【WIRELESS JAPAN 2010】
幅広い端末ラインナップで存在感を示すZTE


ZTEのブース

 中国の総合通信機器メーカーであるZTE(中興通迅)は、展示会場の中でも比較的大きなブースを出展し、日本向け端末をはじめ新端末やコンセプトモデルなど幅広いラインナップを展示している。

 今回のWIRELESS JAPAN 2010で国内イベントへの出展は3回目となるZTEだが、日本市場での展開は、ウィルコム・日本通信向けのデータ通信端末をはじめ、日本通信向けのモバイルWi-Fiルーター、そしてソフトバンクモバイル向けの「かんたん携帯 840Z」「みまもりカメラ」と、展開される端末の種類も徐々に幅広いものになっている。

 ブースでは、国内のキャリアから発表された日本向け端末を展示。LTEにも注力する同社は、日本市場向けコーナーにLTE対応のモバイルWi-FiルーターとUSBデータ通信端末を展示するなど、豊富なラインナップを印象付けている。また、欧州で発表されたAndroid搭載スマートフォン5機種が展示されているほか、デザインに注力したコンセプトモデル、環境に配慮したユニークなパッケージのモデルなども披露されており、端末の分野だけでも幅広い取り組みが窺える。

ソフトバンクモバイルの「かんたん携帯 840Z」ソフトバンクモバイルの「みまもりカメラ」
日本市場向け製品のコーナー
LTE対応を謳うモバイルWi-FiルーターLTE対応というUSBデータ通信端末
タブレット型や監視カメラなど、世界市場では総合通信機器メーカーとして幅広いラインナップを用意しているAndroid搭載スマートフォンは右の4台と中央の「Roamer」。これらは海外向けモデル
コンセプトモック3機種膨張式軽量素材の生分解性バッグによる包装で出荷重量と輸送コストを削減するというコンセプトモデル。包装されるバッグはケースとして利用可能という

 

王 勇氏に聞く、ZTEの日本戦略

ZTE Corporation モバイルブロードバンド デバイス製品担当 バイス・プレジデントの王 勇氏

 会場では、ZTE Corporation モバイルブロードバンド デバイス製品担当 バイス・プレジデントの王 勇(ワン・ヨン)氏に対して、本誌がインタビュー取材を行う機会を得た。

 ZTEは近年、端末の販売をワールドワイドで拡大しており、世界市場で第6位の端末販売シェアを獲得。ソニー・エリクソンと肩を並べる規模になっている。王氏は日本のイベントへの大々的な出展について、事業内容や端末をアピールする目的としており、世界展開の一環として日本市場にも注力していく方針を示す。また、スマートフォンはAndroidを含め「携帯電話市場ではホットな分野。日本市場を含め、注力していく。キャリアや市場のニーズに合わせて、機会があれば展開していきたい」と語り、国内展開の可能性を示唆した。

 国内ではSIMロック解除が話題となっているが、SIMロックの有無についてメーカーとしてのスタンスを質問をしたところ、SIMロックがメインの市場、SIMロック・フリーがメインの市場のどちらでも端末を展開しているとした上で、「キャリアのサポートや、通信サービスの向上、多様化をサポートするのが我々のミッション。SIMロックの有無は関係なく、我々のミッションは変わらない」と語り、同社としてはいずれのパターンにも対応していく姿勢を見せている。

 その日本市場での展開方針だが、まず同社の強みとして、1988年より創業するなど技術力に長けていること、2G~3Gの通話用端末やデータ通信端末、モバイルルーター、監視カメラなど幅広いラインナップを提供できること、今後携帯電話端末事業を強化し、さらに開発スピードを上げることなどが示され、「カスタマイズ能力がさらに強化され、よりスピーディに市場に対応できると確信している」と、日本市場でも一層展開を速めていく意向を示した。

 会場にも展示されていたLTE対応端末については、「世界レベルでみても、おそらく最初にLTEの通信端末を提供できる企業の1つだろう」と自信をみせ、実際の製品投入は各国のキャリアの事情などによるとしたものの、「データ通信端末に加えて、モバイルWi-Fiルーターも用意している。率直に言って、“レディ”な状態だ」と早期に提供できる姿勢をアピールした。

王氏(左)と、ZTEジャパン 代表取締役社長の索 東輝(スオ・ドンフイ)氏(右)。索氏が手にしているのはAndroid搭載のタブレット型端末の試作モックアップ

 王氏は中国でPHSが主流だった時代から移動体通信事業に関わっているとのことで、当時から日本メーカーの担当者と交流があったという。日本市場に対して王氏は、「市場が先進性を求めている」「品質に求められるレベルが高い」「サービス、コンテンツにも高いレベルが要求される」という3点を感想として挙げる。ZTEとして技術力に自信があり、品質についても「あらゆる努力をしている」と語る一方で、「iPhoneが成功しているように、今後はさまざまなアプリやコンテンツが求められる。我々もアプリやコンテンツを研究する部隊を組織している」とのことで、今後は世界レベルでサービスやコンテンツのサポートにも注力していく方針を示した。

 



(太田 亮三)

2010/7/15/ 19:32