「F-01C」開発者インタビュー

「激速タッチパネル」で「ハイスペックスリム防水」の最強ケータイ


F-01C

 富士通はNTTドコモ向けに、「F-01C」を発売した。この2軸ヒンジスタイルを採用するF-01Cは、iモード端末ながら、全部入りのハイスペック性とスマートフォン顔負けのタッチパネル操作感、さらに防水とコンパクトさを兼ね備えた、まさに今冬最強としか言いようのないモデルに仕上がっている。

 今回はこのF-01Cについて、富士通のモバイルフォン事業本部 モバイルフォン事業部 第五技術部の久保洋氏、同事業部 第一技術部の間野功氏、同事業本部 マーケティング統括部 第一プロダクトマーケティングの増田茂則氏に話を聞いた。

――まずF-01Cのコンセプトというか製品の位置づけからご紹介をお願いします。

久保氏
 F-01CはPRIMEシリーズで、形式的には今夏のスイングスライド「F-06B」の後継機種になりますが、富士通では2軸折りたたみとスイングスライドを交互にラインナップしていまして、昨冬の「F-01B」の進化版、という位置付けでもあります。

 もちろん、F-06Bで搭載したいろいろな機能を踏襲し、ハイスペックを継承しつつも折りたたみデザインを実現しました。その中で、F-01Bで皆様からいただいた評判や継続的なニーズも集約しています。

――機能的にも満載で、どこがセールスポイント、というのは難しいと思いますが……どこになるのでしょうか。

タッチパネルUIは追従性向上などの改善が図られている

久保氏
 F-01Cのコンセプトとして、まず「激速タッチパネル」とし、タッチパネルを進化させました。今冬のラインナップでは、タッチパネルの追従性や反応速度がもっとも速い機種に仕上がっているかと思います

 さらに、PRIMEシリーズのモデルは機能がたくさん載り、サイズも大きくなりがちですが、F-01Cではコンパクト化も果たしています。そして防水仕様でもあります。「ハイスペックスリム防水ケータイ」というのも、この機種のコンセプトとなっています。

――タッチパネルをここまで強化するなら、もうスマートフォンにしてしまえば、とすら思いますが、ここはこだわられているポイントなのでしょうか?

久保氏
 これまで、PRIMEシリーズのフラッグシップモデルは、他社のPRIMEシリーズと戦っていましたが、今後はスマートフォンと戦うことになるだろう、と考えました。そうしたスマートフォンとの戦いがポイントとなっている機種になります。そこで、タッチパネル操作をスマートフォン以上にすることを狙い、タッチパネルの感度を向上させています。

――タッチUIについては、どのあたりにこだわられたのでしょうか。

久保氏
 タッチパネルの反応速度は大きな要素です。いままではキーとタッチの両方があり、操作性からキー操作中心になっていましたが、今回はタッチだけでも済ませられることを目指しています。通常のスマートフォンの使い勝手に対抗できるレベルになるよう、頑張って開発しました。

間野氏
 激速タッチパネル、とは言っていますが、タッチパネルにこだわらず、キー操作も含めた全体的な操作感をサクサクにしました。他社製品を含め、ケータイのベンチマークを取り、その中で目標値を作って、最速を目指しています。今回、ハードウェアを更新せず、ソフトウェアのチューニングだけですが、極限までチューニングを施しています。

――個々の機能がそれぞれ進化されているところですが、カメラについては13メガを搭載されています。今後も解像度を上げていくのでしょうか。

背面のカメラ部。隣にあるのは富士通おなじみの指紋センサ

久保氏
 解像度の増加は、どこかでは止まると思うのですが、現状ではもう少し進化すると考えています。すでにコンパクトデジタルカメラは機能面でも凌駕しています。次に狙うのは一眼レフの機能を取り入れるところを考えています。今回のF-01Cでは、無限連写や一眼レフ風のぼかしといった機能を取り入れました。こうした部分も含め、画素数ももう少し向上しつつ、カメラ機能は進化していくのでは、と思います。ただ、普通のデジタルカメラも画素数進化は止まっている部分があるので、ケータイのカメラも落ち着いて良いところまで来ているのでは、とも思っています。

――これだけハイスペックでありながらコンパクトに仕上げるのは大変だと思うのですが、どう工夫されたのでしょうか。

F-01B(上)とF-01C(下)

増田氏
 ひとつひとつの要素を薄く、より薄く、という地道な苦労があります。たとえばキー側の下筐体、いままでの防水モデルでは、リアカバーを外したとき、防水用の板金があったのですが、それを今回、リアカバーと一体化させました。ディスプレイ側の上筐体も、ひとつひとつのパーツを100分の1mm単位で薄くしています。たとえば止水テープを0.2mmから0.15mmにするとか、背面パネルも、0.5mmのパネルを使ったとか。要素をひとつひとつこだわりました。

 厚みだけでなく、縦の長さもコンパクト化し、F-01Bよりも3mm短くなっています。従来の回転2軸のヒンジモジュールは、一体となった部品を採用していましたが、これを回転部分と開閉部分で別々にすることで、小型化を図っています。

 F-01Bと実際に比べていただくと、まったく厚みが違うことがおわかりいただけるかと思います。

久保氏
 PRIMEシリーズではありますが、女性も持ちやすいように考えています。そうした面でも、男女どちらでも使いやすいPRIMEモデルになれたのではないでしょうか。

――無線LANも細かいところで強化しているようですが、プリント機能もあるのですね。

富士通の久保氏

久保氏
 無線LANについては、F-06Bではクライアントだけでなくアクセスポイントモードも搭載し、市場でも高い評価を受けたポイントです。今冬はさらなる無線LANの進化と言うことで、端末で撮影した写真データを、無線LAN経由でプリンタに接続し、印刷できるようにしています。これはエプソン様とキヤノン様のプリンタとコラボレーションする形で対応しています。

 プリンタ機能としては、年賀状の季節というのも意識しています。電話帳に住所が入っていれば、そこから宛名書き印刷もできます。ケータイがあれば年賀状の両面を印刷できるわけです。さらにタッチパネルで落書きもできるので、自分なりの年賀状をケータイだけで作れるようになりました。

――無線LANを使った機能としては、パソコンとの連携は?

