【Mobile World Congress 2015】

マウスがWindows Phoneを作った理由を平井部長に聞く

 Mobile World Congressの開幕を前に、日本でWindows Phoneの開発を表明するメーカーが続々と登場した。その中の一社が、これまでBTOのパソコンなどを開発・販売してきたマウスコンピューターだ。

 現時点ではまだ開発を表明した段階と言われつつも、展示会場内でお会いした同社 製品企画部 部長の平井健裕氏は開発中の端末を持ち歩いており、あくまで試作機ということで特別に見せていただくとともに、開発の背景などについて伺った。

マウスコンピューターが開発しているWindows Phoneの試作機

――この端末の販路はどのようにイメージされているのでしょうか?

平井氏
 現時点では、弊社は量販店のお客様がすでに多くいらっしゃいます。まずは量販店向けで、すでにSIMビジネスを手がけられている方もいらっしゃいますので、そういう方々にご案内させていただくというのが一つです。そして、法人のお客様ですね。元々Windows Phoneというと法人向けという側面もありますので、法人向けの販路をお持ちのディストリビューターの方々。最後に直販、という風に考えています。おそらく、最初は量販店向けのところがメインになっていくのだと思います。やはりSIMが無いと始まりませんので。

マウスコンピューター 製品企画部 部長の平井健裕氏

――今はWindows Phone 8.1で動いているとのことですが、10は動く想定なのでしょうか?

平井氏
 基本的に弊社としては10が出るのであれば、アップグレードを保証させていただきたいと考えているのですが、現時点ではあまり情報が公開されていないということもあり、何とも申し上げられないというのが実際のところです。CPUとしては、すでに10のテクニカルプレビューが動いているものと同じものを使っていますので、そういう意味では10で動くはずなのですが、例えば、ROMがこの容量で大丈夫なのかとか、その時にSDカードに一旦逃がす必要があるんじゃないかとか、いろんな話があって、そこがまだ現状は公開されていないというのが現状です。

――ネットワークとしては、国内のどのキャリアをサポートすることになるのでしょうか?

平井氏
 まだ正式に公表していないところになるのでコメントを控えますが、今まさに認証中で最終的に取れるのかどうかといった段階です。もう一つ、電話というのはバンドとして対応していても実際に繋がらないと意味が無いので、その評価を実施しているところです。

――外観はこれが最終ですか?

平井氏
 今は画面下にロゴプリントされていませんで、この位置にWindowsボタン、戻るボタン、サーチボタンがあるのですが、直前でタッチパネルを変えることになりまして、最初はスクリーンの中にそれらのボタンを表示する形で設計していたのですが、どうしてもタッチパネルの反応が良くなくて、変えようという話になり、一旦外に逃げているような状態になっています。最終的にどっちがいいのか検討しているところです。そういったところも含めて、まだ開発中というステータスです。

 Windows Phoneというのは昨年ぐらいからQRD(Qualcomm Reference Design)上だとある程度作れるようになってきました。しかし、その際に何個までバンドを対応させるかというところがある程度ルールとして決まっておりまして、日本で使用されているバンドをサポートしようとしたところ、ベースにしていた基板ではダメだということが分かり、じゃあ、作り替えようということでいろいろと手を加えてきました。

端末の情報を表示すると、チップセットがMSM8916で、ディスプレイの解像度が720×1280ピクセルといったスペックだと分かる

――開発自体はいつ頃から開始されていたのでしょうか?

平井氏
 昨年4月のMicrosoft Build 2014でWindows Phone 8.1が発表されてからですね。実は弊社で昨年発表させていただいたスティックだったり、8型だったり、10型のLTEタブレットだったり、だいたい同じぐらいにスタートしているのですが、これが一番長く世の中に出なかったという形になります。

――やはりタブレットを開発するのとは難易度が違うと。

平井氏
 一番難しいのは「声」(通話)ですね。もう一つはWindows Phoneというところです。タブレットはWindowsということで、弊社はPCをずっとやっていますので、それも結構大変でしたが、今回はWindows Phoneで前例もなく、Lumiaをたくさん買ってきてどんな風に動くのか調べるところから始まりました。

 正直、OEMになること自体はそんなに難しくはありません。Webで申請して、MSアカウントを作ってということなので、実際にはそこから先ですね。かなりの頑張りが必要です。弊社はAndroidをやらないと決めていたので、そう決めたはいいけど……という状態でしたね。

――ひょっとしたらAndroidの方が楽だったとか。

平井氏
 Androidはすごく楽です(笑)。ただ、ずっとマイクロソフトさんのスクリーン戦略、今はOne Windowsとおっしゃっていますが、その戦略自体はすごく正しいと思っています。テレビに繋ぐものとしてスティックPCをやらせていただいて、PCとタブレットは普通にやらせていただいています。あとはもうWindows Phoneがあれば、弊社の中で上から下まで行けるね、というところで、Windows Phoneで行こうということだけは前々から決まっていました。昨年のBuildぐらいになって、参入の障壁が下がって、ではやりましょう、という流れです。

――MVNOではなく、MNO向けに供給していく可能性は無いのでしょうか?

平井氏
 今、MNOさんとお話を始めさせていただいたところで、未定となっています。弊社としては初参入で、最初から100%きちんとお応えできるかどうかというところもあります。投げ出すつもりは無く、すでに次の世代を含めてロードマップもあるのですが、ボリューム面でもエリア面でも今の体制でお応えできるのかなというところが心配で、できれば弊社としてはこれを続けていきたい。使い勝手の面でいろいろ制限があるのは分かっているのですが、それでも面白いし、使い道があるからということでご納得いただいて、次のモデルを出すところまではぜひやりたいと思っています。

――想定されているユーザー像はどんな人ですか?

平井氏
 スティックPCの時もそうだったのですが、PCをよくご存じで、Windows Phoneの存在もご存じな方ですね。タブレットもそうなのですが、秋葉原に行くと中華タブといって売られているのですが、値段で言えば非常に安くて、スペックも弊社のものと一緒なのですが、さすがにそんなものをノンサポートで買うぐらいだったら、日本の企業からある程度サポート付きで買いたいというお客様が多くいらっしゃると思うのです。Windows Phoneについては、今まさに並行輸入品しか日本には無いような中、バンドも限定されてしまうし、どこに聞いてもこれは保証外ですと言われてしまうような状況が嫌な方というのは、やはりいらっしゃるのかなと。そういう方々にまずリーチさせていただければと考えています。

――ありがとうございました。

(湯野 康隆)