【Mobile World Congress 2016】

国産Windowsスマホ「NuAns NEO」について聞く

NuAnsブース

 Windowsスマホ「NuAns NEO」を開発・販売するトリニティは、「NuAns」ブランドでMobile World Congressに出展し、NuAns NEOやNuAnsの各種製品を展示している。

 NuAns NEOは上下で分割されたデザインの背面パネルを自由に変更できるユニークなWindowsスマホだ。世界中のケータイ・スマホが集まる中でも、NuAns NEOは十二分な個性と魅力を持つ製品といえる。しかしNuAnsを展開するトリニティは、もともとはアクセサリーを販売する企業で、NuAns NEOは初めてのスマホでもある。

 どのようにNuAns NEOを製品化したのか、現在の状況や将来の展開を含め、Mobile World CongressのNuAnsブースで、代表取締役の星川哲視氏に話を聞いた。

――1年前にもMobile World Congress(MWC)でお目にかかりましたが、その前からスマホを作る計画があったのでしょうか。

トリニティの星川氏

星川氏
 その前からマイクロソフトさんとお話しして可能性を探っていました。去年のMWCではBrightstar(北米の携帯電話の流通業者。現在はソフトバンクグループ)とアクセサリービジネスを世界展開していく話をしていました。そのMWCでどのようなスマホがあるのかな、と見たのですが、どこのものもそんなに変わらないと感じました。

 そして中国系のOEMのブースで聞くと、3000台で(1台あたり)80ドルとかで作ることができる、と。うちはそういう(最低価格帯)のは出さないですが、ベースがそれなら、カスタマイズしてもビジネスになるかな、と考えました。

 MWCにはアップル以外のあらゆるケータイメーカーが出展していますが、そこに新しいと感じる製品がないなら、自分たちがやれる余地があるかな、と。実際にはNuAns NEOは2015年の5月ごろから開発を開始しています。

――そこから始まって翌年にはMWC出展というのは凄いペースですね。

星川氏
 昨年の11月に申し込んだので場所がなくて困りました。ここ(NuAnsブースはMWC会場でもかなり端に位置する)がギリギリ残っていたので、とりあえず出展し、何かしら世界の人に見てもらおうかな、と。スマホの世界では、1年経つとぜんぜん違う世代になってます。今の端末は今出さないとな、と。マイクロソフトのブースにも展示してもらっていますが、こちらでも展示していると案内してもらっていて、ここにピンポイントで来る来場者もいます。

――実際に海外のお客さんの反応はいかがですか。

星川氏
 会場の端っこなので、そもそも来る人は少ないですが、ここを通りかかる人は、ここに来るまでにいろいろなものを見ています。しかし、来て見ていただいた人は、ほとんど興味を持っていただいてます。「今まで見たことない」と。ぱっと見で今までの概念を覆すデザインなので、「なんだ」と。すごく興味を持ってもらっています。

 Androidは端末の差別化がほとんどありませんが、Windows Mobileで、見た目も違っていることから、お客さんの食いつきが良いですね。

 NuAns NEOを作るまではアクセサリーのビジネスをやっていましたが、アクセサリーは完成すればすぐに売ることができます。しかしケータイは対応バンドの設計を販売地域ごとにやらなくてはいけなくて、認証も取得する必要があります。ある程度の販売見込みがないと、開発も認証取得もできません。

 今回展示していて「いつから買えるの」と聞かれますが、それにはまずある程度の数が見込めないとダメです。販売数が見込めて、そこから3カ月はかかります。

――実際に具体的な海外展開について動き出しているのでしょうか。

星川氏
 まだですね。今回のこの場所で商談をまとめてからです。やはり展示会に出展する意義としては、こちらも来場者もお互いに知らなかったことがあって、それをマッチングしながら進められることです。今朝(本インタビューは会期初日)からいくつかお話を始めています。

――デザインに強みがある端末ですが、そうなるとAndroidでも出して欲しいというユーザーやディストリビューターもいるのでは?

ブースではContinuumのデモも行なわれていた

星川氏
 日本のネットでも「Androidだったら買うのに」という声があります。しかし、今はマイクロソフトのサポートも得られていて、Continuumを含めたライフスタイル・ワークスタイルを変えるWindows 10の可能性に賭けたいと考えています。

 ハードだけでなく、アプリを作ったり、アプリ開発を促進したりする取り組みで、プラットフォーム全体を盛り上げたいと考えています。3月以降は、いろいろなアクティビティを予定しています。

――Windowsプラットフォームに注力するのですね。

星川氏
 Windows Mobileは本当に面白いと感じています。第3のOSといっても、PCでは圧倒的なシェアがあります。「コンシューマー」とは言いますが、コンシューマーでも仕事をしていない人は少ないです。仕事でメールやExcelを使う人がほとんどです。このWindowsの世界観には強い魅力を感じているので、まずはプラットフォームごと盛り上げよう、と考えています。

――世界観として見ると、キーボードやMiracastレシーバーなどの周辺機器もやらないのでしょうか。

星川氏
 それもよく言われます。やれるならやりたいのですが、リソースやタイミングの問題で今はやっていません。NEOのアクセサリは、NuAnsブランドのケーブルやバッテリなどをまずやります。今まではiPhoneのアクセサリー中心でしたが、iPhone以外に良い端末がなかったのでNuAns NEOを作った、という経緯もあるので、NuAns NEOのアクセサリーは作っていきます。

 キーボードは難しいですね。言語があるので海外展開も難しいですし、金型も開発もコストがかかります。ただ、自分たちの生活の中で使うモノの使い勝手やデザインをよくしたい、という考えが基本にあります。やはり不満があるところは解決していきたいので、リソースがあればいろいろやりたいですが、今はまだキーボードについてのプランはありません。

――今回のMWCでは大手メーカーも全周カメラやイヤホンなど、周辺機器が目立っています。そこに対応できるものは?

