「AQUOS SHOT SH003」開発者インタビュー
12メガCCD搭載でコンパクトデジタルカメラの置き換えを狙う
AQUOS SHOT SH003 |
この秋のauの発表会では、4つのシャープ製の新機種が発表された。そのうち2機種は春モデルだが、秋モデルとなる「SH003」は、1200万画素カメラを搭載し、「AQUOS SHOT」の名前を冠するカメラ重視のケータイとなっている。
今回は、発表された4機種のうち、AQUOS SHOT SH003を中心に、シャープの通信システム事業本部 パーソナル通信第三事業部 商品企画部 副参事の後藤正典氏と同部の都築郁雄氏に話を聞いた。
――まずはau向け新端末のラインナップについて、それぞれの端末の位置づけを教えてください。
後藤氏(右)と都築氏(左) |
SH004(右)とSH003(左) |
後藤氏
今回は春モデルを含めて4機種となります。秋冬では、カメラ機能を強化した「AQUOS SHOT SH003」と「SH004」の2機種を発売します。
シャープはケータイに初めてカメラを搭載してから、ケータイのカメラにこだわりを持って取り組んできました。昨年以来、CCD搭載の高画素モデルを発売していますが、特にその中でも、カメラが10メガピクセル以上で液晶が3.3インチ以上のモデルを「AQUOS SHOT」としてアピールしています。今回はSH003がAQUOS SHOTの名前を冠します。
AQUOS SHOTという商品は、コンパクトデジタルカメラの代わりとしてお使いいただけるように、デジタルカメラを超えようという思いを持って作っています。単純に画素数を増やすだけでなく、デジタルカメラのトレンドに沿った機能もフォローしながら、プラスアルファとして、ケータイならではのビューアーとしての楽しさや通信機能を活かしたブログアップロード機能などを盛り込んでいます。また、大きな進化としては、操作面にタッチパネルを採用しています。
SH004もカメラを前面に打ち出した商品ですが、こちらは基本的には春に発売されたSH001のデザインリニューアル商品です。ターゲットとしては女性を意識しています。背面パネルには少しテクスチャを入れて質感を変え、ワンポイントとして光るイルミネーションを追加しました。性能はSH001と同じで、8メガのCCDを搭載しています。
SH003とSH004が秋冬モデルになります。残りの2機種は来年の春モデルなっています。春モデルの1つが、SH003にWi-Fiを加えて強化した「AQUOS SHOT SH006」になります。
「SH005」は薄型トレンドを取り込みつつ防水としたスタンダードモデルです。SH005はauさん向けでは初めての多色展開、7色のカラーバリエーションで登場します。
――SH003はカメラを重視されたと言うことですが、どのように進化しているのでしょうか。
SH003はスイベルデザインを採用する |
SH003は3色のカラーバリエーションが用意される |
都築氏
1210万画素のCCDカメラとなりました。さらにシャープ独自の画像処理エンジン「ProPix」で、暗い場所での高感度撮影やノイズ低減処理で、自然に美しく表現できるというCCDの特徴を活かした絵作りが可能になっています。
性能としては、最大でISO12800相当の高感度撮影に対応しました。SH001がISO2500だったので、だいぶ感度は向上しています。
高感度撮影だけでなく、高輝度LEDフラッシュも搭載しています。これは従来のライトより、3~4倍は明るくなっています。最大でガイドナンバー(フラッシュの明るさの単位)で1.0相当の明るさになっています。
このほかには、画像サイズを自動で小さくしつつデジタルズームをする「スマートリサイズズーム」を搭載しています。レリーズタイムラグも短縮され、従来よりも3~4倍速くなり、狙ったタイミングで撮影しやすくなっています。バックグラウンド保存も今回から搭載していて、画像データを保存しながら次の撮影に移れるようになりました。
このほかの手ぶれ補正などの機能は従来機種同様に搭載しています。チェイスフォーカスやコンティニュアスAFは、今回は初期設定でONになっています。ケータイなので細かい機能にこだわらずに気軽に撮影する人が多いかと思いますが、そういった方のために、初期設定を変更しました。チェイスフォーカスは、タッチすればその被写体を自動で追い続けます。
笑顔フォーカスシャッターにも対応しています。今回は5人まで顔を認識し、タップしてフォーカスを当てる顔を選べます。
また、シーン自動検出機能も搭載しています。オードでシーン設定を切り替えてくれるのですが、バーコードリーダーや名刺リーダーも自動で切り替わります。
