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「INFOBAR A01」インタビュー

iidaの世界を体現するUI、シリーズ初のスマートフォン


INFOBAR A01

 auのiidaブランドから、初のスマートフォンとなる「INFOBAR A01」が登場した。au design projectから登場したストレート型携帯電話「INFOBAR」シリーズに、いよいよスマートフォンがラインナップされることになった。

 INFOBARシリーズは、携帯電話のデザインが1つの価値を生むことを認めさせたエポックメイクな端末だ。携帯電話のデザインやカラーリングの多様性が増した背景に、INFOBARシリーズが少なからず貢献していると言えるだろう。

 「INFOBAR A01」は、タイル状のカラフルなキーが象徴的に採用されたAndroidスマートフォン。プロダクトデザインは、これまでのINFOBARシリーズ同様、深澤直人氏が手がけている。「INFOBAR A01」では、マルチカラー展開の少ないスマートフォンの世界に彩りが追加され、さらにオープンプラットフォームであるAndroid OSに、iidaの世界観による新たなユーザーインターフェイス(UI)「iida UI」が持ち込まれた。

 今回、「iida UI」を担当したWebデザイナーの中村勇吾氏にUIの誕生秘話を、そしてKDDIのiidaチームより、プロダクト企画本部の秋葉健氏に端末の魅力を伺った。




「特別なことはしてない」iidaの世界観をまとった新UI

中村勇吾氏

――中村さんがiidaのユーザーインターフェイス(UI)を手がけられたいきさつを教えて下さい。

中村氏
 元々、iidaの広告にずっと携わっており、iida.jpとiidaのテレビCMは立ち上げ当初からやっていました。その流れで去年の春頃、iidaのスマートフォンのUIデザインをやらないかと声をかけられました。

―― 一見してこれまでのAndroidのUIとは一線を画すものとなっていますね。

中村氏
 まずは、Androidの世界を整理し直そうと考えました。Androidには、アイコンとアプリの中間にウィジェットがあります。現在は、それぞれがばらばらに存在している状況で、アイコンをSサイズ、ウィジェットをMサイズ、アプリをLサイズと言い換えて、3段階に展開するモジュールと捉えることにしました。最もコンパクトに納まるSサイズ、すべての情報が利用できるLサイズの中間に、情報がチラ見できてホーム画面にとどまれるMサイズというわけです。

 いわゆるiPhone型のUI構成は、アイコンがグリッド状に並んでいるホーム画面ですよね。このデザインを少し拡張して、アイコンをモジュール化とともにグリッドをコンポジションとして画面構成していきました。昔のオーディオコンポのような、いろいろな機能のモジュールが積まれて、トータルでピシッと並んでいると気持ちがいい、そんな世界観が出せればいいなと考えました。


アイコンをモジュール化 オーディオコンポのような積層化された世界観

――中村さんご本人でウィジェットの仕組みを勉強され、カスタマイズ性を盛り込んだわけですか。

中村氏
 まぁ、本職がWebデザイナーということもあり、iGoogleのようないろいろなパネルをカスタマイズして並べ替えられるようなカスタマイズ性を携帯電話に落とし込んでやるとどうなるかな? などと考えていました。ウィジェットによって、ある程度情報がわかる状態になりました。

 たとえば、Webサイトだと最初にきれいな目次が並び、クリックしなければ中身がわからないショッピングサイトがあります。その一方で楽天市場のように、いろいろな情報がごちゃごちゃと流れているWebサイトもあります。デザイン的には汚いのですが、楽天市場の手法は売れるメソッドであり、一定の合理性があります。今回のUIには、ごちゃごちゃしたところの利点をキープしながらも、1つ1つのモジュールがどう並んでもきれいに見えるようなビジュアルデザインをしました。

