【Mobile World Congress 2014】

LTE対応のTegra Note 7をアピールするNVIDIA

NVIDIAの展示ブース。通信関連技術がメインの展示会のためか、CESよりコンパクト

 NVIDIAのブースには、1月にCESで発表された「Tegra K1」や、同社製のLTEチップを搭載した7インチタブレット「Tegra Note 7」が展示されていた。

 Tegra K1は192基のGPUを組み込み、PC向けの「GeForce GTX 780 Ti」と同じKeplerアーキテクチャを採用したSoC(System on Chip)。ゲーム開発エンジンの「Unreal Engine4」が対応しており、CPUは32ビット版と64ビット版を差し替え可能なピンコンパチブルとなっている。

Tegra K1で4Kの映像を出力するデモ
Tegra Note 7のLTE版が展示されていた

 Tegra Note 7は、日本でも発売された7インチタブレット。NVIDIAがリファレンスモデルを開発、パートナーが外観やソフトウェアをカスタマイズして(もしくはほとんどカスタマイズせずに)市場に投入するというビジネスモデルを採用する。

Wi-Fi版との違いは、LTEのありなしと、それに伴う重量程度だ

 日本では、ZOTACのブランドで販売されている。機能的には、GALAXY Noteなどに採用されるアクティブスタイラスの書き心地を、一般的なタッチパネル用のスタイラスで再現した「ダイレクトスタイラス」が特徴。本体には、ステレオスピーカーを搭載する。LTE版の基本的な機能は同じで、差分は通信のみとなる。

SIMカードスロットも搭載する
ダイレクトスタイラスなど、特徴的な機能はそのまま

Tegra Note 7投入の狙い

NVIDIAのシニアテクニカルマーケティングディレクター Sridhar Ramaswamy氏

 NVIDIAのシニアテクニカルマーケティングディレクター Sridhar Ramaswamy氏によると、ビジネスモデルもWi-Fi版とほぼ同じだという。「キャリアが興味を持てばそういった販路もあるが、基本低にはパートナーが販売する形になる」といい、北米や欧州のオープンマーケット(メーカーが販売会社を通して、自社ブランドで主にSIMフリーモデルを販売するマーケット)が主戦場となる。

 Tegra Note 7はあくまで「ショーケースのようなもの。マイクロソフトがSurfaceを作ることと、位置づけは近い」という。LTE版は、同社の開発したソフトウェアモデムの実力をアピールする意味合いがある。一方で、Tegra 4/4iは採用するメーカーがTegra 3と比べ大幅に減っている状況で、こうしたチップセットを搭載したスマートフォンを販売する予定は「今のところない」。

Tegra 4iは、同社のソフトウェアモデムが搭載されている。米国ではAT&TとT-Mobileの認証を取得済み
フランスメーカーのWikoが開発した「Wiko MAX」にも、Tegra 4iが採用されている

 後継となるチップセットのTegra K1も、現時点では採用するメーカーが発表されていない。こうした質問についてRamaswamy氏は、「今、(採用を予定するメーカーの)名前を言ったらクビになってしまう(笑)」とジョークでかわしつつ、「たくさんのOEMメーカーが決まっているので、楽しみにしてほしい。Tegara K1はタブレットだけでなく、ノートブックやセットトップボックスなど、幅広いデバイスをターゲットにしている」と語った。

石野 純也