セレクト撮影という機能は、ちょっとわかりにくいのですが、1メガサイズや壁紙サイズの画像を高速連続撮影し、そのうち好きな画像だけを保存することができます。複数の画像から1枚の画像に合成するストロボフォト機能もあります。
撮影した画像をすぐにブログなどにアップロードするブログアップ機能や、雑誌などに掲載されている店舗情報を一括で読み取る情報リーダー機能、カメラを使った絵文字メーカー機能をなど、ケータイならではの連動機能も搭載しています。
また、フォトビューアー機能は、タッチ操作で直感的に操作できるよう、シャープが独自に作っています。さらにカレンダーと連携し、いつどのような写真を撮ったかが、日付ごとに分類されるようになっています。
――今回はタッチパネルを搭載されていますが、カメラ周りの操作性はどうなっているのでしょうか。
タッチパネルだけでカメラの各種操作ができる |
都築氏
タッチパネルによるカメラの操作性にはかなりこだわっています。たとえば撮影画面で左右にフリックするとズームし、上下にフリックすると明るさ調整をします。タッチでフォーカスしたい場所を指定できるなど、直感的なタッチ操作が可能になっています。
さらに画面の左右に5つずつ、見やすくわかりやすい大きさ・デザインのアイコンを置いています。この10個のアイコンは、ユーザーに使っていただきたい項目を抜粋しています。このアイコンで直接設定できないところは、右下のサブメニューアイコンから行います。基本的には、すべての操作がこのビューアーポジション(液晶を表に出したまま折りたたむ形状)のタッチ操作で可能になっています。
ケータイのカメラなので、カメラに詳しくない人も使います。そういった人にも、新しい撮り方ができることに気がついてもらえるよう、アイコンなどで工夫しました。何も知らないユーザーでも便利に使えることにこだわっています。
――カメラはビューアーポジションで使うことを重視しているのですか?
都築氏
そうですね。しかし端末を縦に開いて撮る人もいるので、そちらも考慮し、開いた状態でもタッチ操作ができたり、従来通りテンキーでも操作できるようにしています。
後藤氏
ケータイのカメラに慣れている人は、オープン状態での操作に慣れていると思いますので。ただ、どちらかというとビューアーポジションがカメラの形になるので、そこでの操作性が重要だと考えています。
――カメラ以外のタッチ操作としては、夏モデルのSportio water beat同様のタッチによる文字入力なども可能なのですね。
都築氏
ベースは同じですが、文字入力以外のインターフェイスは変更しています。今回はタッチ操作と言うことで、操作ガイドをプリセットしています。さらにタッチ操作とカメラ操作のガイドブックを同梱しています。取扱説明書はなかなか読んでもらえないのですが、10分でも5分でもこの冊子を読んでもらえれば、と思っています。
SH003のカメラ部分 |
SH003の背面パネルはヘアラインデザインになっている |
――カメラレンズ周りのデザインも特徴的ですね。
都築氏
カメラ周りのデザインとしては、カメラリングに金属蒸着を施しています。さらにシャッターキーにはスピン加工をして高性能感を演出しています。また、カメラのある面だけでなく、ディスプレイの背面もヘアライン加工を施し、高級感あふれるデザインとしています。
あとはLEDイルミネーションが16階調を使って表現されています。これまでのケータイの中で階調がもっとも美しく表現できたと自負しています。
――イルミネーションが透過するのが綺麗ですが、ヘアラインのあるパネルを透過するのはすごいですね。
後藤氏
ここはかなり複雑な加工を施しています。W61SHでもパネルをLEDが透過するデザインでしたが、それに比べるとLEDに階調がついて、さらにパネルに質感がついたところが進化しています。
――カメラ以外の機能は?
都築氏
新しい機能としては、AQUOSブルーレイとの連携機能が追加されています。AQUOSブルーレイレコーダで録画した番組を転送することができます。対応するAQUOSブルーレイは、10月以降発売の3機種を予定しています。
このほかの機能としては、クイックアクセスやダイレクトアクセスキーは従来通り搭載しています。シークレットフォルダ機能も搭載しています。これは人物を登録すれば、その人物からのメールのフォルダ自体を表示しないので、受信しているかどうかも隠してしまいます。
SH004は女性を意識したデザイン・カラーを採用している |
――SH004の方はSH001をベースにされていると言うことですが、デザイン面以外での変更はあるのでしょうか?
後藤氏
中身は基本的には同じです。ただ、内蔵コンテンツは変わっていまして、絵文字も3000種類に対応しました。
――本日はお忙しいところありがとうございました。
2009/10/30 18:55