【Mobile World Congress 2014】

iPhoneをNFC対応にするケースで「MWC 2014」に入場してみた

通常のバッジカード。入場制限があるところは、これをタグリーダーで読み取る

 Mobile World Congressでは、来場者や関係者の入場管理などにNFCを活用している。入場証となるプラスチック製バッジの内部にNFCタグが埋め込まれ、専用のタグリーダーやNFC対応スマートフォンで読み取って個人を識別する。

 このシステムに加え、昨年のMobile World CongressではNFC対応のAndroid端末を使った入場管理やタグによる情報配信も行われた。そちらは昨年の記事も参照いただきたい。

 今年はAndroidだけでなく、希望者にiPhone用のNFC機能内蔵のケースを配布し、iPhoneによる入場管理も行われている。タダでもらえる上に何か面白そう。筆者も飛びついて使ってみた。

Lightningコネクタ経由でNFC連携

NFCケース

 配布されているNFCケースは、「INCIPIO CADHWRAP NFC CASE」(以下NFCケース)という名前で、INCIPIOという企業が作っているようだ。ただ単にケースへNFCが埋め込まれているのではなく、Lightningコネクタが用意されており、NFCをiPhoneから制御するようになっている。

 ケースの裏蓋を外すと、microSDカードスロットがあり、そこにNFCのロゴマークが描かれたmicroSDカードが装着されている。なお、2月24日には米ソニーからNFCとFeliCaを統合するmicroSDカードが発表されている。

NFCケースに入っていたmicroSDカード
一般的なmicroSDよりも接点が多い

 ちなみに入場バッジ代わりとなるように設定されたNFCケースやNFC対応Androidのことは「NFC Badge」と呼ばれている。プラスチックのバッジにもNFCタグが内蔵されているのだが、そちらは単に“バッジ”と呼ばれており、若干、納得いかない。

使えるようにするまでの微妙に長い道のり

 さて、このiPhone用ケースを使った入場だが、試してみると、「NFCケースをiPhoneに装着し、アプリを起動すれば全部OK」で済むような簡単な話ではなかった。

 まず事前にMobile World CongressのWebサイト上で自分の顔写真を登録する。パスの購入時に作成したアカウントへ写真を追加する形となり、新規でアカウントを作り直す必要はないが、自分の顔写真をデータで用意しておく、というのは、あらかじめ準備しておかないとちょっと面倒だ。

NFC Bagdeが利用可能な状態
Validate前の状態
NFCケースを装着していないと通常のプロファイル表示になる

 写真を登録すると、そのアカウントがNFC Badge対応となり、公式アプリを起動してログインすると、NFC Badgeの画面が表示されるようになる。初期状態では「Badge Status」が「Validate NFC Badge」になっていて、このままでは利用できない。会場の窓口かオンラインのどちらかで、「Validate」(正規かどうかの検証)の作業が必要になる。オンラインで手続きを進めようとしたが、筆者が使うau版iPhone 5sでは手続きできなかった。どういう仕組みなのか判然としないが、一部の国の、一部の携帯電話会社でしか、手続きは進められないようだ。

 仕方なく会場での手続きを選ぶ。初日午前中はそこそこの行列だったが、通常のバッジカードとNFCケース入りiPhone、パスポートを見せることですぐにValidateが行われた。ここでWebサイトに登録された顔写真と名前が正しいかを確認しているのだろう。手続きを終えるとアプリ上の「Badge Status」が「Badge active」に変わった。これでようやく、入場バッヂとしてiPhone&NFCケースが使えるようになる、というわけだ。

iPhoneで入場チェック……iPhoneの意味があんまりない!

NFC Badge用のゲート

 Mobile World Congressは入場時、パスの正規の保有者であるかどうか、顔写真も使って確認が行われる。通常のバッジの場合、バッジカード記載の名前と入場者の「Photo ID」(多くの場合はパスポート)を照合し、入場している。一方、スマートフォンのNFC機能を利用した「NFC Badge」では、先述した顔写真を使うため、パスポートのようなPhoto IDが必要ない。

 通常のPhoto IDを使うゲート、そしてNFC Badgeを使うゲートは分離されており、NFC Badgeのゲートの方が数が少ない。これはNFC Badgeでの入場手続きに時間がさほどかからないことからではなく、現状ではNFC Badgeの利用者が圧倒的に少ないことに一因がある。

 NFC Badgeのゲートには、NFCのリーダライター、さらに入場者用と係員用の2つのモニターが置かれている。NFC Badgeは自分でかざす形で、正しく認識されれば登録した顔写真がモニターに表示される。スタッフが顔写真と照合して、本人だと確認されれば入場できる。

NFC Badgeゲート周辺。ゲート前でも係員がNFC Badgeが有効になっているかを確認している

 しかし、よくよく見るとこのフロー、実はスマホを使う必要がない。筆者は5回の入場中、2回はNFCケースがうまく動作せず(認識率の悪さも問題だ)、通常の入場バッジカードの利用を求められた。そのとき、NFCケースの代わりに入場パスカードをかざすと、画面に筆者の顔が表示され、入場を許可された。自分のアカウントの写真さえ表示できれば、それがNFCケースでもプラスチックのバッジカードでもかまわないというわけだ。

 こうした流れもあって、個人的には、「無理矢理、スマホとNFCを組み合わせて使おうとしている」との印象を受けた。ほかにも情報配信や決済確認などでNFCを使ったサービスが提供されているが、スマホ+NFCの組み合わせの必要性をあまり感じないものが多かった。

 こうした、NFCを使ったサービスの完成度が高くないと言えるところは、ビジネスチャンスがあるとも感じられる。とくに日本にはおサイフケータイや交通系カードなどのおかげで、“かざして利用する”サービスに慣れ親しむ人も多く、ノウハウを持つ企業も多い。そうしたアドバンテージが今後、国際的なNFCの普及時に大きな武器になっていくかも知れない。

(白根 雅彦)