【OGC 2011】
国内最大規模のADネットワークを、Amebaのスマートフォン戦略


サイバーエージェントの長瀬氏

 サイバーエージェントの技術部門 執行役員で、アメーバ事業本部のゼネラルマネージャーである長瀬慶重氏は、同社が「Ameba」の名称で展開するインターネットサービスのスマートフォン展開について説明した。

 パソコンや携帯電話、スマートフォン向けに展開するAmeba全体のページビュー(PV)は月次で223億PVとなっている。このうちスマートフォンからのアクセスは、2011年4月に約10億PVとなり、5月はさらに10億を超えるPVを獲得しているという。長瀬氏は、スマートフォン向けのアクセスが毎月1億PV程度増加している傾向を示した。

 またAmebaでは、iPhoneアプリとAndroidアプリも提供しており、iPhone版のダウンロード数は現在80万件、提供開始から半年のAndroid版は20万件となっている。毎月のダウンロード数としてはiPhoneもAndroidも同程度という。

 スマートフォンからAmebaにアクセスするユーザーの中心は、全体の48%が20代と若く、30代が20%、10代は19%と続いている。なお、iPhoneとAndroidのプラットフォーム別のアクセス数を見ていくと、昨年12月の時点ではiPhoneは80%を超えていたが、2011年3月には67%と比率を下げている。代わって台頭してきたのがAndroidで、3月に33%にまで拡大した。長瀬氏は今年9月にはこの比率が50:50になると予測した。

 このほかスマートフォンのユーザー動向として、1つのサービスを絶えず使うのではなく、さまざまなサービスやアプリを使う点が指摘された。多様化するユーザーの利用スタイルに対して、Amebaでは2011年を「スマホ元年」として、さまざまな事業分茶にチャレンジしていく方針という。

 Amebaではスマートフォン向けのWebサイトを強化し、6月には主要なサービスのスマートフォン対応を完了する予定。だが長瀬氏は、Amebaの主力サービスの1つである「アメーバピグ」については、スマートフォン対応が「苦戦している」と話す。これはアメーバピグがFlashコンテンツとなるため。スマートフォンで最大シェアを誇るiPhoneはFlash非対応の方針を崩していない。

 サイバーエージェントでは、スマートフォン分野でも広告ネットワークを構築していく。長瀬氏は、「国内最大規模のADネットワークを作る」と語っており、スマートフォン分野でも引き続きサイバーエージェントの強みを活かしていく方針を示した。また、年内には自社開発アプリ100タイトルを投入しコンテンツを拡充していく計画だ。

 こうした従来サービスのスマートフォン化を進めていく一方で、新たな事業展開も予定されている。サイバーエージェントではAndroid向けに独自のアプリ配信マーケットを展開する。マーケット内では、従来Amebaのアイテム購入などで使われている仮想通貨「アメゴールド」で決済できるようになる。これにより、仮想通貨に慣れているユーザーの課金障壁を下げてコンテンツ購入を促していく。コンテンツは売り切り型、月額制、アイテム課金などに対応し、7月にはKDDI(au)のキャリア決済も導入される予定となっている。

 アプリ配信マーケットの伴って、Amebaとしては初のプラットフォームのオープン化に乗り出す。開発環境を用意し、ソーシャルゲーム用API、ソーシャルメディア用API、Amebaサービスとの連携APIがそれぞれ提供される。

 さらにサイバーエージェントでは、提供アプリのプロモーションに注力するという。Ameba内でのプロモーションや誘導広告の展開だけでなく、著名ブロガーを起用した販促なども実施する。

 長瀬氏は、スマートフォン向けアプリの普及拡大について、「これまで一部の感度の高いユーザーからアプリが広がっていたが、スマートフォンが一般化する中で、一般ユーザーが一般ユーザーを呼び込むことが不可欠」と話す。サイバーエージェントでは、アプリ配信マーケットをブラウザベースのアプリとして提供することで、ブログなどでアプリを紹介し、そのままの導線でアプリをダウンロードできるような形を用意する。



 




(津田 啓夢)

2011/5/31 20:42