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「SC-01B」開発者インタビュー

サムスンによるフルキー&タッチのストレート端末


SC-01B

 今春、サムスン電子が開発したドコモ向け端末「SC-01B」が発売された。SC-01Bはサムスン電子初のドコモ向け端末であるとともに、ストレートデザインながらフルキーボードとタッチパネルディスプレイを搭載するという珍しいスタイルのスマートフォンだ。

 プラットフォームはWindows Mobileだが、海外では多数のスマートフォンを手掛けるサムスン電子としては意外なことに、日本でのWindows Mobile端末は、昨年末のソフトバンク向け「X01SC」に続く2機種目となる。

 今回はこのSC-01Bについて、サムスン電子の国内向け携帯電話を統括するサムスンテレコムジャパンの端末営業部部長のオウ チャンミン(CHANGMIN OH)氏と端末営業部端末営業Part次長の阿部崇氏に話を聞いた。

――まずはSC-01Bの概要のご紹介をお願いします。

サムスンの阿部氏
タッチパネルに対応するので、スタイラスが付属する

阿部氏
 SC-01Bは、ストレートデザインにフルキーボードを搭載しながらタッチパネルディスプレイにも対応しているのが特徴になります。そこにWindows Mobile 6.5を組み込んだことで、ビジネスシーンでも有効に使っていただける端末に仕上げました。タッチパネルについては、サムスンが得意とするウィジェットなど使い勝手の良いソリューションを提供いたします。

――御社は昨年末にソフトバンク向けで似たデザインのスマートフォン、X01SCを出されていますね。

阿部氏
 X01SCの方もストレート型でフルキーボードスタイルですが、あちらはタッチパネルディスプレイではないので、プラットフォームはWindows Mobile 6.5 Standardとなっています。しかしSC-01Bはタッチパネル対応なので、Windows Mobile 6.5 Professionalです。また、X01SCのディスプレイは横長のQVGA解像度ですが、SC-01Bは320×320の正方形で、よりディスプレイが大きくなっています。

――正方形のディスプレイは珍しいですね。なぜディスプレイを大きくされたのでしょうか?

阿部氏
 サムスン側の提案とドコモさんからの要望により、メニューを見やすく操作しやすくするために、画面サイズを大きくしました。

――海外、とくに北米ではこういったフルキーボード搭載端末が多いですが、SC-01Bはサムスンさんが海外で発売済みの端末を日本向けにローカライズした、というわけではないのですか?

阿部氏
 似たようなデザインの端末はありますが、基本的に違うものです。中身のソフトウェアはもちろん日本向けにカスタマイズしていますが、ハードウェア的にもデザインが同じものは海外では発売されていません。

――海外で発売されている端末との違いは?

阿部氏
 フルキーボード端末は横幅の広いデザインのものが多いですが、日本では小柄な手の人が多いので、数値的にも感覚的にもスリムに、片手でも操作しやすいボディサイズに仕上げています。

――動画フォーマットのDivXにも対応し、国内のケータイとしては初めて対応機器としての認証も取得されていますね。

阿部氏
 DivX対応については、サムスンとしてもグローバル向けでは搭載している端末はありました。SC-01Bの製品位置付け的に、マルチメディア機能へのニーズは高いところなので、圧縮率の良いビデオフォーマットであるDivXも採用しました。

SC-01Bのキーボード。日本語入力で多用するハイフンキーも用意されている

――フルキーボードを搭載されていますが、フルキーボード搭載機ならではの機能や特徴はありますか?

