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「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」開発者インタビュー

映像にこだわる日立のビデオカメラケータイ


 前回、視差バリアによる映像の3D化という斬新な端末を送り出した日立が、KDDIの夏モデルとして挑戦したのが、ハイビジョンムービーの撮影が可能な端末「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」だ。ハイビジョン画質の美しさもさることながら、世界初というHDMI端子の搭載や、ビデオカメラらしさを追求したユニークな撮影スタイルも注目される。

 そこで開発にあたってのこだわりのポイントなどを、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 日立営業グループ マーケティングチーム チームリーダー 吉田征義氏、同マーケティングチーム 光永博史氏、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 第一事業部 戦略推進グループ 商品企画チーム 佐藤恵理奈氏、日立製作所 デザイン本部 情報ソリューションデザイン部 福田陽平氏、日立製作所 デザイン本部 ホームソリューションデザイン部 野村皓太郎氏に伺った。


吉田征義氏

――前回の3D液晶から、また切り口を変えてきました。最近、日立はずいぶんと飛ばしてるな、という感じがするんですが(笑)、それは御社としての映像部分へのこだわりでしょうか。

吉田氏
 おっしゃるとおりですね(笑)。今までのWoooケータイより、さらに映像に特化したケータイということで、ネーミングに関しても映像へのこだわりを表現した「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」としました。

――では開発コンセプトを教えてください。

吉田氏
 まず背景として、テレビなどのハイビジョン機器がご家庭にかなり浸透してきているという点が挙げられます。そこで、いつも身につけているケータイだからこそ、ハイビジョンの高画質なムービーを撮りたいときにすぐ撮れる、というコンセプトで企画しました。たとえば日常の中で、よく動くかわいいペットなど、写真ではなくムービーで残したい場面を「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」ならハイビジョン画質ですばやく撮影して残すことができるというわけです。ゆえに、使い勝手の上でも、従来のWoooケータイと比べて、機能面、デザイン面において、より映像に軸足を置いた商品となっています。

ビデオカメラとしての機能とデザインにこだわる

佐藤恵理奈氏
野村皓太郎氏
福田陽平氏

――どんなことが可能なのでしょうか。

佐藤氏
 まずは、なんといってもハイビジョンムービーが撮影できるというのが最大のポイントで、1280×720ピクセルで30fpsを実現しています。今回新たにハイビジョンムービー実現のため、新規に開発した高画質エンジン「Picture Master for Mobile」を搭載しています。画面は3.0インチのフルワイドVGAのIPS液晶で、視野角が広いので快適に撮影いただけると考えています。

 また、せっかくの高画質ですから、きれいな画質のままズームできるよう「光学3倍ズーム」を採用しています。さらに、日立独自の技術で実現した「音声ズーム」機能も搭載しています。映像をズームするときに音も一緒にズームし、遠くの音もくっきり録れる機能です。約1秒でムービーを起動できる「秒撮」モードもご用意しました。これは日立のビデオカメラの特長機能となりますが、いわゆるムービースタンバイモードのようなモードですね。このモードに設定しておけば、撮りたいシーンがきたら素早く撮影できます。

 ビデオカメラでもおなじみの「プログラムAE」を搭載していますので、シチュエーションに応じて「オート」、「ポートレート」、「スポットライト」、「サーフ&スノー」、「ローライト」を設定いただければ、シーンに応じた撮影設定ができます。最大5人までの顔を検出し、動く人の顔も追尾できる「顔ピタ」や手ブレ補正など、快適に撮影していただくための機能もしっかり搭載しています。

 録画モードは、高画質モード(HQ)、標準モード(HM)、長時間モード(HL)の3モードで、8GBのmicroSDHCカード(別売)ですと、長時間モードで最長約4時間の録画が可能です。今回1GBのmicroSDカードを試供品として同梱させていただきますので、買った日にすぐご利用いただけます。1GBですと、最長約30分の録画ができます。普通のムービーモードからは従来のQCIF、QVGA、VGAサイズのムービーも撮影できますので、目的に応じて使い分けていただけます。

 以上がムービー撮影機能ですが、もちろんフルスペックケータイですので、ケータイとしての機能も充実させました。カメラは500万画素のオートフォーカス付きカメラで、ムービー同様に光学3倍ズームがご利用いただけますし、デジタルズームと合わせると最大24倍までズームしてお使いいただけます。また最大9人まで対応した顔検出機能や手ブレ補正機能も搭載しています。その他にワンセグ、LISMO Video、ワイヤレスミュージック、PCサイトビューアー、PCドキュメントビューアー、モバイル辞典などの機能も充実させています。

――デザインでこだわった点はどこでしょうか。

野村氏
 従来のWoooケータイと同様、今回も「先進と上質」というデザインコンセプトのもと「Premium gadget」、「Innovative form factor」、「Direct operation」の3つを軸に“ビデオカメラとしてのデザイン”を追及しました。

