【WIRELESS JAPAN 2011】
Bluetooth GショックやANT+の自転車を展示するノルディック


ノルディック セミコンダクターのブース

 ノルディック セミコンダクターのブースでは、「ANT+」(アントプラス)やBluetooth Low Energyをサポートする各社のデモや製品の展示を行っている。

 「ANT+」対応製品は世界で1400万個のデバイスが販売されるなど、さまざまな製品が各社から発売されている。また、古くはスントの腕時計で「ANT Private」が採用されるなど、搭載実績も豊富なのが特徴。2月からは規格がオープン化され、申請をすれば詳細な情報が無償で入手できるようになっており、対応製品やアプリはライセンス費用無しで開発できるようになっている。現在普及が推進されている「ANT+」は、やり取りできるデータの種類が規格化されており、メーカーの垣根を越えてデバイスを相互に連携させることが可能になっている。


「ANT+」では自転車向けのプラットフォームを展開

 同社は1月に、パイオニア、クアルコムの技術支援を得て、自転車メーカーのTREKやデータインフラのYellow Degital Health Labなどとともに、サイクリング時のパフォーマンスをモニターできる「eWellness」プラットフォームを立ち上げている。センサーとサイクルコンピューターとの間を「ANT+」の通信規格で接続した上で、速度やケイデンス(足の回転数)など規格化されたデータを計測。パイオニアは、Androidを採用したモデルや、3Gで通信できるモデルなど、サイクルコンピューターの開発を行っており、計測したデータをインターネット上で活用できる。また、TREKはリアのフレームにANT+対応センサーを内蔵できるロードバイクのフレームを開発している。

パイオニアが試作したANT+、3G対応のサイクルコンピューターこちらはAndroidで開発した試作機
TREKのロードバイク。ANT+搭載済みのフレーム左はXperia arc、右はiPhone 4。Xperia arcは端末の仕様としてANT+に対応済みで、アプリをインストールするだけで利用できる。iPhone 4はANT+アダプターを利用する。どちらもスピードやケイデンスなどANT+で規格化されている各種のデータをモニタリングできる
TREKのフレームに内蔵されたセンサー部分。クランクでケイデンス、スポークでスピードを計測する

 

「ANT+」はスマートフォン向けにも展開、Xperia arcは内蔵済み

 スマートフォン向けの展開も行われており、Wahoo FitnessがiPhone/iPadのDockコネクタに接続するANT+アダプターを展開。日本国内でもこの夏をめどに販売が開始される見込みになっている。iPhone向けには、「ANT+」に対応したアプリが多数登場しており、取得したデータを確認したり、インターネット上で活用したりといったサービスが海外では展開されている。

iPhone用のANT+アダプターANT+対応のiPhoneアプリ

 さらに、スマートフォンでは「Xperia arc」などソニー・エリクソン製の一部モデルが「ANT+」の通信モジュールを内蔵しているという。日本国内で販売されているモデルでも無効化されていないとのことで、「ANT+」対応アプリをインストールするだけで利用が可能。ただし、インターネットを利用したサービスは日本向けとして提供されていないため、現時点ではデモ用のプログラムに沿った利用など、限定的な内容になるという。

 なお、Yellow Degitalが日本国内向けに、「ANT+」のデータをインターネット上に保存して活用できる、データセンターのようなサービスの提供する予定で、こちらは数カ月後に提供が開始される見込みという。

「eWellness」プラットフォームYellow Degitalのサービス
ペダリングパワーを計測するANT+対応の自転車用ハブANT+対応のサイクルコンピューター
ユピテルが販売しているANT+対応の自転車用センサーと、GPS対応のサイクルコンピューター日本では発売されていないタニタのANT+対応の体組成計

 

「G-SHOCK Bluetooth Low Energy Watch」を展示

 ノルディック セミコンダクターのブースではまた、Bluetooth Low Energyを採用した開発中の製品として、カシオ計算機の「G-SHOCK Bluetooth Low Energy Watch」を披露。ケース内での展示となっているが、時計部分は稼働している状態で展示されている。この腕時計はBluetooth Ver.4.0をサポートするスマートフォンと接続でき、2011年後半に発売される見込みとなっている。

 スマートフォンと連携した時刻補正のほか、着信、メール・SMSの着信を確認でき、スマートフォンの着信音を停止することも可能。スマートフォンのアラームやバイブレーションを作動させて、スマートフォンを発見する機能も用意されている。対応スマートフォンと1日最大12時間、連続して通信を行なっても、ボタン電池(CR2032)1個で最大2年間動作できるとしている。

「G-SHOCK Bluetooth Low Energy Watch」
搭載チップの概要

 




(太田 亮三)

2011/5/26 21:23