阿部氏
 キーボードによるショートカット操作を組み込んでいます。たとえばスペースキーの長押しでブラウザが立ち上がったり、OKキーの長押しでタスクマネージャーが立ち上がったりします。よく使う機能にはワンステップで行けるよう、改良を加えました。待受画面からキーボード入力すると、そのまま電話帳のインクリメンタルサーチが行えます。

 さらに「moTweets」という有料のTwitterクライアントを、期間限定でSC-01B向けに無償で提供しています(3月25日で終了)。SC-01Bにはフルキーボードが搭載されているので、やはり文字の打ちやすさを活かせるアプリやサービスを積極的に使っていただきたいと考えています。

待受画面はサムスン独自のものも用意。ウィジェットも配置できる 電話帳のインクリメンタルサーチ

――御社が想定されるSC-01Bのターゲット層はどのあたりでしょうか。

阿部氏
 形状からいって、男性中心になるかな、と思っています。法人需要もあると思いますが、20〜40代のいわゆるビジネスコンシューマーを想定して商品を企画しました。

――女性ユーザーは?

少しパープルよりのカラーと丸みを帯びたデザイン

阿部氏
 男性中心ではありますが、パープルの色合いや曲面を多用するデザインは、女性もイメージして作っています。フルキーボード搭載によりメールやTwitterなどが使いやすくなっているので、そのあたりをヘビーに使う女性にも使いこなしていただけると考えています。

――スマートフォンというと、アプリをどのように流通させるかが重要かと思いますが、御社独自で何か検討していたりするのでしょうか?

阿部氏
 サムスンとしてサイトなどを提供する予定は、現時点ではありません。しかし、アプリの開発者に対する評価機の貸し出しなどを積極的に行い、対応アプリを増やすサポートをしています。マイクロソフトのWindows Marketplaceで配信されているSC-01B対応アプリは、まだ数が多くはありませんが、今後こういったサポートによりアプリ数が増えていくと思います。

――なぜ今回、ドコモに初参入されるにあたり、Windows Mobile搭載のスマートフォンを投入されたのでしょうか?

阿部氏
 ドコモさんに対し、いろいろな提案をさせていただいていました。ドコモさんはスマートフォンに力を入れていますし、サムスンとしてもiモード端末では海外の経験をそのまま持って来られない部分もあるので、スマートフォンということになりました。

サムスンのオウ氏

オウ氏
 基本的に両社がハッピーになることができなければビジネスはできません。我々がフィーチャーフォン(スマートフォンではない普通のケータイ)を供給することでドコモさんがハッピーになれるかを考えると、いまは厳しいところがあると思います。日本のメーカーなどが立派なフィーチャーフォンを出しているなかで、サムスンも同じ方向性の端末を出してハッピーになれるのか。そこでハッピーになれないのであれば、別のハッピーになれる世界を提供していきたい。そしてそれはスマートフォンの世界だと考えています。

――スマートフォン分野ではiPhoneとAndroidが急成長し、注目を集めています。とくにサムスンさんは海外でAndroid端末も発表されています。なぜいまこのタイミングでWindows Mobile 6.5を採用されたのでしょうか?

巨大なバッテリを搭載。バッテリの持ちには自信があるという

阿部氏
 サムスンはこれまで、日本国内ではソフトバンクさん向けに「OMNIA」シリーズとしてフィーチャーフォンを提供していました。そして昨年末、ソフトバンクさん向けにWindows Mobile搭載のスマートフォンX01SCを提供し、ここまで来ました。

 サムスンはほぼすべてのOSを扱っています。しかしやはりWindows Mobileは歴史があり、サムスン自身が手掛けた機種数も多く、これまでの経験が活かせる手堅いところでもあるので、Windows Mobileを選びました。

 Androidは注目を集めていますが、日本でのオープンOSスマートフォンというと、Windows Mobileがまだまだ強いです。過去のWindows Mobile端末からのリプレースもありますし、これから新たに使い始める人もいると思うので、いまでもWindows Mobileには十分なニーズがあると考えています。

――ソフトバンク、ドコモと参入されて、残る3大キャリアはauということになりました。

オウ氏
 サムスンの強みは、世界中のどこの事業者とも一緒にやれる資産を持っていることにあります。すべてのソフトウェアプラットフォーム、ハードウェアプラットフォームを手掛けています。いつでもどことでもビジネスができます。しかし先ほど言いましたように、どうすればハッピーになれるか、このことを現在勉強中です。

――本日はお忙しいところありがとうございました。



(白根 雅彦)

2010/4/2 06:00