星川氏
 今のところ端末としての差別化だけです。次期モデルなどもまったく考えていないくらいです。

――たとえば全周カメラなんかは、アプリがAndroidやiPhoneだけだったりします。そうした周辺機器やアプリの不足はどうにかならないのでしょうか。

星川氏
 Windows 10 Mobileは正式ローンチからまだ2カ月とか3カ月という段階です。iPhoneが出たときも、最初のバージョンはサードパーティのアプリが使えませんでした。Androidの初期を考えると、Windows 10 Mobileはもの凄い良い状態でスタートしています。アプリやアクセサリーはこれからサードパーティから出てくるかと。

 今はWindows 10 Mobileアプリは有料でも良いものはよく売れます。iOSだとアプリをリリースしても目に付きませんが、マイクロソフトストアはアプリ数が少ないので、誰かが凄く利益を出せば、オレもオレもで盛り上がります。iOSでもかつてはそうでしたが、今はもうレッドオーシャンです。今はWindows 10 Mobileがいけるかも、と。端末もたくさん出てきています。

――NuAns NEOは発売からそろそろ1カ月ですが、手応えはいかがでしょうか。


 昨年11月に発表し、発売前に初回出荷分の予約が埋まりました。それからも予約が増えています。ここまではオンライン販売で、実物を触ってから買う人はいませんでした。発売後の出荷が始まって実店舗での販売も始まりましたが、伊勢丹も17日に発売してすぐに売り切りました。そして今は中国の旧正月の関係で生産をしていません。次に在庫が揃うのは3月後半になります。そこからどんどんプロモーションをして、いろいろなアクションをしていこうと考えています。

――どのようなユーザーが多いのでしょうか。

星川氏
 いろいろな人がいます。ずっとNuAns NEOのような端末を待っていた人、ガラケーから乗り換えた人、Windows 10でできること・できないことがわかって買っている人もいれば、いろいろできると思って買ったらアプリがなかったと言う人もいます。

――現在の日本のWindows Phone市場は、やや特殊ですよね。海外はLumiaシリーズがあって、選択肢としては鉄板になっています。日本はLumiaがなくて、それ以外がいろいろある中で、NuAns NEOを選ぶユーザーが感じている魅力はどこにあるとお考えでしょうか。

星川氏
 Continuumへの対応もありますし、僕が言うのも何ですが、ハードは凄くいいと評価してもらっています。あとはOSとアプリですが、そこはあとから少しずつ改善されていくものですし、マイクロソフトはそれが得意だと思います。後出しだけどしっかりフォローアップして追い抜く、と。

――まずは新しいものを体験したい人が購入されているところもありそうです。

星川氏
 本当の勝負は4月以降と考えています。3月末に在庫が潤沢となり、触る前から欲しいと思った人だけが買う状況は収束し、お店で見て触ってから買えるようになります。NuAns NEOを知らない人が、ほかの用事で来たお店でふらっと買えるようになることが重要です。

 店頭では見て触って欲しいので、短期的には47都道府県に1店舗ずつくらいの規模で、触れるところを作りたいです。

――NuAns NEOはカバーを選べるのが特徴ですが、売れ筋の組み合わせどのあたりでしょうか。

カタログにある組み合わせが同社のオススメだが、好きに選べるのがNuAns NEOの魅力

星川氏
 カタログにも掲載しているものが売れ線です。フリップはブラックとスエード系。男性比率も高いので、ダークウッドも人気ですね。

――一般的に女性向けはピンクとかになりますが、そういった方向は?

星川氏
 許せないわけではありませんが、NuAnsの世界観を引き継いでいるので、公式では。しかし3Dプリンタでも作れるようにデータを公開しているので、DMMなどに出せば、何色でも作れます。ここはユーザーの自由でいいかな、と。

 標準で選択できる部分は、革系も6種類増え、組み合わせは14×14=196種類になりました。フリップも入れると202種類です。けっこう多いですよ。

――さらにバリエーションを増やしていくのでしょうか。

星川氏
 可能性はあります。

――カラーもさまざまですが、素材の種類も個性的ですね。

星川氏
 こだわっています。スエードも普通のスエードではなく、東レのウルトラスエード(エクセーヌ/アルカンターラ)で、高級感がありつつ耐久性にも優れます。

――今の大手のスマホは金属ボディばかりになってますが。

星川氏
 そうですね。金属とガラスの組み合わせは、みんなアップルのフォロワーだと考えてます。安い端末はプラスチックしかなく、高い端末はアルミ削り出し。今はアルミ削り出しもそれほど高くありません。しかしアルミだから良いというのは古いんじゃないかな、と思います。

――金属にすると電波も問題になりますね。

星川氏
 基本はそうです。切り抜いても弱いです。あとNuAnsはNFCもあり、カードも入るので、金属を入れるにしても一部になってしまいます。

 NFCについては、(発売済みモデルでは)われわれが唯一のNFC搭載のWindows 10スマホになります。NFCはせっかくなのでいろいろなソリューションを出そうかな、とも考えています。企業向けの広がりがあればと。

――本日は展示期間中のお忙しいところありがとうございました。

(白根 雅彦)