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“先進性のドコモ”と思っていただきたい

山田社長が語るスマートフォン時代のNTTドコモ


 中国・香港で開催中の「Mobile Asia Congress 2011」では、アジア各国から通信事業者などの幹部が集まり、各社の取り組みや戦略を語っている。今年の主なテーマは、スマートフォンやモバイルマネー、LTEなどで、スマートフォンへの移行が進む日本の状況ともリンクする内容が多い。

 では、こうした分野に対して、日本のトップキャリアであるNTTドコモはどのように取り組んでいるのか。講演に登壇するために香港を訪れていた、同社の代表取締役社長、山田隆持氏にお話をうかがった。


NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏

 

――先月、同じ香港でサムスン電子とグーグルの「GALAXY Nexus」が発表されました。今まで、ドコモさんが取り扱ってこなかったNexusシリーズを導入した狙いや、意気込みなどをお聞かせください。

 我々には、最先端のAndroid 4.0をお客様に提供し、使っていただきたいという思いがありました。その代わり、「GALAXY Nexus」は「dメニュー」や「dマーケット」には対応していません。我々には選択肢が2つあります。1つが、これらを入れてから発売する。もう1つが、「dメニュー」や「dマーケット」などを入れずに、“世界最先端”を使っていただくというものです。数はそこまで多くないとは思いますが、やはり世界最先端の端末がほしいというお客様はいらっしゃいます。それをドコモで使っていただきたかったというのが、「GALAXY Nexus」を導入した理由です。


GALAXY Nexus SC-04D

 

――結果として、「spモードメール」や「dメニュー」「dマーケット」などのサービスがAndroid 4.0に対応するのがスムーズになるという効果もあるのでしょうか。

 一部ですが、それもあります。新バージョンのAndroidにどう対応していくのか、これは我々も頑張ってやっているところです。パソコンとは違い、スマートフォンは半年でどんどんバージョンが上がっていきますからね。望みとしては、グローバルモデルとほぼ同じタイミングで、我々のサービスを搭載したモデルも出したい。そのためには、グーグルさんから情報を先に出してもらい、しっかり新バージョンのOSに追いついていく必要があります。

――最新のテクノロジーには積極的に対応していくという方針でよろしいでしょうか。

 はい。それはぜひ。お客様には“先進性のドコモ”という見方をしていただきたいですね。

――幅広いメーカーにAndroid 4.0が広がるのは、どのタイミングになると見ていますか。

 先月、冬春モデルを発表しましたが、あの中には当然Android 4.0のモデルは入っていませんでしたよね。では、まだ発表していない春モデル(冬春モデルの発表会にてシルエットのみ紹介された端末)が対応できるのかというと、ちょっと難しいかもしれません。もちろん間に合うものはバージョンを上げていきますが、基本的には来年の夏モデル以降からという形で検討しているところです。

――主軸はAndroidという考えでしたが、改めてOSについての位置づけを教えてください。

 iモードを移植できるというのは、やはりAndroidです。それにプラスして、スマートフォンならではのサービスができれば、さらにいいですよね。お客様はおサイフケータイやワンセグ、赤外線なども望んでいます。となると、やはりメインはAndroidですね。

――Windows Phoneについては、どのように評価されているのでしょうか。

 当然、Windows Phoneにも素晴らしいところがあるので、検討の議題にはあがっています。ただし、まだ具体的にどうするかは決まっていません。

――冬春モデルとして、Xi対応スマートフォンを発表されました。ただ、各国の周波数事情を見ていると、今後グローバルモデルの導入が難しくなるという懸念もあります。この辺りについては、どのような感触を持たれているのでしょうか。

 周波数は過去からの経緯もあるので、そろえるのはなかなか難しいですね。本当はグローバルで統一できればいいのですが。その代わり、アンプをまとめられるような技術開発をしています。1つ1つ周波数に対応していくと、それだけアンプが増えてしまいますから、これらを1つで対応しようというわけです。今年のCEATECでデモを行った際には、そこまで派手ではないものの非常に注目を集めていました。これが、2012年から2013年には完成するはずです。

――先月発表された冬春モデルの中で、「ARROWS X LTE」にはドコモなどが共同で開発した「さくらチップ」が搭載されています。一方で、このライセンスを台湾のMedia Tek社にライセンス提供されていますが、そこにはどのような狙いがあるのでしょうか。

 「さくらチップ」は、積極的に使っていきたいと考えています。そのためには、グローバルであることが必要です。せっかく開発したチップを日本国内だけで使いましたというのでは、世界の競争に勝てますか? 難しいですよね。Media Tekとの関係は、我々から見ると、さくらチップの知的財産の一部を買ってもらったことなります。チップを実際に採用してもらうのも1つですが、Media Tekとの関係のように、ノウハウを提供し、それを製品にして売っていただくという形もあります。

――「Mobile Asia Congress」でも、「モバイルマネー」はテーマの1つになっていました。ドコモはおサイフケータイでこの分野に強いと思いますが、今後、グローバルモデルで導入されるNFCとの棲み分けなどは、どのように行っていくのでしょうか。また、「GALAXY S II LTE」や「GALAXY Nexus」にはNFCが搭載されたままですが、何か狙いがあるのでしょうか。

 「GALAXY S II LTE」などには、「Type A」「Type B」のチップが搭載されています。グローバルモデルにあるものを、わざわざ抜く必要はないですよね。ただ、日本ではまだリーダーライターが無いわけです。そこで、基本的には、Type A、Type Bに加えてFeliCaも入れて、3つでやっていきたいと考えています。FeliCaのリーダーライターは、すでに50万台以上ありますからね。ぜひこれを有効利用して、Type A、Type Bが入ってきたときに、両方使えるようになればいいなと思います。

――Type A、Type Bの利用環境については、FeliCaのときのようにドコモさんが積極的に拡充していくという計画はあるのでしょうか。

 リーダーライターも、Type A、Type Bに対応するものを広げていきたいと考えています。

――最後に、「dマーケット」「dメニュー」をこのタイミングで開始する狙いを改めて教えてください。

 おサイフケータイなどと同じように、今のお客様がスマートフォンでもフィーチャーフォンの機能を使いたいというニーズがあります。今までは、残念ながらそれが継承できていませんでした。スマートフォンにしたお客様には、iモードの公式サイトを解約してもらっていたのです。それだと、お客様には「なぜ使えないのか」と言われてしまいますし、コンテンツプロバイダーが一生懸命やっても、ドコモがスマートフォンを売るたびにユーザーが減ってしまいます。ですから、まずは、ここをきちんと移行させなければなりません。これは、お客様にもいいことですし、コンテンツプロバイダーにとってもいいことです。

 さらに、これからはスマートフォンならではの部分も出していきたいですね。たとえば、電子書籍もフィーチャーフォンだとマンガで終わってしまいましたが、スマートフォンは画面が大きいこともあり、(実際の書籍のようなスタイルの)文字中心のものにも広がったわけです。このように、「dマーケット」では、コンテンツの質的、量的拡大を図っていきたいと思います。

――本日はどうもありがとうございました。

 




(石野 純也)

2011/11/16 17:00