シャープにドコモ向け夏モデルを聞く

カメラを底上げしBlu-rayレコーダーとも連携


SH-06A(左)とSH-07A(中央)、SH-05A(右)

 シャープによるドコモ向け夏モデルとしては、SH-05AとSH-06A、SH-07Aの3機種が発表されている。SH-05Aはスタンダードなモデルながら防水に対応、SH-06Aはカメラ機能、SH-07AはAV機能を重視したモデルだ。今回はこれら3モデルについて、開発を担当したシャープの通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部の木戸貴之氏、森光智美氏に聞いた。

――まずは今夏のドコモ向けラインナップの概要をご紹介お願いします。

シャープの木戸氏(左)と森光氏(右)

木戸氏
 夏モデルとしては、STYLEとPRIME、PROの3つのシリーズに1機種ずつ、3モデルを発表させていただいています。各モデルのターゲットは異なりますが、開発においては共通化を進め、効率化を図っています。全モデルともに、冬モデルからさらに進化したCCDカメラを搭載し、カメラで負けないようにしています。

 STYLEシリーズのSH-05Aは、最近、特にニーズの高い防水機能を搭載しながら、8メガのCCDカメラを搭載しました。

 PRIMEシリーズのSH-06Aは、カメラに注力しています。10メガのCCDカメラを搭載しました。

 PROシリーズのSH-07Aは、サイクロイドスタイル採用のAQUOSケータイです。ダブルワンセグや3.3インチディスプレイ、2GBの大容量内蔵メモリ、Blu-rayレコーダー連携など、最強のAQUOSケータイを目指しています。

――解像度は異なりますが、全ラインナップともにカメラ機能が強化されているのですね。

木戸氏
 画質をデジタルカメラ並にしようということで、全モデルCCDカメラを、特にSH-06AとSH-07Aでは10メガのCCDカメラを搭載しました。さらに暗い場所での撮影のために、SH-06Aは従来の3倍以上の明るさの高輝度LEDフラッシュも搭載しています。少々地味な進化かもしれませんが、全モデルともにインカメラをディスプレイ解像度と同等の43万画素に強化しまして、“自分撮り”の画質も向上しました。

森光氏
 カメラはハードウェアの進化だけではなく、シーンの自動認識やコンティニュアスAF、チェイスフォーカスや長時間露光など、より簡単に楽しくご利用頂ける機能を強化しました。笑顔フォーカスシャッターや振り向きシャッターなどの機能も引き続き搭載しています。感度については最高でISO12800まで対応しました。デジタルカメラで流行の機能・スペックはトレースし、遜色ないようにしています。

――機能面だけではなく、使い勝手の面ではどうでしょう? とくにSH-06Aではタッチパネルを搭載されていますが。

SH-06Aのタッチパネル

木戸氏
 UIや使い勝手の面でも進化しています。シャープのケータイはTOUCH CRUISERなど進化を続けてきましたが、SH-06Aではタッチパネルディスプレイを採用しました。春モデルのSH-03AとSH-04Aもタッチパネルを採用し、SH-04Aではほとんどの操作がタッチで可能でした。SH-06Aもそれを踏襲し、通話以外はほぼタッチで操作可能になり、さらにカメラやAV機能の使い勝手を向上させました。SH906iからタッチパネルを採用してきましたが、タッチパネルUIについては先頭を走っていきたいと考えています。

 SH-05Aについても、防水機能により、安心感というところで使い勝手の向上につながると思います。

 SH-07Aではスピーカー内蔵の大型卓上ホルダを思い切って同梱しています。卓上ホルダはBlu-rayレコーダーと接続する際のクレイドルとしても利用できます。シャープは家電メーカーとしてケータイを手掛けてきましたが、パソコンやレコーダーの動画をどうにかしてケータイに持ち込みたい、という思いがありました。この機能をいかに簡単に使えるように提供するか、というところで、レコーダーの開発陣と協力し、卓上ホルダに置くだけでBlu-rayレコーダーから動画を持ち出せるようにしました。1時間くらいの番組でも、数分で転送できます。

――SH-06Aはタッチ操作が進化していますが、タッチですべての操作をするということですか?