 昔は、本棚を見るとその人がわかるなんて言いましたが、それと同じようなものが今のスマートフォンなのではないかなと思います。ユーザーが自分でカスタマイズできて、自分なりのものが作れる面白さを最大化しました。ちまちまといじっているだけで暇をつぶせて、「今日は1日設定しているだけで何も使ってなかったぜ(笑)」みたいな、そういうのも楽しいですよね。写真をパッチワークのように貼り付けられるので、コルクボードに写真を好きに置いていくような、「俺の」感が増す楽しさを感じてもらえたらと思います。

縦スクロールのホーム画面

――Androidのホーム画面が縦スクロールという点も目新しく感じます。

中村氏
 実は、縦スクロールで差別化しようという意図はなく、わりと必然的にそうなったんです。いろいろなモジュールが緻密に並んでいるような世界観では、横幅をピシッと合わせた方が気持ちいいので、縦に積んでいく形が一番きれいに見えて合理的です。

 KDDI社内からも、なぜ縦スクロールなのか? と聞かれたのですが、そもそもWebサイトやフィーチャーフォンもだいたいのインターフェイスは縦スクロールを採用しています。スマートフォンは、たまたまiPhoneが横スクロールだったため、横で操作するのがなんとなく普通っぽくなりましたけど、縦のインターフェイスの方が慣れ親しんでいますよね。もちろん、iPhoneやAndroidに慣れている人は、最初は「縦かよ!」って思うかもしれません。使ってみれば不自然だったり、奇抜なところはないのかなと思います。

 自分自身、Androidを使っていくうちに、なんとなくわからない部分がありました。Androidの世界にはいろいろな考え方が混在していて、その上にいろいろなメーカーのUIが搭載されている点です。iidaのUIでは、少なくともシンプルなルールの世界にしようと思いました。いろいろな秩序がある中で、iida UIでは1本のある考え方で整理していこうと考えました。スマートフォンとしては使い方が変わっていますが、ベースになる考え方はこれまでの作法を踏襲しているので、違和感は少ないかなと思います。

 また、今回はアイコンが3列のインターフェイスとしましたが、もっとシンプルに縦に積んでいくだけだったり、2列構成だったり、横にもっと広い画面であれば4列や5列の構成もあるでしょう。今回のUIは、小さくしたり大きくしたりといったことができるような設計になっています。

モジュールを組み替えホーム画面をカスタマイズ

――デザインしていく上で、Androidの頻繁なバージョンアップをどう見ていますか?

中村氏
 そこは非常にネックになった部分です。個人的には、そこまでポンポンと更新することないだろうと思います。コード名もあまり知られていない外国のお菓子じゃないですか、ジンジャーブレッドってなんだよ! 美味しいのかよ! みたいな気持ちです(笑)。とはいえ、そういう状況なのは仕方がないので、できるだけAndroidの世界でOSの影響を受けにくいレイヤーにとどめるようにしました。技術仕様を決定していく上で、シャープさんやKDDIさんが苦労された点でもあります。

――特別なことをすれば影響が出やすいと。

中村氏
 さらに変わった名前のお菓子が出てきて、それが全く違うものになってしまえばわかりませんが、まぁ次も動くであろう、という後方互換性は保っています。バージョンアップについては本当にネックですね。極端な話、UIはWebの実装でもいいんじゃないかとも考えました。いっそのことOSをWebKit上に載せるとかね。もっとも、スムーズな動作が難しく実現はしなかったのですが、その方がフレキシブルだし、キャリアがGoogleに対してやる方法論としても少しかっこいいかなと思いました。

――iidaのUIは、ソーシャルやクラウドへの高い意識を感じさせます。

中村氏
 全体的にそういったもののフロントエンドであるという意識はありました。Webの実装を考えたのも、ネットのデータをうまく可視化する1つの細長いパネルといったイメージがあったためです。

 「INFOBAR A01」のハードウェアだけを見た場合、全員が必ず一度は「もはやバーじゃない」と思うでしょう(笑)。僕ももちろん通過儀礼的に「これバーですか?」という感想は持ったんですけど、インターフェイスは細長く「中身はバー」になっています(笑)。後付けではありますけど、ウィジェットを配置することで、起動時に情報がアップデートされた感じがうまく表現できたと思います。

