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「簡単ケータイ K003」開発者インタビュー

スタイリッシュで持ち歩きたくなるケータイを目指して


 京セラから新たに登場した「簡単ケータイ K003」は、電源にスライド式のスイッチを採用し、カラーバリエーションに「カーキ」を採用するなどユニークな試みが行われている。

 開発にあたってのこだわりなどを、京セラ 通信機器関連事業本部マーケティング部 マーケティング課の田辺正昭氏、原田正夫氏、端末第4技術部 ユーザビリティ設計課の和田雄樹氏にお話を伺った。

開発コンセプト

――開発コンセプトを教えてください。

原田氏
 今回の商品は「洗練されたSimple & Beautyスタイル」をコンセプトに、友人や家族とのコミュニケーションを非常に大切にし、定年後の第2の人生も充実にしたものにして行きたいと思っているような、そんなポジティブで前向きな60代以上の男女をメインターゲットに開発しました。「簡単ケータイ」ですから、当然ターゲットユーザーのみなさんにとって視認性や操作性は大事です。そこで過度な機能がついているというより、機能面、デザイン面ともにシンプルで利便性の高いものを目指しています。

――デザイン面ではどんなところにこだわられたのでしょうか。

田辺氏
 「簡単ケータイ」というと、どうしてもシニア向けというデザインイメージになりがちなんですが、基本的には持って恥ずかしくないようなデザインを心がけました。年齢が上がるほどデザインに対する関心度は低くなる傾向にはあるんですが、まだ60代前半の方々というのは現役を退かれてすぐということもあって、デザインへのこだわりは強いんです。いわゆる「簡単ケータイ」っぽすぎるデザインはちょっと嫌だという意見も多々ありましたので、「簡単ケータイ」の使いやすそうなデザインはキープしつつも、カッコイイとまではいかないですが、これだったらオシャレで持ちたいなと思われるデザインを狙っています。

原田氏
 今回のデザインコンセプトは「ポジティブライフ」。毎日を明るくポジティブに世界を広げてくれるケータイをイメージしています。K003が、第2の人生を充実したものにして行きたいと考えるユーザーさんの後押しができるような存在になりたいと考えています。

 張りのある曲面が内部を優しく包み込む形状によって表現されたサイトビューと、ローコントラストの2トンカラーでシンプルでクリーンなイメージにまとめています。また、緩やかな傾斜を持たせることで、開けやすい構造も実現しています。操作性はあくまでも壊さずに、見た目をスッキリみせていくという部分を大事にしました。

――カラーバリエーションを拝見すると、なかなか珍しいカラーが含まれてますね。

原田正夫氏

原田氏
 「カーキ」ですね。人生を楽しもうとポジティブに考えるみなさんにプラスになるものということで、「潤い」をカラー全体のコンセプトに、落ち着いた色や安心できる色ということで、ホワイト、ゴールド、ピンクのほかに、4色目として「カーキ」という、「簡単ケータイ」としてはチャレンジングな色をご用意しました。

――なぜ「カーキ」を採用されたんですか。

田辺氏
 自分が年寄りだから「簡単ケータイ」だ……というよりは、積極的に「簡単ケータイ」を選んで使っていただける方をターゲットとしておりますので、そういった方にしっかり特徴的な、キャッチーな色というのをご用意したいなという思いがありました。この色が選ばれるまでに何種類か候補があったのですが、ターゲット層へのアンケート結果なども踏まえ、ご好評をいただいた色として採用した次第です。

――店頭に置かれていると「簡単ケータイ」と気づかないくらいの感じのデザインだと思います。

手前がA5528K、奥がK003
電源スイッチがスライド式に

原田氏
 2年前に弊社から出した「簡単ケータイA5528K」と比べても、大きくイメージが変わったものになったかなと思います。一つデザイン的な特徴として、今までの京セラの簡単ケータイは、全てフレームがない形状の「フレームレスキー」を採用していました。今回は一つの試みとして、独立キーを採用しています。フレームレスキーにはキーの面積が大きいため、キーの文字が大きく印刷できるというメリットがあります。しかし隣り合うキーが非常に近いことから、押し間違いも懸念されました。その点、独立キーは、押し間違えについてかなりの確率で防止することができます。そこで今回どちらがいいかを実際にユーザーのみなさんにアンケートを採らせていただき、独立キーを採用することになりました。

――4方向キーも独立していますね。

原田氏
 独立キーにしても、十字キーでひとグループ、通話/切キーでひとグループと分かるようにグルーピングすることで、視覚的にも触覚的にも分かるような配慮はしていますので、使いやすくなっていると思います。

――電源スイッチもスライド式ですね。

原田氏
 ショップの店員さんに話を伺いますと、やはり長押しが難しいというのもあるんですね。知らない間に押してしまっていて、電源が入らなくなってショップに聞きに来るという方も多いらしいんです。そこは誤操作防止と、よりわかりやすくするということで、あえて電源入/切のスイッチをつけています。

田辺氏
 例えば我々なら終話キーは軽く押しますよね。でも年配の方の中にはちょっと長く押しちゃう方がいらっしゃるんです。電話切ろうと思って長めに押したら電源切れちゃって、壊れたと思ってお店に行っちゃう、という例があるんですね。

――ということは、この端末は終話キーを長押ししても電源は落ちないということですか?