森光氏
 そういう想定ではありません。スイベル状態で通話以外のほぼすべての機能をタッチで操作できますが、スイベル状態で使うのはカメラやワンセグなので、このあたりの機能に重点を置き、タッチの良さを活かせるようにUIを作っています。タッチでメールをガンガン入力する人も少ないと思うので、普通に開いたときはキーで操作することを想定しています。


SH-07A

――SH-07AはサイクロイドスタイルのAQUOSケータイになっていますが、AV機能のどのあたりが強化されているのでしょうか。

木戸氏
 最強のAQUOSケータイとして作りました。PROシリーズなので、卓上ホルダのほかにもダブルワンセグや2GBの内蔵メモリなど、可能な限りすべてを盛り込んでいます。

――Blu-rayレコーダーとの連携は、SH-07A以外でも使えますね。

木戸氏
 ソフトウェアなどは共通開発部分が多いので、こうした機能はSH-05A、SH-06A、SH-07Aで横並びになります。ただし、卓上ホルダで転送できるのはSH-07Aだけで、ほかの2機種ではケーブルでつなぐ必要があります。

――SH-07Aの卓上ホルダはどのようなものなのでしょうか。

木戸氏
 Blu-rayレコーダーとの接続機能だけにしようというアイディアもありましたが、最近では、テレビ視聴をケータイだけで済ませる人もいるので、スピーカーを内蔵させました。レコーダーやテレビと連携させる人、テレビをケータイだけで済ませる人というのは、異なるユーザー層ですが、両方にご満足いただけるようにしています。

 今回は、レコーダーと連携するためにテレビの横に置くことになるので、そこを意識してデザインしました。いままでの無骨な卓上ホルダではデザイン的にあわないので、AV機器を意識し、リビングで違和感のないデザインに仕上げています。

SH-07Aは2番組同時視聴や裏番組録画が可能SH-07Aと卓上ホルダ

――今回の3機種は共通開発部分が多いということですが、ソフトウェア面では全機種ほぼ同等なのですか?

木戸氏
 ソフトウェアはほぼ共通ですが、Bluetoothの有無など、ハードウェア的な違いはあります。カメラの解像度は違っても、SH-05Aにもシーン自動認識やISO12800といった機能は搭載されています。

 このほかの新機能としては、デコメ絵文字入りメールをテキストから自動生成する「絵文字プラス」や電池残量のパーセント表示、音声入力によるメール作成や検索、ベールビューのカラー化などは全機種共通で搭載しています。ただしカメラで撮った動画をデコメ絵文字にする「モーションデコ」という機能だけは、SH-05Aのみの搭載となります。

――Bluetoothは今回、カーナビの連携などの機能が追加されていますね。

森光氏
 パイオニアさんのカーナビとの連携機能を搭載しました。ケータイでダウンロードした地点情報を車に乗った際に自動的にカーナビに送ったり、カーナビのディスプレイに不在着信や新着メールの有無を表示したりできます。これらの機能は、Bluetooth搭載のSH-06AとSH-07Aの両方で使えます。

 同様にBluetoothを使った機能としては、パソコンのマウスとして使える機能も搭載しました。PowerPointを使ってプレゼンテーションを行う時などにリモコンとして使えます。

防水モデルのSH-05A

――このラインナップの中では安価なSH-05Aが防水というのが面白いですね。

木戸氏
 防水は悩んだところです。ニーズはあるのですが、防水だからといって価格が高くなったり、サイズが大きくなったりしてはダメです。しかし当社のラインナップの中に常に防水モデルが1つ以上、店頭に並んでいる状態を続けたいとも思っています。

 SH-06Aでも防水を検討したのですが、防水によって液晶が小さくなったり、サイズが大きくなったりするよりは、スリムでコンパクトな方がPRIMEシリーズに合致する、と考えました。

 STYLEシリーズでは防水が受け入れられるだろうと考え、SH-05Aは防水仕様としました。一方で、よりコンパクトな昨冬モデルのSH-02Aについても継続して併売される予定です。SH-02A同様、SH-05Aもシーズンごとの単発商品と言うより、長い期間にわたって店頭に並ぶことを意識して、カラーバリエーションも多めに作っています。

――本日はお忙しいところありがとうございました。



(白根 雅彦)

2009/7/7 10:58