【Mobile World Congress 2016】

マウス平井部長に聞く「MADOSMA Q601」開発の裏側

マウスコンピューターの平井健裕氏

 Mobile World Congress 2016の開催にあわせてWindows 10 Mobile搭載のスマートフォン「MADOSMA Q601」を発表したマウスコンピューター。同端末は、MWCのマイクロソフトブース内で展示されている。現地滞在中の同社 製品企画部 部長の平井健裕氏にお話を伺った。

――昨年に続き、MWCにあわせて端末を発表されました。まずは、この1年を振り返っていかがでしょう?

平井氏
 MADOSMAをリリースさせていただいて、PCメーカーとしては久々のWindows Phoneであるということで非常に重要なものではあるのですが、マーケット的にどれくらい重要かということがなかなか計れない部分がありました。想像以上にフィードバックが大きく、こんなにお待ちになっていた方が多く、興味をお持ちいただける方が多いのかというのは実感しました。

 昨年、このMWC会場に端末を持ってくる時には、もしかしたら弊社1社だけだったらどうしよう、記事にもならなくて注目もされなかったらどうしよう、と思っていたのですが、1年の間にこんなにたくさんの会社さんから何だかわからないぐらい(笑)に多くのモデルが出てくるようになったことは、本当によかったんじゃないかと思います。

――ライバルが増えたところもありますが、それでもよかったと感じられているのでしょうか。

平井氏
 絶対によかったです。アップルさんのような力のあるメーカーであれば話は違うのかもしれませんが、エコシステムとしては、1社から1機種しかない、これが1つの選択肢です、というのはやはりつらい。今回、PCメーカー側からもありますし、スマートフォンメーカー側からもありますし、アクセサリーメーカーからも、いろんな視点で物が入っていくというのは非常にいいことだと思っています。もちろん、今まで以上に気合を入れていないと、すぐに忘れ去られてしまう恐れがあるとドキドキしていますが、それでも絶対によかったです。

マイクロソフトブース内に展示された「MADOSMA Q601」

――前モデルはコンパクトな印象がありましたが、今回は大画面化を図られました。その狙いは?

平井氏
 今回のモデルは従来モデルの一つ上のモデルとして展開したいというところがあり、CPUを一つ上に上げましょう、と。もう一つ考えたのが、従来モデルと弊社の8型のWindowsタブレットの間に紐づけるものを置きたいというところもあり、5型、5.5型、6型、その上の6.95型とかも含めていろいろと考えたのですが、少なくともまだ電話であるということで、一番バランスがよいのが6かなと考えました。

 日本だけだとボリュームが小さく、割高に見えてしまうということを避けるため、ワールドワイドである程度受け入れられるものである必要があります。もちろん弊社が扱うのでなく、違うローカルOEMから出ていく形になると思いますが、日本以外では6型はどんどんメジャーになっているという状況があります。

 リリースを出して、本当にきれいに2つのご意見をいただいておりまして、大きくなってよかったという声と、小さいものが欲しかったという声がありました。この小さいものが欲しかったという声をいただくのが日本の特性で、非常に悩んだのですが、今回はワールドワイドでも受け入れられるようなものを、というところで6型を選んだという経緯があります。

――初代モデルは並行して販売されることになるのでしょうか。

平井氏
 しばらくはそうですね。ロードマップ上も上のものと下のものを出すという風に紹介させていただいているので、そのタイミングまでは継続する形になります。

――今回のモデルはデザインや素材でのこだわりを感じます。

平井氏
 やはり価格帯も上の方になっていますので、持った感じで満足度が得られるようなものを、ということで、メインフレームにアルミを使ったり、一段上のものをということで作らせていただいております。

――Continuumなど、新モデルの開発にあたっては順調に話が進んだのでしょうか?

平井氏
 Continuumもそうなんですが、明確な使い道といいますが、これがあったらこういう使い方ができるというところが明確になるまで時間がかかりました。まずはContinuumがちゃんと動くようになるのを一旦見届けたかったのですが、それがなかなか動き始めるまでに時間がかかり、動き始めても、わぁ便利、という世界にはまだ2〜3歩かかるような状況だったりというところもあり、そこの見極めに少し時間をかけてしまったというところが一つあります。

 本当にニワトリとタマゴなのですが、ソフトウェア側の準備状況というのが制約になることが多く、新しいCPUで6型ということでビューワー的に使うことになったときに、例えばKindleどうですか、とやっていくと、全部「?」が付いていってしまいます。そんな状態で、とにかく端末を出せば世界が変わるかというとそうでもなく、物の方向性を見極めるのに時間がかかってしまったというところがあります。

