【Mobile World Congress Shanghai 2015】

ドコモが2016年にTD-LTEを導入、下り最大370Mbpsの3波CAも

 NTTドコモは、2016年から3.5GHz帯(Band 42)を活用して、TD-LTEのサービスを開始する。あわせて現在利用中の1.8GHz帯(Band 3)との3CC CA(3キャリアアグリゲーション)も開始。2016年に、下り最大370Mbpsを実現するロードマップを公開した。7月15日から中国・上海で開催されているMobile World Congress Shanghaiの併催イベントで、GTI Summit 2015 Shanghaiで取締役常務執行役員(CTO)の尾上誠蔵氏が明らかにした。

ネットワークのロードマップを公開した、ドコモのCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)尾上氏
周波数帯別に見た、ドコモのネットワークのロードマップ
FDDとTDDを掛け合わせた、3CC CAを開始する。既存のLTEも3CC CAに対応する予定

 ドコモでは、TD-LTEのサービス開始に先駆け、FDD方式のLTEでも3CC CAを実施する予定だ。尾上氏は「近い将来、3CC CAを実現する」と語っていたが、ロードマップによると2015年内の開始が見込まれている。組み合わせる周波数帯は、2GHz帯(Band 1)、1.5GHz帯(Band 21)、800MHz帯(Band 19)。3波合計の帯域幅は40MHz幅となり、下り最大300Mbpsの速度を実現する。

 これに対して、同イベントに登壇したKDDIの技術統括本部技術開発本部長 宇佐美正士氏も、2016年6月から3.5GHz帯のサービスを開始すると発表した。一方でFDD方式のLTEとのキャリアアグリゲーションについては、「おそらく来年」と明言を避けている。

KDDIの宇佐美氏は、3.5GHz帯の導入時期を2016年6月と語った

「ドコモはアンチTD-LTEではない」――尾上氏が語ったネットワークのこれから

結論でも「ドコモはTD-LTEを来年開始します」と宣言して、“アンチTD-LTE”という風評の払拭につとめた

 GTIとは、TD-LTEの普及を推進する団体で、日本ではソフトバンクやKDDIが加盟している。TD-LTEの周波数を持たないドコモは、これまでGTIのイベントに登壇することはなかった。こうした状況を指し、尾上氏は基調講演の冒頭で「ついにGTIに来た」と語り、会場の笑いを誘った。続けて尾上氏は「ドコモはアンチTD-LTEだと思われているが、それは間違った理解」とコメント。3.5GHz帯の割り当てを受けた今、「TDDの友人たちをサポートしていきたい」立場だという。

 ドコモがTD-LTEのサービスを開始する背景にあるのは、データトラフィックの増加だ。ドコモでは、データトラフィックの95%がLTE経由になっており、対策としてスモールセルとマクロセルを掛け合わせたLTE Advancedを、高度化C-RANの上で展開している。3.5GHz帯のTD-LTEも、このスモールセルとして活用していく方針だ。

ドコモのトラフィックは、四半期ごとに増加傾向にある。LTEの割合も増え、現在では95%の通信がLTEを経由している
3.5GHz帯は、高度化C-RANでスモールセルとして活用する予定
モバイルネットワークは、世代を経るに従い数が減り、融合の方向に向かっているという

 尾上氏が、「アンチTD-LTEではない」と語るのは、「無線通信はトレンドとして、融合に向かっている」からだ。2G、3G時代より規格の数が少なくなっており、4GではTDDとFDDのキャリアアグリゲーションもできる。5Gでは、こうした区分もなくなっていくというのが尾上氏の見方と言える。

「TD-LTEの高い周波数が鍵になる」――都市部の需要にTD-LTEで応えるKDDI

KDDIも、他社と同様、トラフィックは大都市に集中している

 KDDIの宇佐美氏は基調講演で、KDDIのネットワーク戦略をアピールした。現状ではFDD、TDD(WiMAX 2+)でともにキャリアアグリゲーションを行っており、FDDでは下り最大225Mbps、TDDでは下り最大220Mbpsを実現している。一方で「都市部のトラフィックは、非常に混雑している。このトラフィックの集中は、日々重くなっている」としながら、TD-LTEに対する期待をのぞかせた。

LTEとTD-LTEのキャリアアグリゲーションは「おそらく来年」だという

 宇佐美氏によると、「TD-LTEの高い周波数帯が、それを解決する鍵になる」という。KDDIが3.5GHz帯のTD-LTEを整備していくのは、そのため。2016年6月開始ということから、来年の夏モデル以降が、この周波数に対応する可能性が高い。一方で、キャリアアグリゲーション実施の有無や、どの周波数帯を活用するかについては言及されなかった。詳細は、サービス開始までに明かされていくことになりそうだ。

(石野 純也)