久保氏
 データファイルのやりとりについては、今後検討して行ければ、と考えています。

――御社の端末の最近の特徴として、F-01Cもセンサー系が充実していますね。

久保氏
 今回はARと温湿度センサーに対応しました。また、スポーツ支援機能として、高橋尚子さん監修の「ランニングクリニック」という機能も搭載しています。

 温湿度センサーに関しては、何気ない機能ではありますが、その中でさまざまな情報を見せられるようにしています。こちらは日本気象協会に監修いただき、温湿度に連動し、熱中症指数や風邪引き指数、アイスクリーム指数や鍋指数といったものが出せるようになっています。

――これは外気温センサーになるのでしょうか。

間野氏
 気温センサです。お風呂の温度などは測れません。

久保氏
 天気予報など地域ごとの情報だけでなく、ケータイがいまある環境を検知できる、ということが最大の特徴です。暖かい部屋にいれば、その暖かさや湿度を計測できます。

――実際にどのくらいの種類のセンサーを搭載されているのでしょうか。

富士通の間野氏

間野氏
 温湿度、ジャイロ、加速度、地磁気、照度、指紋、カメラもセンサーといえますね。あ、開閉センサーもありますね。

――動画に撮影にも対応されていますが、動画撮影用のマイクも搭載されているのですね。

久保氏
 背面に2つ、搭載しています。フルHD撮影に対応するので、モノラルはあり得ないよね、ということで、ステレオでしっかり録音し、カメラのズームに連動してズームマイクになるようにしています。画像だけでなく、音にもこだわっています。

――御社はらくらくホンシリーズで通話音もチューニングされていますが、これもそういった機能があるのでしょうか。

富士通の増田氏

増田氏
 ノイズキャンセリングしています。ノイズキャンセリングはマイクの位置が重要でして、そこにはらくらくホンで培ったノウハウが活かされています。らくらくホンも当初は指向性マイクを積んでいたのですが、いまはF-01C同様に無指向性マイクを搭載し、状況を検知して音量調整などを行うようになっています。

――らくらくホンにない通話音制御もやっているのでしょうか?

久保氏
 歩きながら、などのシチュエーションを検知するのですが、新幹線独特のノイズ除去なども行っています。こういった部分も、過去最強の機能を搭載しています。F-01Cは、いろいろな部分で最強です。

――実用機能としては辞書も搭載されています。DVDを同梱するという荒技も使われていますが。

久保氏
 F-06Bからやっていますが、今回新たに韓国語の辞書も追加されました。電子辞書端末として使えるよう、コンテンツをDVDとして同梱し、microSDカードに入れてお使いいただけるようにしています。

――ここまでいろいろな機能を搭載されると、スマートフォン並とも言えますね。

久保氏
 スマートフォンと大きく違うのは、画面のサイズとかでしょうか。スマートフォンは端末が大きいと画面も大きくなります。一方、F-01Cはケータイとして最適なサイズにとどめています。

――今回はマイセレクトに対応されています。これはどういった狙いがあるのでしょうか。

久保氏
 PRIMEシリーズを選ばれるユーザーは、自己主張やオリジナリティにこだわる人が多い、と考えています。本来は自分でカスタマイズしたいという要望もあると思いますが、マイセレクトにより、自分オリジナルのケータイが製造されるという楽しさも考えました。

――けっこう派手なパネルも用意されていますね。

標準のカラバリは4色。マイセレクトではユキヒョウ柄やカモフラなどのパネルを選べる

久保氏
 今までのマイセレクト対応モデルでは、カラーごとに選べるパーツに制限があったりしましたが、F-01Cではそういった制限をかけるのではなく、ユーザーからの要望があえればなんでもできるようにしています。ベースカラーごとにデザインを用意していると、通常モデルと代わり映えせず、意味がなくなります。そういったところで、新しさや違いがはっきりわかるデザインとなっています。あとはスタンダードモデルとの違いがわかる専用パーツとして揃えました。

――対応する工場ラインなども大変だと思いますが。

間野氏
 そうですね。はじめてのことなので、間違えずにどう作るか、というようなラインを構築しています。

――商戦的には、クリスマスプレゼントに間に合うのでしょうか。

久保氏
 そういったところも意識して、派手なパネルも用意しています。

――今後の展開として、スマートフォンとかでもマイセレクトはあり得るのでしょうか。

久保氏
 これはフィーチャーフォンだから、というものではないと考えています。ただスマートフォンの場合、全面が画面になっているので、そこでどこまでやるのか、と。リアカバーについては、自分できせかえできる、という方向性もあります。むしろ機能面でのセレクトはあるかも知れませんね。

――本日はお忙しいところありがとうございました。



(白根 雅彦)

2010/12/9 06:00