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「GALAXY S II LTE」「GALAXY Nexus」「GALAXY Tab 7.0 Plus」

サムスンが日本向け送り出す3端末の特徴と狙い


 サムスンは、2011年冬〜2012年春モデルとしてNTTドコモからAndroidスマートフォン「GALAXY S II LTE SC-03D」「GALAXY Nexus SC-04D」と、Androidタブレット「GALAXY Tab 7.0 Plus SC-02D」の3端末を投入する。

 「GALAXY S II LTE」は、LTEサービス「Xi」(クロッシィ)に対応したAndroid 2.3搭載のスマートフォン。一方、「GALAXY Nexus」はAndroidの最新OSとなるAndroid 4.0(Ice Cream Sandwich)を搭載したスマートフォンとなり、どちらを購入するか頭を悩ませているユーザーも多いかもしれない。また、「GALAXY Tab 7.0 Plus」は、「GALAXY Tab SC-01C」の後継モデルにあたる7インチのタブレットで、前モデルからどのような点が進化したのかが気になるところだ。

左から「GALAXY S II LTE SC-03D」「GALAXY NEXUS SC-04D」「GALAXY Tab 7.0 Plus SC-02D」

 これらの3端末の違いやそれぞれの特徴、狙いなどについて、サムスンテレコムジャパン 端末営業部 営業パートの阿部崇氏と糸櫻幹雄氏に伺った。

GALAXY S II LTE

阿部氏

――まず、「GALAXY S II LTE」について教えてください。

阿部氏
 「GALAXY S II LTE」は、6月に発売された「GALAXY S II」をベースにLTEサービスの「Xi」に対応した端末です。ドコモさんとしても今後、Xiに力を入れていきたいという中で、Xi対応の第1弾のスマートフォンとして「GALAXY S II LTE」を出すことになりました。

 「GALAXY S II」と比べると、ディスプレイが4.3インチから4.5インチと大画面になっています。ディスプレイは大きくなりましたが、持ちにくいということなはく、カドを落として丸くしたり、厚さを抑えることで、片手でもフィットするデザインになっています。デザインやサイズ感にこだわっているので、十分受け入れていただけるサイズだと考えています。

――「GALAXY S II」と比較すると、CPUが自社製の1.2GHzデュアルコアからクアルコム製の1.5GHzデュアルコアに変わっていますね。何か理由はあるのでしょうか。

阿部氏
 今回は通信のベースバンドのチップセットにクアルコム製のチップを採用しています。そのため、CPUもクアルコム製を使ったほうが相性が良いと考えて採用しました。Xiに対応した初のスマートフォンとなるので、相性の良い安定した組み合わせを選んだというのが理由です。

糸櫻氏
 早く市場に投入できるように、スピード感を重視しました。
GALAXY S II LTE SC-03D

――グローバルモデルと日本版での違いはありますか?

阿部氏
 ハードウェアとしてはほとんど同じものを使っていますが、ソフト面では日本向けとして、「dメニュー」や「dマーケット」、「エリアメール」などのドコモのサービスに対応しています。また、サムスンとして力を入れたのは、日本語への対応です。これまでは若干、違和感のある日本語が出てくることもありましたが、チューニングを重ねてレベルアップしたので、日本語入力での違和感が少ないものになっていると思います。

――「GALAXY S II」では日本版にワンセグが搭載されていましたが、今回は搭載していませんね。

阿部氏
 はい。その点も、スピード感を重視したためです。初めてのXi対応スマートフォンを早めにリリースするためにも、開発時間が延びるのを回避して、ワンセグは搭載しませんでした。その代わりではないですが、ハードウェアはグローバルモデルとほとんど違いがないので、たとえば、NFCチップも搭載しています。今後、日本だけでなく、世界でもNFCが普及していく中で、いずれNFCが利用できるように可能性を残しています。
GALAXY S II LTE SC-03Dの背面

――LTE対応端末ということで、バッテリーの持ちが気になるところですが、何か対策はされているのですか?

阿部氏
 LTEは3Gのみのモデルと比べると連続待受や連続通話の時間が短くなっているので、バッテリーに関する対応は重視した点です。対策としては、バッテリー容量を1850mAhと大きくしたことと、電力消費を抑えるためのチューニングをしています。また、「GALAXY S II」と同様に外付けのジャケット型電池パックもオプションで提供します。電力消費を抑えることと、外部の純正品も提供することで、バッテリーを長持ちさせられるようにしています。

――Android 4.0へのバージョンアップはいつ頃実施予定でしょうか。

阿部氏
 これまでもOSのバージョンアップについては、早めに取り組んできました。ただ、バージョンアップは、プリインストールアプリなどの事業者サービスも含めた対応が必要になりますので、ドコモさんとも相談しながら、できるだけ早く実施していきたいと思います。とりわけ、今回に関して、ハードウエア面では日本向けの特別な仕様を搭載しているわけではないので、できるだけ早い時期に実施したいと思います。

――ワンセグのほかに、おサイフケータイや赤外線通信といった日本向けの仕様は、今後の第2弾、第3弾のXi対応スマートフォンでは搭載される可能性はありますか?

