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KDDI に聞く

au oneが検索機能を強化、その背景とは


 KDDIは、auの携帯電話から利用できる「au one」の検索機能「au one検索」を2月26日にリニューアルした。リニューアルの内容や背景について、同社コンテンツメディア本部ポータルグループの江幡智広氏、鈴木正成氏、本郷郁子氏に聞いた。

旬の情報、探しているものを見つけられるように

 今回の「au one検索」リニューアルでは、2つ以上のキーワード入力でユーザーが求めるコンテンツを判定し、検索結果上部に表示する機能が加えられた。また、EZweb公式サイトの検索結果は各公式サイトのトップページへリンクするようになったほか、「公式サイト/ケータイサイト(一般サイト)/パソコン向けサイト」という分類をやめて、一覧で表示するようにしている。

 従来のグーグルによる検索エンジンはWebサイト検索で提供しつつ、検索結果上部にユーザーが求めるコンテンツを表示するという新機能は、きざしカンパニーの検索エンジンを元にカスタマイズして実現した。グーグルが、いわば“世界基準”の検索技術であるのに対し、日本のケータイユーザーにあわせた検索結果になることを目指したことから、独自のカスタマイズを採用することになった。つまり、検索結果の最上部は「ユーザーが見たいもの(探していたもの)が最初に表示されるべき」(鈴木氏)という考えに基づいた結果だという。

 きざしカンパニーのエンジンを採用したのは、Webサイトや着うたなど携帯向けコンテンツ、ニュースなどさまざまなデータベースから、的確な検索結果を導きだすことを重要視したため。ブログなどの動向をスピーディに把握できる仕組みなどを取り入れていることが評価された。

 

ユーザーの動向が検索エンジンの方向性を示す

 携帯電話から利用できる検索サービスは、グーグルやヤフーといったパソコン向けサービスを展開する事業者だけではなく、エフルートなど携帯電話に特化した形で展開する事業者もある。そのなかで「au one検索」は、auユーザーの多くから利用されている。

 auとグーグルが提携し、EZwebにグーグルの検索エンジンが導入されたのは2006年7月のこと。それから約3年9カ月経った現在、検索エンジンの利用動向から、ユーザーがその時々の話題へ敏感に反応し、携帯電話で検索していることがわかってきた。たとえば、昼正午に定番のテレビ番組が始まれば、その番組名での検索がぐっと増える。何か事件が起これば、関連ワードでの検索も行われる。“旬のテーマ”が続々と移り変わっていくという流れに対し、ユーザーはすぐ側にあるデバイスで検索する。そういったデバイスの代表格が携帯電話と言える。

 先述したように「ユーザーが見たいもの(探していたもの)が最初に表示されるべき」というコンセプトに基づいてチューニングされた「au one検索」は、2月26日に公開された。その日、世間で話題だったのは、バンクーバー五輪の女子フィギュア決勝。リニューアルしたばかりの「au one検索」で、出場選手の名前である「浅田真央」という検索が大幅に増加したが、その検索結果では銀メダルに輝いた浅田真央の写真が表示された。このときは「今、この結果が出せるのはau one検索だけと思った」(本郷氏)という。

左から江幡氏、鈴木氏、本郷氏

 2006年の検索サービス導入以降、ユーザーの利用は徐々に増えてきた。最近では、SNSやブログにはブックマークでアクセスする一方、天気や乗り換えなどは検索経由で調べる人が増えてきた実感があるという。

 また改善点のうち、公式サイト検索で「公式サイトのトップメニュー」を検索結果に表示するようにしたのは、有料コンテンツを提供するEZwebならではのポイント。公式サイトや一般サイト、PCサイトを分けずに表示するようになったが、特にPCサイトについては、「携帯電話からそういったサイトへアクセスするのか」といった点で議論を重ねた。最終的には、ユーザーにとって見たい情報が得られるサイトへ、スムーズにアクセスできることを重視した結果。見せ方を変更したことで、リニューアル後、ユーザーからの問い合わせも寄せられたが、徐々に減少しているという。

 

今後の課題、スマートフォンへの考え方

 auでは今夏、スマートフォン2機種を提供する方針を明らかにしている。「au one検索」はこれまで、一般的な携帯電話で利用されるばかりだったが、スマートフォンにはどう対応するのか。

 この点について、江幡氏は「スマートフォン向け検索サービスは、一般的な携帯電話向けとは違うものにすべきと考えている。オープンプラットフォームの端末ならではという部分もあり、使いたいコンテンツも異なる」と語る。単純な話として、着うたやゲームアプリは、いわゆるスマートフォンでは使えない。そういったサイトを検索結果で案内しても意味がない。ではPCサイトへアクセスできるようにすれば、という考え方もできるが、パソコンとは異なるディスプレイ解像度であるスマートフォンで、どのようなユーザーインターフェイス、表示が適しているのか、検討すべき課題は多いようだ。

 スマートフォン相手の検索機能の開発は、「au one検索」にとって、これまでのノウハウが通用しない相手か? という問いに対して本郷氏は「スマートフォンでも活きるノウハウがある」と述べる。これは、検索キーワードが入力されてから、表示されるまでの時間のこと。今回のリニューアルでは、目標値を上回るレスポンスを実現したとのことで、従来よりも高速化した。検索時の処理自体は、従来よりも増えたにも関わらず、検索結果の表示までの時間が短縮できたことは、今後に繋がる成果だ。

 パソコン向け検索サービスでは、グーグルがリアルタイム検索、ニュース検索を導入したり、マイクロソフトがBingといった検索エンジンを開発したりするなど、依然として活発に動いている。一方、携帯向け検索もコンテンツの見つけやすさやパソコンサイトの変換など、さまざまな改善が図られてきた。今回の「au one検索」リニューアルは、従来の利用スタイルを踏まえ、大幅な使い勝手の変更を加えることなく、静かに行われた印象もある。しかし、携帯ならでは、あるいは隅々まで浸透した日本のモバイルインターネットならではの改善を図った内容と言えそうだ。

 



(関口 聖)

2010/3/29 15:25