 KDDIさんから当初、参照用に渡された「INFOBAR A01」の外観は「KURO」でした。検討する中で、INFOBAR的なタイル状のUIでカラフルなものなどもやってみたのですが、実際にやってみるとイマイチでした。ハードウェアのリアルな質感をバーチャルなUIの空間で再現すると、現実とバーチャルの差が際だってすごく嘘っぽくなるのです。このため、ニュートラルにいろいろなケータイにはまるよう意識してデザインしました。

撮影した写真もモジュール化することでホーム画面に貼り付けられる

――今回のモデルは久々に海外からもいろいろな反響のある国産モデルとなりました。

中村氏
 そうですね。海外からは日本らしいクラフトマンシップと評価されているようです。大きなプラットフォームを敷くアップルのようなやり方というより、工芸的な良さやフェチっぽい良さと言えばいいですかね。言語化しにくいところですけど、精密なものが収まっている気持ちよさを感じてもらえるとうれしいです。

――カスタマイズできるウィジェットが増えていくといいですね。

中村氏
 実は内部的にはSDKが整備されており、僕としてはiida対応ウィジェットをいろいろな開発者の方に作ってもらいたいと思っています。いろいろな制約があるので、調整してもらっているところです。デザインのガイドラインを用意して世界観の統一感を残したまま展開できればいいなと思っています。Androidのアプリ開発者が「INFOBAR A01」を気に入ってくれて、じゃあ自分が作っているアプリのiida UIバージョンも作っちゃおう! って思ってくれたらうれしいですね。

――使っている上では細かいところなのかもしれませんが、日本語と欧文のフォントがすごくハマってる印象を受けました。素のAndroid端末は、欧文と日本語のフォントのバランスがイマイチですよね。

中村氏
 そうですね。今回、日本語のフォントに合う欧文フォントを作りました。Deltroの坂本政則氏が作った「デルトロフォント」というものをベースに、端末に内蔵されているモリサワフォント(UD新ゴM)に合わせていきました。日本語フォントを専用に作るのは、それだけで長い期間が必要ですから、欧文フォントを合わせる形を採用しました。Androidは欧文がダメなんです。本当、どうかしてると言いたいぐらいです(笑)。まあ、それは冗談としても、少なくとも今風のフォントの処理ではありませんから手を入れました。

 また今回、プリセットのアイコンも新たにデザインしており、こちらHYBRIDWORKSの星野正樹氏にトータルのデザインを依頼しました。統一感のある独特のタッチになったかと思います。星野さんにはiida UIのテーマもお願いしており、今後テーマも追加される予定です。

――なるほど、テーマによってAndroidのさまざまなアプリのアイコンに統一感を持たせていくと。

中村氏
 正直言って、基本的にAndroidのアイコンはダサイんです(笑)。まず第一に考えるのは、このダサいアイコンをどうごまかすかということです。auのOcean UIもそういう考えかと思います。基本的にやり方は決まっていて、アイコンの後ろに座布団を敷く方法や、アイコンを包むように周りにグラフィックを入れ、本質的なダサさを相対的にやわらげる方法があります。


DeltroのWebサイト HYBRIDWORKSのWebサイト

――ちなみに、中村さん自身、タブレット端末のUIなどに興味はありますか?

中村氏
 ありますね。仕事でもいろいろ作っていますし、デバイスの環境に応じて画面デザインも変わってくるといいですね。iidaのタブレットも出てくると楽しいでしょう。ただ、iPadのできが良いので、超えていくにはなかなか難しそうですね。

――今回の「INFOBAR A01」のUIはiPhoneに勝てそうですか?

