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「BlackBerry Curve 9300」開発者インタビュー

気軽に持ち出せるBlackBerry、音楽再生キーも用意


(左から)BlackBerry Curve 9300とBlackBerry Bold 9700

 ドコモのスマートフォンに、音楽再生機能が強化された「BlackBerry Curve 9300」が加わった。カジュアルさがキーワードとなっているが、BlackBerryといえば、グループウェアとの併用により、高いセキュリティ環境を実現できるビジネスユーザー、法人向けの端末というイメージが強いだろう。「BlackBerry Curve 9300」が登場した背景や、音楽機能に注力した理由などを、リサーチ・イン・モーション・ジャパンのセールス・プランニング&マーケティング部 部長の春名孝昭氏、同部のキャリア・マーケティング・マネージャーである松井崇氏に伺った。

開発コンセプトと位置づけ

春名孝昭氏

――まずは「BlackBerry Curve 9300」のコンセプトを教えてください。

春名氏
 すでに販売中の「BlackBerry Bold 9700」との併売になりますが、「BlackBerry Bold 9700」はハイスペックモデル、 今回の「BlackBerry Curve 9300」はスタンダードモデルという位置づけで、BlackBerryの便利さをそのままに、リーズナブルな価格でご提供することで、より多くの方に使っていただきたいというのが意図になります。

――「BlackBerry Curve 9300」は音楽再生キーを新たに設けるなど、音楽周りを強化されているようですが、なぜでしょうか。

春名氏
 もともと海外で「BlackBerry Curve 9300」は、「気軽に持ち出す」という点を主眼にしたカジュアルモデルという位置づけなんです。その中で、用途をリサーチした結果、メールや地図検索のほかに、「音楽再生しながら外で持ち歩く」という利用意向が非常に高いことが分かったため、あえて音楽再生キーをそれと分かる形で用意しました。実は、同じことはBoldのサイドキーでもできるんですが、ただ明示的にコントロールできるほうが分かりやすいですからね。

――その海外での反響はいかがでしょうか。狙い通りですか?

春名氏
 そうですね。狙い通りだと思います。もともとiモード端末が日本で急速に伸びたときに、海外ではEメールができるケータイということでBlackBerryスマートフォンに注目が集まりました。BlackBerryは高級品みたいなイメージがあるんですが、その中でCurveのシリーズが一番売れているんです。お求め安い価格だからでしょうね。

 国によっては他のスマートフォンを差し置いて、BlackBerryの販売数が非常に高い国というのもあるんですよ。スペインやインドネシアがその例です。

――BlackBerryというと、セキュリティの高さもあって、エグゼクティブというか、法人が仕事でガッツリ使うというイメージがあります。この「BlackBerry Curve 9300」については、そういうユーザーもターゲットなのでしょうか。エグゼクティブ層から音楽機能の要望があったのしょうか。

春名氏
 ターゲットは若干違うんです。エグゼクティブ層はどちらかというと「Bold」シリーズのほうです。若い方や、ライトユーザーとまではいかないんですが、ビジネスでも普段の生活でもBlackBerryを使いたいという方は「Curve」を選ぶ傾向が高くて、そういった方たちの利用目的として、音楽再生のニーズが高かったということです。

――「BlackBerry Curve 9300」は軽くて、女性の手のひらにもちょうど良いサイズだと思います。カタログを拝見すると、モデルに女性を使われています。かなり女性層を意識されてますか?

春名氏
 「Bold」よりは女性のターゲットニーズは高めてます。カタログも、「BlackBerry Bold 9700」と比べると女性的というか、カジュアル感というか、ポップ感を出した内容にまとめています。

――日本国内での、女性のBlackBerry利用率はどれくらいなのでしょうか。

春名氏
 具体的な数値は申し上げられませんが、他のスマートフォンよりはかなり多いと言えます。

 ディープインタビューのセッションなどを行うと、女性の方がノートパソコンやネットブックと比較検討して「私はメールがメインだから、スマートフォンでいいわ」と割り切って買う方も結構いらっしゃいます。メールメインなので、高いパソコンを買うよりはBlackBerry買ってたほうが安いし、長文も打てるし、ケータイと一緒にできるということで買っていただいている女性が多いのかなと思います。