 まず「Premium gadget」として、カメラとしての先進的な部分の表現と、カメラに見える造形を追及しています。上面に0.15mmのローレット形状を施したり、カメラのリングをイメージさせる印刷を施し、光学機器の緻密さを表しています。

 「Innovative form factor」としては、利用スタイルに合わせたカメラの配置にこだわりました。今回は通話などの「regular open style」と、動画やワンセグの視聴に便利な「wide open style」という従来からの2つのスタイルに加えて、ハイビジョンムービーの撮影スタイル「movie open style」が加わり、「3way Open Style」に進化していまして、ヒンジ部分にカメラを納めて、ビデオカメラとしての撮影スタイルを一番分かりやすい形状で表現しています。

 最後に「Direct operation」としては、サイドに配置した録画キーやズームキーと、ムービー操作キーというメニューを開かずに「音声ズーム」や「顔ピタ」などをダイレクトに使用できるキーボタンの配置にこだわりまして、ケータイとしての使いやすさを損なわずに、ハイビジョンムービーの撮影のしやすさを表現しています。

 カラーバリエーションはプロモーションカラーの「RAYS BLUE」に加えて「MICA BLACK」、「CASSIS RED」の3色を用意しました。いずれも光学機器のイメージを持った、アグレッシブで上質なイメージを持つカラーということで提案させていただいています。

福田氏
 カラーバリエーションに合わせてそれぞれ異なったGUIも用意しています。「RAYS BLUE」はレーザーで未来感をイメージさせる「ホログラム」、「MICA BLACK」はベーシックな使いやすさを追求しながら高品質感を表現した「ネオブラック」、「CASSIS RED」は高精細なグラフィックとアニメーションを表現した「モザイク」がテーマです。いずれもサクサクと動く操作性の良さを追求しつつも、近未来的なデザインや操作感が楽しめるように拘りました。

 日立といえばおなじみの「白くまくん」ケータイアレンジも、今回は親しみやすい2Dのシンプルなデザインで統一しました。世界観は日立の白くまくんの紹介ページに合わせています。待受画面は白くまくんの住んでいる家をイメージし、時間に合わせて室内の明るさが変わったりと、一緒に生活しているような感覚で眺められるものになってます。又、今回は正時になると白くまくんの“お父さん”も登場します。

 白くまくんの部屋には壁時計とエアコンが設置してあるのですが、実はよく見るとこのエアコンのルーバーが微妙に動いてるんです。言われないとわからないような演出ですが、そんな細かい部分もエアコンのデザイナーと相談しながら楽しく作りました。


正しい撮影スタイルは?

光永博史氏

――ハイビジョンムービーの正しい撮影スタイルを教えてください。

光永氏
 パネルを開いたらヒンジ部のカメラを前にむけて、ペンを持つような、つまむような感じでホールドします。撮影中はパネルをしっかりフックに固定していただきます。撮影中にはレンズそばのランプが赤く光り、スタンバイ中は緑になります。操作に関しては、サイドに「録画キー」や「ズームキー」など、ムービー操作キーを設けております。ズームキーは2段階のスイッチになっていまして、軽く押していただくとゆっくりズーム、強く押していただくと速くズームします。

――パネル部分に角度をつけてマルチアングル風にしてはいけないのでしょうか。

佐藤氏
 やろうと思えばできますが、落下時の破損などの懸念がありますので推奨していません。

――スタイルを知らないと、静止画を撮るときのように普通に開いて縦向きで撮ってしまいそうです。

吉田氏
 撮影自体は可能ですが、向きが90度傾いた状態で録画されてしまいますので、画面上に現れる「▲UP」のマークで向きを確認していただきたいですね。

――御社はビデオカメラも出されてますが、そのあたりのノウハウを活用されてるんですか?

佐藤氏
 そうですね。「顔ピタ」、「秒撮」モードなどは日立のビデオカメラのノウハウを活かしています。プログラムAEのシーンの設定にしても、日立のブルーレイカムと同じ設定です。

――光学3倍ズームも御社としては初めてですね。

光永氏
 はい。撮ってみると明らかに画質が違うと分かっていただけると思います。光学ズームを搭載することによりカメラ周りのサイズが少し大きくなっていますが、今回はクオリティを重視しました。

佐藤氏
 ズームをやるからには、2倍ではなく3倍をと考えました。例えば、結婚式で撮影することを考えても、やはり3倍は欲しいと思いますから。ちなみにレンズの画角は30-90mm(35mm換算)と広角めの仕様になっております。ムービー撮影時はマクロ設定で最短で約10cm離れた被写体も撮影できます。

――「音声ズーム」機能は、今回ケータイ向けに新たに開発されたということですが、どのような仕組みなのでしょうか。

佐藤氏
 ビデオカメラに搭載されている音声ズームの場合、マイクを5つ搭載して実現したりしてますが、今回はケータイ向けということで、3つのマイクで実現しています。それが通常のハイビジョンムービー撮影時はステレオマイクとしてお使いいただける背面パネルの2つのマイクと、通話用のマイクです。この3つで音の届く距離と角度を計算して、遠くの目的音をしっかり撮るという仕組みになっています。

 3つのマイクの位置で距離と角度を計算しているので、この機能が有効なのはmovie open styleのみとなります。光学3倍ズームで拡大した際、フレーム内に見えるバストアップした人間の音声をズームできるよう設計していますので、距離としては5mくらい離れた被写体の音でもしっかり録音できます。ですので、撮影時はマイクを塞がないように気をつけていただきたいです。

――ちなみに今回静止画カメラが500万画素ということなんですが、ここ最近のトレンドは800万画素、1000万画素にシフトしてきています。500万画素にした理由はあるのでしょうか?

