「SH-03B」開発者インタビュー

女性にも使いやすいiモード+QWERTYキーボード


 AQUOSケータイ SH-03Bは、QWERTYキーを持つiモード端末の2代目。先代のSH-04Aよりさらに大画面になり、数字キーが1列追加されるなどの改良が施されているだけでなく、クリスタル調のデザインと幻想的なイルミネーションが採用され、見た目もよりスタイリッシュになっているのが特徴だ。

 SH-03Bの開発経緯やコンセプトなどを、シャープの通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部 副参事の高木健次氏と、同部 山崎任彦氏に伺った。

もっと女性にアピールできる端末に

高木健次氏

――SH-03BはQWERTYキーボード搭載端末の2代目です。1代目のSH-04Aへの反響はいかがでしたか?

高木氏
 おかげさまでたくさんのお客様にお使いいただいております。アンケートをとったところ、第一にQWERTYキーボードを搭載したこと、そしてタッチパネルという点を評価していただいたようです。

――購入者の男女比などはいかがでしょう?

高木氏
 このようなキーボード付きの端末は他にもみられますが、比較的法人契約比率が高いんですね。このモデルについては法人の比率が通常のFOMA端末と変わらないと聞いております。やはりこういう端末ですから男性が多いんですが、その中でも1/4は女性が占めているんです。しかも若い女性にご購入いただいているようです。

 そこで、もっと女性層にアピールしようというのが今回のSH-03Bになります。女性のほうがメールの利用頻度も高いですし、私のように「帰ります」でおしまいのような単文ではなく(苦笑)、非常に長いメールを作成されます。ですからメールやブログをよく利用される女性のニーズに応えていこうと考えました。

――具体的にはどんな点にこだわったのでしょうか。

高木氏
 女性の心をどう掴むかというのは非常に難しいテーマですが、まずはやはりデザインですね。QWERTYキーボードが付いた端末ですので、難しいイメージに捉えられたらいけませんから。それをいかに使いやすいUIにして提供するか、この2点を重点的に考慮して開発しました。

 デザインに関してはSH-04Aにもピンクゴールドという色を入れて3色展開していますが、今回は特に女性にフォーカスするということでマゼンタを追加しています。従来の液晶は周辺が黒一色でしたが、今回は表から見るとパッと色が分かるようカラー化を図っています。さらにイルミネーションにもこだわりました。UIについてはタッチパネルの使いやすさ、キーボードの使いやすさ、大画面の見やすさの3点を中心に追求しています。

 性能面としては、SH-03Bは個人検出撮影が可能な5メガのカメラ機能、プリティカメラ機能、歩数計、モーションコントロールを応用して端末を裏返したらサイレントになるというクイックサイレント、ブルーレイディスクレコーダーとの連携機能を搭載しています。

山崎任彦氏

山崎氏
 SH-01Bでも好評だった手書き機能にも対応しています。SH-01Bでは、写真の上に文字を書いて年賀状みたいなイメージで送るというのが、女性に好評だと聞いておりますので、このモデルでも引き続き搭載しました。

――カメラの画素数は現在10メガを超えてきていますが、5メガにしたのは何か理由があるのですか?

高木氏
 この端末はビューアーやメールという点を重視した形になっているので、やはりこのサイズ感を守りたかったというのが最大の理由ですね。8メガや10メガになりますとモジュールが大きくなり、後ろに出っ張ってしまうんです。すると置いたときや手に持ったときに違和感が生じてしまいますので、現段階では5メガが最適だろうということで採用しています。モジュールの小型化が進めば、当然、高画素のものを搭載していくことになると思います。

山崎氏
 画素数は5メガですが、人物、夜景、夜景+人物、風景、料理、文字というのシーンを自動検出できます。例えば夜景であるとか、食べ物であるとか、シーンや被写体を自動的に判別して最適に調整する機能も入っていますので、ブログ用の写真などを手軽に撮影していただけると思います。

QWERTYキーボードは数字キーを追加して4列に

SH-04A(右)との比較

――パッと拝見して、やはり一番大きく変わったのはQWERTYキーボードですね。4列になって、数字キーや絵文字キーが追加されました。

高木氏
 そうですね。SH-04Aは3列のキーボードでしたが、今回数字キーを独立してよりパソコンに近いレイアウトに改善しました。従来ですとファンクションキーを押しながら数字を入力していましたが、これからはダイレクトに数字を入力できます。いつどこで何時に待ち合わせする、というときも数字を入れる機会というのは結構多いので、それをスムーズに入力できるようになったというのがポイントですね。

――この改善はやはりユーザーからの要望が多かったからでしょうか? ほぼ同じサイズ感の中で4列というと、それぞれのキーが小さくなるというデメリットもあると思いますが。

山崎氏
 はい。実際にお買い求めいただいたユーザーさんを調査したところ、自由回答の部分で数字キーが欲しいという方がかなりいらっしゃいました。SH-04Aからの改善点で一番要望の大きかったところですね。

 キーボードの4列化、数字キーの独立ともに社内でも賛否両論ありました。SH-04Aでどんな点が評判がよかったかといえば、キーが押しやすかった、わかりやすかったというところなんですね。そこにさらに1列10個分のキーが増えることで、かなり抵抗感があるのではないかという懸念があったのですが、実際に実寸大のサンプルを作って調査した結果、4列のほうが打ちやすそうだという結論に至りました。