――「BlackBerry Bold 9700」と比べるとキーの形状が違うのですが、これはなぜでしょうか。

春名氏
 ハッキリ言うと伝統です(笑)。キー面を見ると「BlackBerry Bold 9700」のボタンは別になっていて、ボタンだけで表面を埋めているという形です。それが「BlackBerry Curve 9300」はパネルとボタンが一緒に表面を埋めています。昔のパソコンのキーボードと同じですよね。これは従来よりBlackBerry Curveシリーズで採用されている形状です。キーがカーブを描いて配置していることと、中心から左右山なりのカットが入っているというのは共通してます。指がかかりやすいので、大人の男性の指でも打ちやすくなってます。

――実際これで音楽を聴くとなったときに「私の持ってるパソコンやCDからどうやって曲を移すの?」と悩むと思うのですが、何か簡単な方法は用意されてるのでしょうか。

春名氏
 基本はmicroSDカード内に、パソコンから曲をコピーするだけで大丈夫です。具体的には、パソコンのMusicフォルダをmicroSDへドラッグ&ドロップすればOKです(※ただし、iTunes Storeで購入した楽曲など著作権保護機能付のファイルは再生できない)。

――曲の管理はパソコンで、ということですか?

春名氏
 BlackBerryに付属するソフトを使った管理も可能ですが、お客様によってはソフトのインストールがハードルになることもあるので、Windows Media PlayerやiTunesをお使いなら、Musicフォルダをそのままご利用いただくのが多分一番簡単な方法です。すでにスマートフォン用に音楽の環境を構築されてる方でしたら、資産として引き継げますね。動画の形式も3g2以外ほとんど対応してます。着信音や目覚ましのアラーム音のカスタマイズにも柔軟性を持たせています。

――「BlackBerry Curve 9300」は無線LANだけでも使えるのでしょうか。

春名氏
 BlackBerryのサービス契約のあるSIMカードがあれば無線LANだけでも使えます。例えば家に帰ってからは自宅の無線LANだけで使いたいというとき、FOMAを切って、無線LANだけを有効にすれば、メールやWebサイトをみるという使い方はできます。ただし、電話は着信できないですけど。

――BlackBerryユーザーは2台持ちが少なそうなイメージあるんですが、いかがでしょう。

春名氏
 確かに古いモデルのBlackBerry 8707hのときは2台持ちが多かったんですが、BlackBerry Boldになってからは、非常に電池の持ちがいいので、1台持ちの方が多いという印象が私たちにもありますね。電池の持ちがいいというのは、他のスマートフォンと比較して圧倒的に違うところだと思っています。

――どのくらい持つのでしょう。

春名氏
 使い方にもよりますが、プッシュのメールや電話を使っても丸2〜3日は持ちますね。使っていてもバッテリーがなくなる感じがまったくないので。また、バッテリーが取り外し可能なので、予備バッテリーを携帯しておけばすぐ交換できます。

小型化されたACアダプター

――バッテリーだけで充電できるんですか?

春名氏
 日本では売ってないんですが、海外では充電器が売ってます。充電はmicroUSBなんですが、今回の「BlackBerry Curve 9300」では、ACアダプターをがんばりましたね。とにかく小さいんですよ。ACアダプターも携帯しやすくなってます。これは私個人もイチオシです。

――音楽周りの機能以外で「BlackBerry Bold 9700」と変えた部分があれば教えてください。

春名氏
 重さですね。持ち比べていただくと分かるんですが、とにかく軽いです。「BlackBerry Bold 9700」は122gで、「BlackBerry Curve 9300」はたった104gなんですよ。カジュアルに持ちだそうというコンセプトを実際の重さにも反映しているという形になりますね。

――そういえば一時、オバマ大統領がBlackBerryユーザーということでブームがあったと思いますが、今、その影響はいかがですか。

春名氏
 今でもオバマ大統領の話は営業トークでは使ってます(笑)。日本国内では、意外とBlackBerryの認知度がないのが悩みですね。「ちゃんと日本に地に足が着いたメーカーなのか?」「お宅のを買って2〜3年でいなくなったら困るんだよね」と言われてしまうケースもあるんです。おおっぴらに言えないだけで、法人への納入には官公庁も含めてかなり実績はあるのですが、その辺りはなかなか表に出せない部分もありますので……。実は認知度向上のため2月から公開予定の映画「ウォール・ストリート」とタイアップ広告も始めました。