中村氏
 目標としてなんとなく掲げていたのは、iPhoneを持っている人に対して、「アレ? ちょっといいかも」と誘惑できるようなUIということでした。そういう風に思っていただける人もちらほらいるようで、そこそこはうまくいったんじゃないかと思っています。

UIを作るために作成したFlashは、iidaのWebサイトで「iidaUI Virtual Touch」として公開されている

――最後に、ユーザーに是非体験して欲しいところなどありますか。

中村氏
 思ったよりサクサク動く点はぜひ体験してほしいですね。iidaのUIを作る上で、先にFlashでサンプルを作成して取り組みました。シャープさんに見本を見せながら、レスポンスやスムーズさについては、このFlashをのように動くものを目標にお願いしました。

 サクサク感は、CPUの進化で実現したというよりも地道なプログラム的な検証をやっていくことで実現しています。最初のうちはなかなか難しかったようですが、いろいろな努力を積み重ねていく中で完成しました。開発陣のがんばりがものすごく強いものになっているはずです。

――ありがとうございました。

 


スマートフォンの“王道”を目指したINFOBAR

KDDI プロダクト企画本部 秋葉健氏

――今回の「INFOBAR A01」ですが、メーカーにシャープを起用し、機能的にもハイスペックなモデルとなっています。まずその意図を教えてください。

秋葉氏
 INFOBARを企画するにあたり、一番ボリュームの多い層にしっかり届く端末を開発しようと考えました。スペックはサイズ感などとのバーターになりますが、バランスを考えながら今の形に落ち着きました。

――INFOBARはこれまで鳥取三洋が手がけており、その流れから考えれば事業統合したメーカーに話が持ち込まれる、というのが自然かもしれません。今回、メーカーにシャープを選んだのはどうしてですか。

秋葉氏
 さまざまなな理由がありましたが、私たちとしてはAndroidの実績もあり、安定感のあるシャープさんと仕事ができて非常に良かったと思っています。開発当時のAndroid OSやUI仕様に関する知識は、私たちがお付き合いさせて頂いているメーカーさんの中ではシャープさんが一歩リードしていた印象です。

――iidaのチームとプロダクトデザインを担当した深澤さん(深澤直人氏)の間で、INFOBARたるものの要素をどのように捉えて企画したのでしょうか。

秋葉氏
 スマートフォンをやる上で、INFOBARのアイデンティティをどう残すかとディスカッションをしました。その中で、プロダクトとしてユーザーにINFOBARらしさを感じてもらえるのは、タイルキーとディスプレイ周囲の額縁じゃないかと判断しました。また、私たちが考えるINFOBARは、何かしら新しさを提供するものと思っています。そこで今回、iida UIを含めてのトータルの世界観で新しさを表現しました。


Android開発の総合力から開発メーカーはシャープに決まった INFOBARのアイデンティティをスマートフォンに継承

――“新しさ”の提供する上で、前のモデルを否定していく形で新しさを提案する方法もあるかと思います。今回はこれまでを踏襲しながら、新しさを追求したのでしょうか。

秋葉氏
 そうですね。検討する中でそういった案も出ましたが、プロダクトデザインとしては踏襲していくデザインを選びました。

――INFOBARは、情報(information)のバーという意味があったかと思います。「INFOBAR A01」はバーなのか? という点は 企画段階でどのように折り合いを付けたのでしょうか。

秋葉氏
 当初はINFOBARという名前が形状を示すものでしたが、現在はブランド名と考えています。形状に特にこだわらず、INFOBARらしさを感じていただけるものになっているかと思います。

INFOBARシリーズのタイルキーを踏襲

――ワンセグのアンテナが外付けというのはそういった中で判断されていったのでしょうか?

秋葉氏
 できる事であればフルスペックのモデルをコンパクトに作りたいという思いはありますが、スペックとサイズ感はバーターとなるため、1つ1つのスペックについて実際にそれを入れた場合にどういうサイズ感、端末のバランスになるのかを検証していきます。その中でワンセグアンテナについては外付けにするという判断をしました。

――「INFOBAR A01」はシャープのほかのモデルとは異なり、GSMをサポートしています。これはどうしてなんですか?