吉田氏
 今回は「ハイビジョンムービーを撮る」という部分に注力していますので、静止画は500万画素としています。ただ、カメラの高画素化は今後の検討課題と考えています。

――バッテリーの持ち時間が気になりますが、フル充電で何分くらい撮影できますか。

佐藤氏
 モードで若干差はありますが、だいたい1時間半くらいになってます。ギリギリまで撮影できますが、電池が切れる前に保存してから終了するようになっていますのでご安心ください。

HDMI端子の実装は世界初

――撮影したムービーの楽しみ方について教えてください。

吉田氏
 今回はAV連携とPC連携の2種類のアウトプットを用意しました。AV連携としては、端末にHDMI(High-Definition Multimedia Interface)のタイプCという端子を搭載しましたので、オプションのケーブル1本で簡単にテレビにつないでハイビジョンの映像を楽しんでいただけます。テレビに接続した際の再生メニューは日立のビデオカメラと同様のGUIで作り込みました。また、Woooリンクというテレビリモコンで操作できる機能も搭載しています。

光永氏
 再生の機能で、新しく「プレイリスト」を入れてます。ファイルの実体はないんですけれども、プレイリストとして複数のファイルをヒモづけられるんですね。それを再生していただくと、そのファイルが連続して再生できますよ。

佐藤氏
 PC連携としては、SDカードとUSBケーブルの2種類を用意しています。本体で利用できるのはmicroSDまたはSDHCカードですので、それをSD変換アダプタやカードリーダーを通じてPCに挿してデータを取り込んでいただくか、試供品のUSBケーブルで接続してデータを移すことで、PCに保存したり、ディスクに焼いたりできます。

――HDMIの端子はすごいと思いました。おそらく世界初ではないですか?

光永氏
 ありがとうございます。おっしゃるとおりで世界初です。

――この端子の実装にはかなりコストがかかったのではないでしょうか。

吉田氏
 コストはかかっていますが、TVで観るというAV連携を考えると、やはりこの端子は必要だろうという結論になりまして。この端子があるからこそ、テレビにオプションのケーブルで接続して、手軽に撮影したハイビジョンムービーを楽しめるというわけです。

――ちなみに撮影したムービーを他機種にコピーして見られますか?

光永氏
 残念ながらそのままでは見られないので、変換が必要になります。

録画フォーマットは「3GPP2」、端末内での編集も可能

――変換といえば撮影後の編集環境が気になりますが、どのような機能を用意されていますか。

佐藤氏
 編集は端末か、PCに取り込んで編集ソフトで行うことになります。端末で行える編集機能としては、撮影したムービーの中から欲しいところだけを切り取る「切り出し」や、2つのシーンをつなげる「結合」、ムービーから静止画を1枚取り出せる「静止画キャプチャー」などがご利用いただけます。またVGAサイズや、メールに添付したいときはQCIFサイズにリサイズすることも可能です。

 録画フォーマットは「3GPP2」を採用しています。PC用の編集ソフトとして「3GPP2」に対応した「CyberLink PowerDirector Ultra」の体験版を、ダウンロードしてインストールしていただくと、30日間無料でご利用いただけますので、保存して、自分で楽しんだり、友達に配ったりできます。

――端末内での編集にはかなり時間かかりますか?

佐藤氏
 どのような編集を行うかや保存先によりますが、時間がかかってしまうこともあります。そのため編集時は、編集を優先して電波オフモードにしていただく設定と、音声やメール着信割り込みを優先していただく設定を選ぶことができます。

――パソコンで編集できない方でも、レコーダー内で編集するケースは結構あると思うんですが、レコーダーにつないでハードディスクにコピーしたり、ディスクにコピーすることは可能ですか?

佐藤氏
 現在「3GPP2」に対応しているレコーダーがないと思いますので、録画データの保存やコピーはPCで行っていただければと思います。

――御社のレコーダーやテレビなどに直接SDカードを挿して、そこで編集できるようになるとかなり便利でしょうね。

吉田氏
 広がりを持たせるという意味でも、そういう点は大事ですよね。今回搭載した「顔ピタ」や「秒撮」モードなどはビデオカメラの事業部と話をしながら進めたわけですが、今後もさらに連携していけたらと考えております。

――本日はありがとうございました。




(すずまり)

2009/7/29 15:15


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