アプリの充実に注力

――12月1日の料金体系の変更、spモードでiモードメール見られるようになったというのは大きな変化かなと思いますが、御社としてはそれをどう見ていらっしゃいますか。

春名氏
 非常にエンドユーザーの皆様にメリットとインパクトのあることだと思っていますし、料金の件もあわせて、さらに使いやすくなっているとも思います。

――spモードとスタンダードモデルの「BlackBerry Curve 9300」というのは、いいタイミングでセットになったという気がするんですが、これはドコモさんとの戦略だったのでしょうか。

春名氏
 iモードのメールアドレス利用というのは、もともとの懸案だったんですが、今回はNTTドコモ社に最大限にご配慮いただいて、発売と併せて料金値下げとiモードのメールアドレス利用(※spモード契約が必要)に対応していただいたということになります。

――BlackBerry用アプリのマーケットも、日本向けに少しずつ広がっていくというお話ですが、アプリ関する今後の対応について教えてください。

春名氏
 アプリはとても重要だと考えています。もちろん数を増やすことも大事ですが、中でも必須アプリをちゃんと揃えていくことが重要だととらえています。NAVITIMEさんには毎回新機種が出るたびにご対応いただいてますし、そういった定番アプリについては、今まで やってきたものは継続して、足りないものについてはしっかり拡充していきます。

 アプリケーション配信のプラットフォームの「BlackBerry App World」は有料アプリもPayPalやクレジットカードを使って、円決済で買えます。先日の「BlackBerry Day」でも弊社社長の上野から話がありましたが、ユーザーインターフェイスも日本語化される予定です。日本のユーザーの皆様により安心してご利用いただけるようになります。

 もうひとつ付け加えると、最近新しく登録されたアプリについては、アプリケーションの説明などが日本語で読めるようになっているんですよ。古いアプリの解説はまだ英語だけですが、そのような多言語化など、エンドユーザーさんの利便性を向上するための対応は継続して行っています。

――最近スマートフォンの世界では、SNSやソーシャルゲームが注目を集めています。そのようなコンテンツについてはどう見られていますか。

春名氏
 mixiは新着情報や、足あとなど、かなりの部分をBlackBerryの専用アプリで見られるようになっています。

 ソーシャルゲームについても「BlackBerry Curve 9300」で対応できるといいのですが、世の中の位置づけとしては「BlackBerryはビジネス向け」というのが非常に大きいと思いますし、実際にビジネスユーザーが多いんですね。コンシューマーの方々もいらっしゃいますが、アーリー・アダプターと呼ばれる一部の方が非常に多い。つまり、ゲームを作っている方からすると、BlackBerryのユーザー層がゲーム・コンテンツのユーザー層にまだ合致していないと判断されているという背景もあって……。

 その辺りは、今回「BlackBerry Curve 9300」というカジュアル感のあるモデルを投入できたので、将来そういった展開ができるユーザー層まで広がればいいなと思っています。海外ではいろんな層の人に訴求するために、BlackBerryは、キャンディバータイプやスライド、クラムシェル、フルタッチなどさまざまな形状や操作性をもつ、6つのブランドを投入してるんですが、日本でもそういう展開ができるようになると、ユーザー層がゲーム・コンテンツに対応いただける層まで広がるのではないかと期待しています。

――最近ドコモさんは「Evernote」をプッシュし始めています。そのようなクラウドサービスというのはどう見られていますか。

春名氏
 Evernote、Dropboxについてはすでに対応していまして、専用のクライアントアプリも用意されています。このほかにFacebookやTwitterといったメジャーなサービスは大体使えますね。

――先ほどから何か不定期に着信音が聞こえてきますが……BlackBerryのメールの着信ですか?