田辺氏
 はい。電源は落ちません。この辺は簡単ケータイならではの仕様になると思います。

――なるほど。他にデザイン面で配慮された点はありますか。

田辺氏
 カメラの位置を変更して、上筐体に持って行きました。年配の方もカメラを愛用される方は多いですが、今は下筐体にカメラがあるモデルが多いですよね。それではどうしても指がかかってしまって撮りにくいという声が多かったんです。構造的には下に入れた方がいろんな意味でメリットはあるんですが、あえて今回使い勝手を意識して、上筐体にカメラを配置しました。それによって指がかりなく簡単に撮影していただけるようになっています。

――そのほかに機能面で工夫されたところはどこでしょう?

そのとき使えるボタンが光る

原田氏
 機能面では視認性や操作性を非常に重視し、「見やすい」「聞きやすい」「押しやすい」「使いやすい」をポイントにしています。見やすさとしては、大きい2.8インチのWQVGA液晶と、1.4インチの大型のサブディスプレイを搭載しました。サブディスプレイはバックライトがOFFの時でも常に時計が表示しているので、サイドキーを押さなくてもいつでも時計代わりにご利用いただけます。コントラストもしっかりつけているので視認性も高いです。

 聞きやすさについては、今回初めて「ゆっくり通話」に対応しています。相手の話が早口で聞き取りにくいと感じたら、ボタン一つで、会話のペースを妨げない範囲でちょっとゆっくり聞こえるようにできます。騒がしい場所でもしっかりクリアに自分の声が相手に聞こえるように、ノイズキャンセル機能も新たにを搭載しています。こちらも手に持ったときマイクを隠してしまうと効果がでにくくなるので、指かかりがしにくいように配慮しました。

 使いやすさの面としては、操作キーを光で知らせる「光で操作ナビ」をバージョンアップさせています。従来は通話キーとセンターキーしか光らなかったんですが、今回からしっかりボタンに色ごとリンクさせているので、操作中にどのボタンを押せばいいかわかりやすくなりました。ソフトキーに機能が割り当たってないときは、そのキーは光らないなどの配慮もしています。

 さらに、今回新機能として、声でメニューを呼び出せる「音声認識」も可能になりました。サイドの「声認識キー」を押して「カメラを使う」「電話帳を見る」などと言っていただくとそれぞれの機能に関するメニューが出ます。視力の弱い方や、どう操作すれば目的のメニューにたどり着くか分からないという方でも、声でしっかり機能を呼び出せます。

和田雄樹氏
文字入力の練習機能

――これはすべての操作を音声でできるということですか?

和田氏
 基本は機能の呼び出しですね。電話をかけたり、メールするなどの基本操作に関しては2段階で用意しています。「音声読み上げ機能」と組み合わせれば、「カメラを使う」としゃべった後に、出て来たメニューを読み上げさせることも可能です。

――初めてケータイを購入された方は、メールを作成したくても文字入力が難しいですよね。

原田氏
 その辺りもサポートしています。「K003」で初めてケータイデビューされる方が、文字入力をじっくり学べる「文字入力練習」機能も用意してます。「メールを使ってみたい」と言うニーズはかなり高いので、そのハードルというのを少しでも下げたいというのが狙いです。ひらがなの入力から漢字の入力、予測変換まで一通り学習できる機能ですが、ヒントがでますので難しく考える必要はありません。目的のひらがなを表示するためにあと何回キーを押すかなどもガイドします。学習記録もありまして、問題をクリアするとスタンプが押され、達成感も味わえます。

 帰省のタイミングなどでお子さんが親御さんにケータイをプレゼントするケースが多いようですが、プレゼントした後、常に自分がそばについてサポートできるわけではないですよね。こういう機能があれば利用者がご自身で文字入力を勉強するいい機会になるのではと思います。

電源を入れて持ち歩きたくなるコンテンツの工夫も

さまざまな待受画面

――今回は歩数計も搭載されましたね。

原田氏
 はい。視認性、操作性以外の部分で、楽しく使っていただくという目的で、「簡単ケータイ」としては初めて歩数計を搭載しました。ただ歩数がカウントされるだけでは面白くありません。歩数計があっても、やる気が出なければ意味がありませんから、歩数に合わせて東海道五十三次を歩いたり、消費したカロリーがどんな食べ物に相当するのかを表示する待受Flashを用意するなどの工夫も凝らしています。

