【WIRELESS JAPAN 2011】
KDDI、「すきま通信」「切断耐性モバイル通信」で通信を効率化


 KDDIブースでは、通信の利用効率を高める「すきま通信」、モバイル端末を利用中に通信が切れても、見かけ上は切断したようには感じないという「切断耐性モバイル通信」といった開発中の技術が展示された。

すきま通信

 「すきま通信」は、組込機器系の通信技術となり、ネットワークやサーバーの混雑具合を通信モジュール側が自ら探して学習していきながら、空いている時間を見つけて通信していくM2M技術となる。

 たとえば、街中の自動販売機には通信モジュールが搭載されており、自販機の在庫情報などが定期的に管理センター側に送信されている。このとき、情報を送信する時間を全ての自販機で統一してしまうと、1台あたりの通信量は小さいもののたくさんの端末が一斉に通信することになり、トラフィックを圧迫する原因にもなる。このため現在は、送信時間を管理者側でコントロールする必要もあるという。

 すきま通信では、こうした管理者側でのコントロールなしで、通信モジュール側が学習していきながら自動的に空き時間を見つけて送信する、複数のモジュールが協調し、アクセス集中を回避するため、設備の利用効率が向上するとしている。

 商用化は未定で商用化時期についても未定だが、技術的なハードルはすでにクリアしており、顧客の要望に応じてカスタマイズ提供できるとしている。自動販売機だけでなく、大規模工場での導入など、遠隔監視機器と親和性の高い技術としてM2M市場へアピールしていくという。



切断耐性モバイル通信

 もう一方の技術が、「切断耐性モバイル通信」というものだ。現在開発中であり商用化は未定。法人顧客のパソコン向け需要を想定しており、将来的にはスマートフォンなどでの利用も検討していくという。

 「切断耐性モバイル通信」は、出張などの移動中にパソコンでデータ通信を行っている際、トンネルに入るなど一時的に通信が切断されると、物理的に切断されているものの、見かけ上、ネットワークの切断を意識させない技術となる。クライアントとなるパソコンには切断耐性ソフトを常駐させ、サーバーとクライアントPCの間に切断耐性サーバーを設置することで動作する。

 通信時は、切断耐性サーバーおよび切断耐性ソフトを経由してデータ通信を行う。通信圏外となった場合、IPアドレスは一端切れるが、サーバーと切断耐性サーバー間は通信を継続する。一方、パソコンと切断耐性ソフト側もアップロードに関しては切断耐性ソフト側で取り込み続ける。

 データ通信端末は再び通信圏内となれば自動的に再接続するが、その際に設定される新たなIPアドレスを切断耐性ソフトが切断耐性サーバー側に通知する。これによって、切断耐性ソフトと切断耐性サーバー側に取り込まれていたデータがパソコン側とサーバー側に送信され、切断前から継続したデータのやりとりを実現する。



 




(津田 啓夢)

2011/5/26 08:45