 そうやっている間に2社から同じCPUのものがリリースされ、すごいなぁという風に感じています。

――そこにさらにHPが被せてきましたが。

平井氏
 これはPCを含めての話なのですが、マイクロソフトさんがSurfaceをご自身で販売されていて、そこに対するプロモーションをしっかりやられていて、一見すると、もうPCメーカーはいらないという感じに見えるのですが、実はそうではなく、ああいうものを出すことで、もっと頑張れば違うマーケットを取れるんだよ、というところに対し、外資の皆さんはちゃんと答えを持っていらっしゃる。HPさんもそうですし、デルさんもそうですし、レノボさんもそうです。同じことがPhoneでも起き始めています。Lumiaがあれば、もういらないじゃないと思っていた部分に、あえてさらに上を行くモデルを出されて来るというところは、見習わなければいけないと思いました。

 ただ、HPさんのモデルはトップエンドになっていますので、価格帯ではすみ分けられるのではないかと考えています。

――新モデルの販売価格は前モデルよりも少し高めになるのでしょうか。

平井氏
 前のモデルよりは高くなると思います。それでもSnapdragon 617を採用したモデルの中では戦える価格に抑えたいなと思っています。ただ、617採用モデルはみんなコンセプトが違って出ていくので、その点はよかったなと思っています。

――御社は最近コーポレートロゴを変更されましたが、あのロゴを使われるのでしょうか?

平井氏
 そこは未定です。MADOSMAはMADOSMAのままで、そこに何らかの形でmouseと入れるかどうかは、これから最終議論ですね。

――今回は背面カバーは外せないタイプですね。

平井氏
 お客様は外せませんが、修理の時には外せるように設計しています。背面パネルはプラスチックで、メタルを使っているのはフレームだけになりますね。

――Snapdragon 617を採用するライバルと、どういう風にすみ分けていくのでしょう?

平井氏
 トリニティさんは販売の仕方も異なり、あまり競合しないと思っています。VAIOさんの場合はモデル名にBizと付けられ、法人向けに販売されていきます。弊社の場合、そこまで法人ということではなく、どちらかというと使い方を提案したいというところが大きく、それが響くのであれば、個人でも法人でもどちらでもよいと考えています。正直、これがまだ1台目のスマホとして多くの方に受け入れていただけるというエコシステムができあがっているとは思っていません。企業の方が使われる業務用端末としてのセカンダリーフォンです。個人の方もiPhoneやXperiaとかをお持ちの上でのセカンダリーです。セカンダリーとして持ち歩くとしたら、こういうのがいい、こういう使い方ができる、というところをアピールしていきたいですね。

――キャリアやMVNO各社との協業についてはいかがでしょうか?

平井氏
 基本的にMVNO様とは、弊社が直接というより、量販店の店舗様からどこと一緒に、というお話をいただいたらお話をするという前提になっています。キャリア(MNO)様については、全てのキャリアと協議をさせていただいておりまして、何らかの形でご一緒できればよいな、と考えております。というのも、今回のハードウェアですが、リリースの中では発表していないのですが、auさんのバンドも対応しています。CDMA2000(3G)は対応していませんが、LTEとしては対応しており、切ってある状態です。そういう話に繋がって行けばいいなと思います。その中でドコモ様だとキャリアIOTの話を進めさせていただいています。

 弊社がSIMを販売しないと使い方が見つからないような場合、例えば、どこどこのMVNO様というより、この端末にそのSIMを挿して使っている限りはOneDriveなどの特定のアプリが容量無制限でパケットを飛ばせるとかいうものが作れれば、やってみたいなと考えています。そういうのがやれたらいいなとは思っています。

――VoLTEやキャリアアグリゲーション(CA)への対応は難しいものでしょうか。

平井氏
 VoLTEのハードウェアの対応としては、作ろうと思えばそんなに大変ではないのですが、キャリア様の認証(IOT)を通す必要があります。VoLTEとCAの部分についていうと、IOTの中でもさらに大変なカテゴリーになっています。通常の3Gや4Gのテストのフローがあるのですが、その中でもVoLTEやCAの部分だけ、まだ明確にテストプランがシンプルになっていない感じです。やってみたいのですが、落ちると作り直しになるので、例えば、アンテナの作り直す場合は技適まで戻って行ってしまいます。そうなると、いつ出せるかわからなくなります。もっとシンプルに評価できるようにならないと難しいところです。

――今後、上のチップを積むということはありそうですか?

平井氏
 Snapdragonの800番台については、600番台までとはちょっと違うルールになっていますので、出せるものなら出したいと思います。820という名前が決まっていなかった頃から、このCPUを使って、こういう風に出した方がいい、というのはずっと話していた内容になるのですが、なかなかOKがいただけないというところ、作りたくても作れない状況にあります。やれるならやりたいですね。820で5インチ以下とか、日本で出すと売れそうですし(笑)。

――期待しています(笑)。ありがとうございました。

(湯野 康隆)