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【WIRELESS JAPAN 2009】
ドコモ渡邊氏、新プラットフォームの重要性を語る


NTTドコモ プロダクト部技術企画 担当部長の渡邊信之氏

 「WIRELESS JAPAN 2009」3日目の「携帯電話プラットフォーム戦略フォーラム」では、NTTドコモ プロダクト部技術企画 担当部長の渡邊信之氏が登壇し、「ドコモの携帯電話プラットフォームの取り組み」と題して、現在の市場動向について触れた上で、プラットフォームがどのように変わってゆくか、新しいプラットフォームへの移行の重要性などを説明した。

市場は成熟期、新しいプラットフォームへの移行が急務

市場環境の変化

 渡邊氏は、まず市場の状況について説明した。携帯電話市場は成長期から成熟期へと移行しており、ドコモの販売台数、契約者数ともに伸び悩む厳しい状況である点を指摘した。

 ドコモの国内の携帯市場の状況だが、端末の販売数は年間2500万台前後だったものが、昨年度は約2000万台と約20%減少している。今年度も同様の販売台数になると予想しており、機種数については、2008年度で約50機種、2009年度も45〜50機種程度を予定する。「ニーズが多様化している部分もあるため、市場の動向をみながら同様の機種数を出していきたい」という。

 新販売モデル以降、買い換えサイクルが長期化している点についても触れ「以前は約2年だったものが、現状3年くらいになっている状況。2007年度で26.8カ月、2012年度には36カ月程度になるだろう」と述べた。

 世界の総契約数は約39.6億件、普及率は約58%となっている。その中で、日本市場は頭打ち状態であり、アメリカ、カナダ、西ヨーロッパも同様に契約者数は今後それほど伸びないだろうと推測されている。一方アジア・太平洋、アフリカなどが急成長しており、国別契約者数と普及率では、トップは中国で約6億1200万件。日本は第7位で約1億件となっており、伸び率ではインドがアメリカを抜いて第2位に、インドネシアは日本を抜いて第6位に浮上するなど、世界の契約者数と普及率についても大きく変動している点を紹介した。

 市場の成熟化、日本における販売台数の落ち込み、世界における国別の契約者数の変化、ユーザーニーズの多様化、Googleの市場参入による新たな競争といった背景から「台数は減るが機種展開は増やして行かなくてはならない。スマートフォン系における垂直統合モデルも登場しているように、グローバル化、オープン化も進んでいる。そこでドコモとしても新しい端末のプラットフォームへの移行が急務であると判断している」として、新しいプラットフォームへの移行が急務である点を強調した。

ドコモ共通仕様のオペレータパックを開発

オペレータパックについて

 現状の課題として、国内端末メーカーが海外進出する際、または海外の端末メーカーがドコモ市場に参入する際のいずれにおいても、ソフトウェア資産が有効利用できない、ドコモ仕様への対応のためのソフト開発の負担が大きいといった課題がある。また、部品などにかかったコストがそのまま販売価格に反映されるため、端末価格低減措置が必要になっている。

 そこで、現在プラットフォームへの取り組みの一つとして、ドコモ特有のアプリケーションセットである「オペレータパック」の開発を進めており、グローバルアプリとオペレータパックを用いたソフトウェア構造への転換を図っている。

 従来は、OSの上に共通化領域としてドコモからミドルウェアを提供。それ以外は端末メーカーが個別にソフトウェア開発する仕様だったため、メーカー側の開発負担が非常に大きかったという。そこで共通化部分を拡大し、OSの上にグローバルアプリと、ドコモ側が開発して提供する共通仕様のオペレータパック、および端末メーカー側による独自のソフトが乗るという構造にすることで「メーカー側は独自の特徴部の開発に注力できるようになる」という。

 オペレータパックの載せ替えにより、国内外のどちらも対応しやすくなるため、海外メーカーがドコモに参入しやすくなるほか、国内メーカーの海外進出もしやすくなり、端末価格の低減も見込まれている。iモード、iコンシェル、おサイフケータイ、iチャネルなど、ドコモの特徴的なサービスはすべてオペレータパックで開発し、提供するという。

 今後は多様なラインナップに対応するオペレータパック実現のために、プラットフォームに対する要求にそって、必要な機能を選択し、組み合わせるだけでラインナップが完成するような仕組みを目指す。それには、モジュラリティ、マルチハードウェア、マルチデバイス対応、機能選択、コンフィグレーション、拡張性、スケーラビリティなどが課題になるという。

 OSについては「すべてのOSに対応するというわけにはいかないので、現状は既存のソフトウェア資産を有効に活用して、Linux OSおよびSymbian OS向けの2種類について開発している。Linux OSについてはLiMo Foundationに準拠し、Symbian OSについてはSymbian Foundationの仕様に準拠して作っている」とした上で、「ドコモとしては、各プラットフォームを積極的に活用して、開発の効率化、開発コストの削減に向けて取り組んでゆきたい。Windows MobileやAndroidについても同様にプラットフォームとして活用していきたい」と述べた。