秋葉氏
 正直なところ、GSM対応については当初メーカーさんから反対意見もありました。納期やサイズの面でなかなか折り合いがつかないでいたのですが、我々の獲得したいユーザーには絶対に必要と考えていました。INFOBARを支持して下さるデザイン層と言われている人たちの中にはデザイナーやファッション関係者なども多く、欧州への出張に使える必要がありました。また、ビジネスをバリバリやっているような30〜40代のユーザーも視野にいれておりましたので海外でもしっかり使えることが重要でした。

――電池容量もやや少なめです。

秋葉氏
 「INFOBAR A01」は「IS03」と同じ電池容量なんですが、Androidのバージョンとクアルコム製のチップセットの省電力化、液晶ディスプレイ全体の効率化を含めて、「IS03」と比べてバッテリーの持ちはよくなっています。何%程度よくなるといったデータと、大型のバッテリーを搭載した際のサイズバランスなどを検証して採用を決めました。

――たとえば、不安のあるバッテリーに対して、iidaの周辺機器でモバイルバッテリーを出すといった解決方法もあるかと思います。やはり、ケースを出すよりも高いハードルでしょうか。

秋葉氏
 そうですね。ケースなどの非電気系の周辺機器に比べるとモバイルバッテリーなどの電気系の周辺機器を扱うのは、ハードルが高いかもしれません。認証や各試験項目の数はかなり増えます。


初代のINFOBAR INFOBAR 2

――ストラップホールがない理由を教えてください。

秋葉氏
 厳しいご指摘もいただいているのですが、「INFOBAR A01」は、側面を取り囲むフレームがデザインのポイントとなっています。実装効率上、仮にストラップホールを取り付けるとすれば、角の部分に付けるのがベストなのですが、そうすると、端末を囲むように繋がっている帯のラインを切らなければなりません。逆にストラップホールを背面部に取り付けようとすれば、かなり大きく削らなければならず、カメラや赤外線の位置も変更する必要がでてきます。いろいろな案も出したのですが、かなり苦しい決断となりました。

 細かい話になりますが、microUSB端子についても、デザインを崩さないために端子カバーとハードキーの間に細いパーツを通しています。正面から見た場合に、端子カバーで帯が切れたように見えないようにデザインのこだわりとしてそのような設計としました。

――卓上ホルダが用意されていませんね。iidaのかっこいい卓上ホルダも見てみたかったところです。無接点充電の端末なども発表されており、iidaのラインナップでそういうものが登場するといいですね。

秋葉氏
 卓上ホルダを求められるユーザーの声があるのは事実です。検討はしましたが、今回見送ったのは、「INFOBAR A01」の外観に穴をあけたり、へこみをつけなければならなかった事が大きな理由です。無接点充電などの新技術の情報をフォローしていきながら今後も検討していくようにしたいと思います。

――ソフトウェアの部分は併行して発売されているシャープ製端末と同じと考えていいですか?

秋葉氏
 はい、ほぼ一緒です。

――ソフトウェアにはiida UIという新しい提案がなされました。ハードウェア面でこうした提案はどういったところでなされたのでしょうか。

秋葉氏
 今回のモデルは、プロモーションとして言えるほどの新素材や新技術を初導入した、というようなところは無いのですが、プロダクトとしては、かなり攻めて設計をしており、従来の端末開発の常識を見直して設計している部分もあります。人がなんとなく心地よく感じるデザインを実現するためのこだわりでした。

 たとえば、液晶パネル周囲のフレームを等間隔に回す設計等は、受話口と着信ランプが障害となり実現が難しく開発当初、実現は無理と回答されましたが、メーカーさんと協力の上で試験項目を本当に満たせないのか、1つ1つ実証しクリアしていきました。

