【Mobile World Congress 2014】

Opera、Androidアプリのデータ転送量を圧縮する「Opera Max」

Opera Softwareブース

 Mobile World Congress 2014において、Opera Softwareは、Webブラウザなどスマートフォン向け製品の展示を行なっている。

 「Opera Max」は、MWCに合わせて発表された最新のサービス。これは、Android端末上の任意のアプリが通信を行なう際、Opera Maxの中継サーバーが通信を圧縮し、端末上のOpera Maxアプリがデータを復元することで、転送量を減らすというもの。この仕組みにより、3G/LTE部分の転送量を節約できる。速度面でも効果を得られるが、転送量に制限のある料金プランを利用している際などに有効とする。

Opera Maxの転送量確認画面。画像とテキストが中心のFlipboardで、通常の約半分まで圧縮されている

 Opera Maxアプリでは「いつ、どのアプリが、どのくらいの通信を行い、どのくらいの通信を節約したか」といったことが確認できる。展示機でのデモでは、ほんの数十秒の利用で、2.4MBの通信中1.1MBの通信が節約されていた。

 利用するアプリの種類やデータは問わないが、HTTPSなどで暗号化された通信は圧縮されないため、メールアプリやメッセージアプリ、ストアアプリなどのデータは圧縮効果が低い。

 Opera Maxの中継サーバーは通信遅延の関係上、利用者のロケーションに近い場所に設置することが推奨される。現在は北米と欧州に中継サーバーが設置されているとのこと。

圧縮効果の高い順に並べることも可能。動画や画像を使うアプリは圧縮率が高い

 すでに北米と欧州でβテストが開始されており、アプリはGoogle Playからダウンロードできる。正式サービス開始後は有料サービスと広告付き無料サービスが提供される予定。Android版のみで、iPhone向けには提供されない。日本向けの提供についても未定だが、日本で正式に提供する際には、日本やその周辺の、遅延が少ない場所にサーバーが設置される見込みだ。

 なお、Opera Maxと同様のサービスが中国でも提供されている。こちらはOperaの現地事業会社が提供しており、サーバーも中国国内にあるという。

 このほかにも「Opera Web Pass」というサービスも展示されていた。これは主に通信会社向けのソリューションで、これを導入している通信事業者では、Operaのブラウザ上で「1時間のWeb利用権」や「3分のFacebook利用権」といった単位で、データ通信契約の購入が可能になる。また、これは有料で販売するものに限らず、たとえば「プロモーションに参加すればWebとTwitterが10分利用できる」といった形式でも提供できる。

 Operaのブラウザについては、Android版だけでなく、MWC期間中にノキアが発表したばかりの、Androidをベースとした新プラットフォーム「Nokia X」向けのOperaも展示されていた。Nokia XにはOperaがプリインストールされている。

Nokia X。Windows Phoneのような外見だが、Androidベースの独自プラットフォーム
Nokia X上のOperaブラウザ。機能面ではほかのプラットフォームとほぼ同じ(Nokia XはAndroidアプリと互換性もある)
Android版のOperaブラウザ

 なお、OperaのWebブラウザにもデータの圧縮機能は搭載されている。どのアプリでも圧縮できるOpera Maxと異なり、Operaブラウザの通信しか圧縮されないが、こちらはすでに提供中で、Android、iOSで利用可能だ。

Rocket Optimizerのデモアプリ。実際には任意のアプリに対応。小さな画面では圧縮による画質劣化には気がつけない

 Opera Maxなどと似た圧縮機能としては、通信会社向けのソリューションの「Rocket Optimizer」も紹介されていた。これは昨年3月にOpera Softwareが買収したSkyfireの製品。通信会社がネットワーク内に圧縮用の中継サーバーを立てることで、ユーザーがストリーミング動画を視聴する際、自動的に圧縮が行なわれる。こちらは動画限定なものの、暗号化されていないかぎり、利用するアプリの種類は問わない。

白根 雅彦