【Uplinq 2010 Conference】
視覚ベースのARに取り組むクアルコム~Paul Jacobs氏基調講演


米クアルコム、会長兼CEOのPaul Jacobs氏

 米クアルコムのプライベートイベント「Uplinq 2010 Conference」は6月30日(米国時間)、同社会長兼CEOのPaul Jacobs氏の基調講演で開幕した。

 同イベントは、従来「BREW CONFERENCE」という名称で2008年まで開催されていたが、昨年は開催されておらず、名称を「Uplinq Conference」に変更して再び開催されることになった。Jacobs氏は基調講演の冒頭で「BREW CONFERENCEは1つのプラットフォームにフォーカスしたものだったが、Uplinqは多くのプラットフォームにフォーカスしている」と、イベント開催の主旨の違いを表現した。

 同氏は、自社のBrew Mobile Platform(Brew MP)のほか、Android、Windows Phone 7、WebOS、BlackBerryといった複数のスマートフォン向けOSが同社のプラットフォーム上で動作するように最適化に取り組んでいると説明。とりわけ、Brew MPについては、「2011年の3G端末の半数以上はエマージングマーケットに出荷されることになる」として、低価格のスマートフォンを提供できるようにすることの重要性を訴えた。同社では、Brew MPを活用し、低価格端末向けの健康管理アプリケーションを提供できるように取り組んでいるという。

MattelによるARゲームのデモ。1960年代の玩具「Rock 'Em Sock 'Em Robots」をARで再現。テーブルに敷いたシートに携帯電話のカメラを向けるとリングとキャラクターが見え、ゲームをプレイできるようになる

 さらに、Jacobs氏は「AR」(Augmented Reality:拡張現実)への取り組みについてもデモを交えて紹介した。同氏は、GPSや電子コンパスを使ったARが話題になっているが、同社は視覚ベース(vision-based)のARを中心に研究開発を進めていると説明。ステージ上では、玩具メーカーのMattelや3Dゲームエンジン開発のUnity Technologiesが、それぞれARコンテンツの例をデモンストレーションした。

 同社では、今秋をめどにARアプリケーションを開発するためのSDKを公開する予定。さらに、「Augmented Reality Application Developer Challenge」と称した開発コンテストも実施する。

 このほか、同氏は、MediaFLOを活用したテレビ放送サービス「FLO TV」、同社の携帯電話向けCPU「Snapdragon」、液晶とも電子ペーパーとも異なる発想で新たに開発されたディスプレイ技術「mirasol」、Snapdragon用のGPU「Adreno」、情報リコメンド技術「Xiam」および「Vive」なども紹介。さらに、P2Pのような技術をチップセットに組み込んでいく姿勢を示した。



(湯野 康隆)

2010/7/2/ 00:00