CHOCOMINTの登場で、シリーズ初のブルー系のカラーが量産された
深澤氏がデザインした周辺機器などもラインナップする

――採用カラーについて伺います。NISHIKIGOIはINFOBARを象徴する色として、HACCAはKDDIの好みの色といった印象です。CHOCOMINTは、女性ものの布地にあるような色で、配色パターンとしては珍しくはないものの、携帯電話としてはとても珍しい色ですよね。

秋葉氏
 INFOBARの王道としてNISHIKIGOI、スマートフォンの王道としてKURO以外にも初代INFOBAR、INFOBAR 2のように新しいマルチカラーの提案をしたいと考えていました。

 CHOCOMINTは最後まで苦労したカラーで、ブルー系の色は初代も2代目もコンセプト段階ではあったものの、最終的には量産には至っていません。今回は発売が夏ということで、再チャレンジでした。これで決まらなかったら納期に影響がある、というところまで粘って今のカラーが出てきた思い入れのあるカラーです。ご指摘の通り、CHOCOMINTはプロダクトとしては非常に珍しい色です。ファッションもそうですが、欧州などではよく使う色でもあります。

――初代INFOBARの塗料メーカーが採用されたそうですね。

秋葉氏
 本当に偶然でした。「INFOBAR A01」に関わった社内スタッフや外部スタッフも含めて、初代INFOBARに携わったメンバーが偶然にも多く集まった形になりました。メーカーは初代INFOBARとは異なりますが、部材メーカーのうちのいくつかが偶然にも初代INFOBARをやっていたメーカーでした。中には当時のINFOBAR担当だった方がこの話を聞きつけ、社内で声を上げてくれてかなりハードな調整事にも対応して頂けました。そういった偶然も重なって、プロダクト的にもかなり完成度の高いものに仕上がったかと思います。

――ところで、INFOBARがこの形状に決まったのはどうしてでしょうか。シャープは折りたたみやスライドを出しており、もっと言えば10キー付きのストレート端末という選択肢もあったかと思います。

秋葉氏
 企画当初から、INFOBARを出すのであればスマートフォンの王道の形で出したいと言う思いがありました。その中でもINFOBARはデザインモデルではめずらしく男女ともに評価が高いモデルのため、女性の方でも片手で操作できるサイズ感を意識しました。デザインモデルというと、比較的男性の評価が高い傾向にありますが、男女共にしっかり獲得していきたいと考えていました。スマートフォンの大画面化の流れの中でも、電車やバスなどのつり革に捕まりながら片手で操作できるような、サイズ感を目指しました。

――それはプロダクトデザインを担当した深澤さんとの間で決定するのですか、それともメーカーさんと?

秋葉氏
 まず、企画段階では深澤さんとiidaチームで最適なサイズ感を決定します。実装の段階で、どういった液晶があり、製品投入時期にどの液晶が用意できるのか、製品投入時期のトレンドをもう一度検証します。最終的には、私たちが考えているサイズ感に一番近くなるであろう液晶をKDDIが選びました。液晶のサイズが決まらなければ、実装検討に進めないため、最初にメーカーさんと侃々諤々とやったところです。メーカーさんとしても大型の液晶ディスプレイや3Dなど自社の最新スペックの機能を搭載したいでしょうから。

――今回、周辺機器も深澤さんがデザインされたものが登場しますね。

秋葉氏
 はい、サードパーティさんに周辺機器を盛り上げていただけるのは非常にありがたいと思っていますが、INFOBAR A01では、端末デザイナー自身がカバーを作るという企画も用意しました。深澤さんからはINFOBAR A01の表情がガラッと変わるようなカバーをご提案頂きました。端末の前面にまで主張してくるカバーは他のサードパーティさんにはなかなか無い形状かと思います。前面から見て特徴的だったタイルキーの溝が姿を消し、丸ボタンのような形に見えるかと思います。

――ありがとうございました。

 



(津田 啓夢)

2011/7/22 06:00