メーカーに共通する強みでもある。同氏は「キャリアに納入し、大規模に攻めていく」と戦略を示した上で、「日本などではキャリアの希望が強い。我々は、要望にはとりあえずイエスというスタンス。歴史や技術力を誇るメーカーとは違い、我々にはハングリー精神がある」と、貪欲に応じていく姿勢を明らかにした。

 




(太田 亮三)

2012/3/1 04:04