――数字キーの部分以外も結構変わっているところがあるようです。変更点や意図を教えてください。

高木氏
 今回はシフトキー、ファンクションキーのロック機能を設けました。SH-04Aではファンクションキーを押しながらの操作ということで、指を2本使う必要がありました。今回は一度押せばファンクションキーをロックできますので、指1本でスムーズな操作が可能になっています。シフトキーも同様にロック機能をつけました。

山崎氏
 4列になったことで、数字キーが独立しただけでなく、()、<>、「」などの括弧や「%」「&」「'」「+」「=」「・」などの記号も新たに増やせました。普段よくメールなどで使うような記号を中心にピックアップしています。

 また、文字の打ちやすさを徹底的に追求しようということで、コピー&ペースト関係の操作も簡単にできるように改善しています。SH-04AではファンクションとシフトとZといった風に、3つのキーを同時に押すと、アンドゥ、コピー、カット、ペーストができたんですが、今回はファンクションとの組み合わせのみでできるようにしました。

 それから、英字の入力もスムーズにできるようにしています。入力モードを変更しなくても、シフトキーとアルファベットのキーを押せば簡易的に英字モードになるので、例えば「Sharp」が「しゃrp」にならずに済みますし、「ケータイ Watch」と打つような場合でも日本語入力状態のままで英字が入力できるようになっています。

画面が広くなり、「参照返信」が可能に

――画面がかなり広くなってスッキリしました。

山崎氏
 SH-03Bは画面を大きくしようということで、ドコモ向けでは最大のサイズの3.7インチフルワイドVGAの液晶を搭載しました。従来より0.2インチ大きくしています。

 タッチパネルのUIも改善していまして、まずSH-04Aでご好評の待受タッチランチャーに、自由にアプリを設定できるようにしました。特定の相手の電話番号もアイコンとして置くことができますので、簡単な操作で電話をかけられます。

 画面が広くなりましたので、メールのUIも改善し、受信メールを参照しながら返信メールを作成できる「参照返信」という機能を搭載しました。参照画面もタッチでダイレクトにスクロールできますので、長文でも見やすい表示になると思います。

 今回QWERTYキーだけではなくて、タッチでの文字入力も強化し、文字入力パネル上にひらがな以外の数字/英字をあわせて表記し、カナ英数変換をしやすくしています。また、変換候補の表示数を1行から2行に増やし、タッチの回数を減らし、選択しやすくしました。QWERTYキーでの文字入力中を含め、変換中は実際に変換候補に触っていただければダイレクトに決められます。

――前のモデルと比較して面白いと思ったのが絵文字キーの存在ですが、そこはやはり女性を意識されてる部分ですか?

高木氏
 そうですね。この端末はiモード端末ですので、こういった絵文字やデコメはスマートフォンと違ったところです。この部分は強みにしていきたいですね。

その他の強化点

――その他の改善点や強化点などがありましたら教えてください。

山崎氏
 ワンセグのタッチ操作も強化しました。従来のチャンネルは横フリックで1つ1つ変えていかなくてはいけなかったんですが、今回はテレビのチャンネルボタンのような感覚で観たいチャンネルをダイレクトに切り替えられるようにしています。また、ピンチ操作で素早くデータ放送の画面に切り替えたり、タッチ操作でデータ放送を引き出したりと、操作でも快適に楽しんでいただけるよう工夫しました。チャンネルのエリア切り替えでも日本地図を使って、直感的にエリアを選択、絞り込みできるようにしています。

――Webページのブラウジング面ではいかがでしょうか。

山崎氏
 ブラウザ画面上でのピンチ操作による画面の拡大/縮小にも対応しました。また、画面が広くなったとはいっても横画面での幅は854ドットなので、パソコン用のWebページの中には1024ドットのものも多いですから、当然収まりきらなくなります。すると少しだけ横スクロールが発生してしまい不便ですよね。そこで標準の表示サイズを80%に縮小し、横スクロールなしで、縦スクロールだけでご覧いただけるようにしました。些細なことですが、細かいストレスをなくし、スムーズに楽しんでいただくための配慮です。

――表示サイズの変更はできるんですか?

山崎氏
 数字キーの1と3で段階的な拡大・縮小が可能です。ピンチ操作でも表示サイズを変更できます。

――このほかカタログに書いていないような改善ポイントがありましたら教えてください。

高木氏
 SH-04Aでは待受画面で日にちをタッチするとスケジュールが起動するという機能がありましたが、今回はさらに時刻をタッチするとアラームの設定に切り替わるようになっています。

クリスタル調のイルミネーションで透明感を演出

――SH-03Bでは端末のコーナー部分が透明になっていますが、ちょっと珍しいデザインですね。

山崎氏
 そうなんです。今回はその上筐体のコーナー4箇所が光るようになっています。それぞれに3色LEDが入っていますので、レインボー、オーロラ、サンセットなど、色やパターンを変えて幻想的にイルミネーションします。

高木氏
 この2009年の冬モデルはSH-01Bのサイドイルミ、SH-02Bの星空イルミ、そしてSH-03Bの4コーナーイルミということで、クリスタルとイルミネーションの組み合わせというのを、統一したデザインテーマにしています。

――キーの部分は光らないんですか?

山崎氏
 白色LEDを搭載し、暗いところでも見えるようにしています。

――これからイルミネーションに力を入れていくのでしょうか?

高木氏
 そうですね。我々はクリスタルをテーマに、表側のデザインと組み合わせてどこまでいけるか追求していこうと思っています。

――本日はどうもありがとうございました。



(すずまり)

2010/2/18 09:00