 女性なら「今どの食品程度のカロリーを消費したのかな?」という点も気になりますよね。

――確かにその気持ち分かります(笑)。

和田氏
 そこで、あくまでも目安ではあるんですが、身近な食品をたくさん入れて、同じ消費カロリーでも表示に飽きないように、パネルを開く度に3〜4つがランダムに表示するようにしています。

――コンソメスープときゅうりが一緒だったというのは意外ですね(笑)。

和田氏
 そういう発見をしていただけるところも一つの狙いでして(笑)、いかに楽しんで使っていただくかという配慮もさることながら、今日も歩こうかなと思っていただくために、下に「昨日は何カロリー歩きましたよ」という情報を出すようにしてるんですね。これを見ると、朝起きて、昨日これだけカロリー消費したから今日はそれ以上上を行ってやろうかなとか、昨日ゼロだったから、今日はがんばろうかなと思っていただけるかもしれない。歩くきっかけになればいいかなと思って前日の記録を出すようにしています。

 記録された歩数データは、サブディスプレイで簡単に確認できるほかに、健康系のメニューから起動するアプリで1週間単位、1カ月単位、1年単位にグラフ化したり、詳細なデータを確認することもできます。また、待受Flashは、ユーザーさんが歩数計を有効にすると自動的に画面が切り替わるFlashとしています。。機能をオンにしたのはいいけれど、歩数計に連動した壁紙に別途わざわざ切り替えなくてはいけないとなると、操作の壁が生じてしまいますし、楽しめる待受Flashが用意されていることすら知らずに終わってしまうケースもありえるかなと思いまして。

――東海道五十三次は、ゴールまで到達したらどうなるんでしょうか。

和田氏
 また江戸(東京)に向けて戻ります。

――つまり、東京と京都の間を行ったり来たりするんですか?

和田氏
 そうですね。東海道五十三次のすごさというのは、当時の人たちがその距離を何往復もしている点なんですね。ですので、ゴールしたら達成感を感じられる演出はしていますが、単純にゴールしておしまいではなく、また逆に向けて歩いて行く仕様にしています。非常に複雑な実装なので開発にはかなりのパワーを注ぎました。関係者にはお礼を申し上げたいです。

原田氏
 実はもう一つの狙いがありまして、初めてケータイをお持ちになる年配の方って、端末をを持たずに外出されてしまう方とか、持っていても電源を入れない方が結構いらっしゃるみたいなんですね。

――確かに自分が使うとき以外電源入れないため、家族に怒られるというパターンはよく聞きます。

原田氏
 歩数計を使うということは電源を入れて携帯することを意味していますので。

和田氏
 歩数計を見て「よし今日もがんばろう」というきっかけになるといいなという思いは非常に強くあります。

――ちなみに歩数データを他の人にメールで送るなどの機能はありますか?

田辺氏
 それは搭載していません。今回はユーザー自身が、健康に対する配慮としてこの歩数計をうまく使っていただきたいというコンセプトですので、残念ながら第三者による安全確認や、健康管理という機能は用意していません。

――新たに「フォトギャラリー」という機能もついたそうですが、どのような特徴があるのでしょうか。

原田氏
 ケータイに保存している画像って、メールに添付されたものや、本体のデータフォルダに保存したり、microSDカードに保存していたりということで、最終的にどこに画像があるのかわからなくなることって結構あると思うんです。そういったものを一覧でパーッと通して見ることができるのが「フォトギャラリー」です。

和田氏
 閲覧方法は3つご用意しています。「データを見る」というメニューがあるんですが、その中に普通にデータフォルダを見たり、microSDカードを見る項目と、フォトギャラリーを見る項目が並んでいます。従来通り見たい方はデータフォルダで、慣れてる方はフォトギャラリーで見ていただけます。

田辺氏
 これは簡単ケータイの中でも、ある程度ケータイに慣れた方が使っていただけるかなと思っています。

――こういうUIって普通のケータイにあってもいいのではとも思います。フォトギャラリーの表示パターンはこの1種類ですか?

和田氏
 縦型とS字と、シンプルなマトリクス型の3タイプですね。

田辺氏
 積極的に「K003」を持ち歩いていただいて、歩きながら歩数計をしっかり楽しんでいただいて、気になる風景をカメラで撮影したら、それを楽しく見ていただく……そんな風に、ポジティブに、健康的になっていただきたいなという思いがあります。

――それでは最後に一言お願いします。

原田氏
 今回の「K003」は従来の「簡単ケータイ」からデザイン面でも、シンプルで非常にスタイリッシュになったと考えていますし、また視認性、操作性に加えて、歩数計といった楽しさもプラスされています。ぜひ店頭で手に取ってそういった部分を実感していただけたらなぁと思います。

――本日はどうもありがとうございました。




(すずまり)

2009/8/17 19:33


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