Windows MobileやAndroidも積極的に活用

オープンプラットフォームへの取り組み

 そこで、オープンプラットフォームへの取り組みとして、スマートフォン市場の現状についても説明された。

 2008年の世界のスマートフォン出荷台数は1億5800万台で、携帯電話市場全体の13.4%を占め、3年後には2割を超えるだろうと予測されている。日本でも2008年では出荷台数は約133万台、2012年では約2倍の330万台程度が見込まれ、2012年の累計契約数も約1000万台契約に近いと予測されている。

 スマートフォンはそのオープン性により、開発者が多いことや、開発スピードが早いといった特徴を持ち、リッチで新鮮なコンテンツやサービスの迅速な開発・普及、高機能で低コストな端末の登場などが期待されている。グローバルに展開される端末も多数登場することが予想されるため、それらを積極的に導入することで、低コスト化も期待しているようだ。

 今後はオープンプラットフォーム端末向けの統合サービス・モールの展開も考えられており、「多様な課金方式、多様なネットワークサービスを提供する。AndroidマーケットやWindows Marketplace、各種サービスポータルとオープンな流通機構を起こしつつ、ドコモならではのサービスができるサービス提供基盤を構築してゆきたい。オープン性を損なうことなく、どうやってドコモ独自の統合サービスを提供していくかが課題」とした。

 同氏は日本初のAndroid端末「HT-03A」や、Windows Mobileの「T-01A」をリリースしたことについて触れつつ、今後の展開として、iモード端末ではオペレータパックの開発を進める一方、オープンプラットフォーム端末ではAndroidやWindows Mobileを中心に展開するとのことで、「将来はLinux、Symbian、Android、Windows Mobileの4つがメインのプラットフォームになり、これら共通のミドルウェアを整備して、新しいアプリケーションやサービスを展開できるようにしてゆきたい」と抱負を述べた。

JavaやAIRにも注力

Javaプラットフォームの進化

 503iシリーズから搭載されたJavaについても「プラットフォームとして認識している」として、これまでの進化を振り返りつつ、新しいJavaのプラットフォームとして2008年の冬モデルから搭載した「Star」について説明された。

 同氏は「Star」について、TCP・UDP、P2P通信など自由な通信が可能な点や、アプリの容量が最大2Mに拡大されマルチタスクが可能になった点、iアプリコールなど他の端末とつながる仕組みを拡張している点、情報アクセス性が向上した点などに触れ、Starの代表機能である「iウィジェット」や「iアプリオンライン」のコンテンツを紹介した。現時点ですでに20機種が「iウィジェット」に対応しており、6月末で101個の「iウィジェット」が提供されているという。

 さらに、その他のアプリケーションプラットフォームとして、Adobeの「AIR」への取り組みについても紹介された。ドコモは2008年に「Adobe Open Screen Project」に参加しており、Flash PlayerやAIRについて検討している。

 2003年からFlash Liteを搭載しており、すでにコンテンツ表現のリッチ化やドキュメントの閲覧、iチャネルによる最新情報の定期的配信を行っているが、「AIRを今後どうしていくかは現在検討中」だという。

 今後は「周辺機器との融合」が大事な戦略の一つになるとし、AIRとケータイのコラボレーションによって、オフラインでも利用できるAIRアプリ、リッチコンテンツの拡大など「デバイスの垣根を越えた共通のユーザ体験の提供が可能になる」と述べて、講演を締めくくった。

新端末シリーズの累計販売台数は500万台を突破

 なお、講演の途中で渡邊氏は2008年の冬モデルから開始した4つの新シリーズと、らくらくホンなどを加えた5つのシリーズについても状況を説明した。

 これら新端末シリーズの累計販売台数は2009年の4月には500万台を突破。各シリーズの販売率は、機種数にもある程度比例はしているが、STYLEシリーズが約6割、PRIMEシリーズが3〜4割程度、SMARTが2割弱、PROが数%という分布になっていると紹介した。

 ユーザーの満足度向上のために、端末の高機能化の実現と、お客様の選択肢の拡大を計り、ハードウェア、ソフトウェアの高機能化、デザインやUIを多様化し、QWERTYキーボード端末のリリース、ほぼ全端末でのBluetooth対応、生活防水の投入、ブランドコラボなどを行ったという。

 使いやすさの面でも電池残量表示を3段階から5段階に変更するといった配慮や、機種変更時の設定情報の引き継ぎ、音声入力でのメール作成といった展開も行っている。

 「他のメーカー、キャリアとの競争になるが、今後もさらなる、いろんな機能を搭載していこうと考えている」と意気込みを語った。

 

(すずまり)

2009/7/24/ 20:44

 

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