春名氏
 これは「BlackBerry Messenger」ですね。BlackBerryのチャットソフトなんですが、グループを簡単に作れて、グループチャットできるんです。そこで部署単位でグループ作ってまして、部署の業務連絡で使ってるんですよ。写真も共有できるので、「量販店でBlackBerryが店頭で並んでましたよ」なんて写真を撮って共有したりという使い方をしていまして。ですから、なんらかの業務連絡がポコポコと着信音と共に入ってるんです(笑)。

 こういう「BlackBerry Messenger」のチャット機能や、グループチャット機能は、中高生に絶対バカウケすると思うんですけどね。

松井崇氏

松井氏
 でも、これ見た瞬間にバカウケしないんですよね。「えー! やだかわいくない」みたいな。

――よく似た形の電子辞書もあるくらいなので、学生向けとしては大丈夫じゃないかとは思うんですが。

松井氏
 やはり小悪魔ピンクにしなくちゃだめなんでしょうか(笑)。

日本市場から学んだこと

――spモードや絵文字に対応するなど、日本でのニーズを吸い上げた形になっていると思いますが、これまで日本で端末を出してきて、日本市場から学んだことがあれば教えてください。

春名氏
 1つハッキリと日本市場に学んだ部分があります。ストラップホールです。これは日本市場に学んで付けたんですよ。海外製品と同じなんで、海外製品にもこのストラップホールがついてます。もちろん「BlackBerry Curve 9300」にもあります。

松井氏
 ストラップホールは最初、説明してもなかなか意味が通じなかったですね。「ストラップってなに?」みたいな反応でした。

春名氏
 会社で使われている方は、なくさないようにとパスケースや社員証のネックストラップからぶら下げてる方が多いんですよね。だからストラップホールは必要ということで。ボディも相当軽くなったので、「BlackBerry Boldよりは大分よくなったね。軽くなって、肩がこらなくなったね」なんて言われています(笑)。

 それから、「日本は品質要求が非常に高い」と本社からはよく言われます。もともとNTTドコモ社のネットワークはカバレッジが広く、品質も大変によいということもあって、「そういうパートナーさんとやれるのは非常に嬉しいことだ。日本の要求にあわせて製品を出せていることが、世界中のお客様のためになる」と話しています。まだ対応しきれていない部分も結構ありますが、日本語の予測変換機能など、日本のケータイメーカーが採用しているものを採用してます。

――日本スペシャルで作り込む点において、今やワンセグやおサイフケータイ、防水が欠かせなくなりつつありますが、そちらはいかがでしょうか。

春名氏
 ワンセグやおサイフケータイは厳しいです……。

――ワンセグは厳しいとして、おサイフケータイの場合、北米もNFCが始まりますが、そうなってくると、ひょっとすると対応してくる可能性も考えられますか?

春名氏
 BlackBerryにNFCが載るかどうかは分かりませんが、GPSのように特定の国や地域限定のものでなければ、つまり、本当にワールドワイドで使えるようなものであれば、NFCに限らず、そういうものは将来的に搭載される可能性は非常に高いと思います。

 防水については、どうもアジアや中東など、赤道に近い方のエリアに特化した要望らしいんですよ。日本やアジアとかは多湿ですが、北米やヨーロッパは結構乾燥してるせいか、防水といわれてもピンと来ないみたいなんですよね。一方、インドではチリや汚れがひどいので、防塵を欲しがっているようですね。

――なるほど。それはおもしろいですね。では、テザリングはいかがですか。

春名氏
 BlackBerryは、昔からテザリングはできるんですよ。moperaを使ってBluetooth経由でテザリングできるようになっています。

――最後に、日本の読者にひとことお願いします。

春名氏
 まずは、多くの方に使っていただき、本当にありがとうございます。BlackBerryは、長時間使え、パソコンやiモードメールにすぐレスポンスでき、ビジネスでは、隙間時間が有効に活用することで早く帰れるようになるなど、使う方のライフスタイルやワークスタイルを変えて、生活の向上が図れるスマートフォンです。自分の余暇の時間を増やしたいとか、自分の楽しみの時間を増やしたいという明確な目的があるとき、その手段として使っていただくと大変便利に活躍してくれます。

 BlackBerryは、使い込んでいただくと、マニュアルにはない深い機能に触れられるのも特徴です。学習機能がついているので、よく使う機能や選択肢を優先的に選んでくれたり、仕分け方法を覚えていたりと、自分の思ったように動くようになりますので、ライトユーザーにもヘビーユーザーにもお勧めです。ぜひ使い倒して新しい面を発見していただきたいと思います。

――本日はどうもありがとうございました。



(すずまり)

2010/12/15 11:39