阿部氏
 日本仕様については、これまでもフィーチャーフォンではFeliCaなどを導入したことがありますただ、フィーチャーフォンは日本向け専用に開発した端末なので、グローバルモデルに日本仕様を搭載するというのはスマートフォンになってから初めての取り組んだことです。これまではハードウェアのカスタマイズは極力抑えてきましたが、技術的にはできないことではありませんし、FeliCaなどの対応したいサービスも多いので、今後は取り組んでいきたいと思います。

GALAXY Nexus SC-04D

GALAXY Nexus SC-04D

――次に、「GALAXY Nexus」について教えてください。

糸櫻氏
 「GALAXY Nexus」は、最新OSのAndroid 4.0を搭載した端末です。ディスプレイは4.7インチと、「GALAXY S II LTE」よりさらに大画面になっていますが、横幅はほぼ同じ長さに抑えて、持ちやすさは維持しています。また、ボディは下部に重みを持ってきています。上部が重くなると、どうしても持ちにくい印象を与えてしまうので、上部を軽くすることで、重さを感じないデザインになっています。大画面で楽しめることと、手におさまるサイズ感を両立できたのではないかと思います。

阿部氏
 「GALAXY S II LTE」との違いとしては、ディスプレイが720×1280ドットとHD化しています。Super AMOLEDとして初めてのHDディスプレイであり、これまでのSuper AMOLEDでは「高精彩」という表現を使ってきましたが、今回HDにすることで「高精細」を実現できました。また、ディスプレイ部分がカーブしているという形状の違いもあります。

――サムスンがAndroidのリファレンスモデルを出すのは「Nexus S」に続いて2機種目ですが、今回、「GALAXY Nexus」が日本でも販売されるようになった経緯を教えていただけますか。

阿部氏
 新しい端末は常にドコモさんには紹介していまして、最新のAndroid 4.0という点に非常に興味を持っていただき、リリースする運びとなりました。モデル名が「GALAXY Nexus」と、Googleのブランド名である「Nexus」とサムスンのブランド名の「GALAXY」を組み合わせたものとなっていて、サムスンとしても力を入れていきたいモデルですので、「GALAXY」シリーズを日本市場で一緒にやってきたドコモさんから出したいという思いもありました。
GALAXY Nexus SC-04Dの背面

――こちらのCPUはOMAP4460ということで、「GALAXY S II LTE」とも違いますね。

糸櫻氏
 はい。「GALAXY Nexus」は、Android 4.0のリードデバイスですので、必ずしも最先端をアピールするだけのものではないという観点からです。どの程度のデバイスやハードウェアスペックで動くのかという規模感を示す必要があったので、必ずしも最高のスペックにこだわっているわけではないです。

――リファレンスモデルですが、ドコモやサムスンのアプリはプリインストールされているのでしょうか。

阿部氏
 ドコモのアプリについては、「spモードメール」のみをプリインストールしています。今後、「エリアメール」の緊急地震速報については対応させる予定です。「GALAXY S II LTE」などでプリインストールされているサムスンのアプリは搭載していません。

――Nexus Sもそうでしたが、メモリカードスロットを搭載していないのはなぜでしょうか。

阿部氏
 これは、「GALAXY Nexus」をクラウドサービスを使うデバイスにしたいというGoogleさんの考えにもとづいています。「Google+」がプリインストールされていて、画像や動画をクラウドに簡単にバックアップできるなど、クラウドサービスが使いやすくなっていますので、microSDカードにこだわる必要がないということだと思います。

糸櫻氏
 PCなどの他のデバイスとのやりとりもクラウドを通じて行います。Android 4.0自体がクラウドの使い勝手が便利なOSに作り込まれています。

――Android 4.0になって、バッテリーの持ちは向上したのでしょうか。

阿部氏
 バッテリーの持ちについては、スマートフォン全般の課題だと思いますが、もちろんGoogleさんも課題として把握していて、対応されています。「GALAXY Nexus」に関しては、3GのみでLTE対応モデルではないですし、バッテリーも1750mAhを搭載していますので、ご不満のないレベルのバッテリーの持ちになっていると思います。

――タッチ&トライなどでのユーザーの反応はいかがですか。

阿部氏
 「ドコモスマートフォンラウンジ」やドコモ様の内覧会などでタッチ&トライを行っていますが、男性だけでなく、女性にも操作のサクサク感は気に入っていただいているようです。内覧会では、Android 4.0の新機能の「Face Unlock」と「Android Beam」が特に好評でした。
糸櫻氏

糸櫻氏
 Android 4.0になってUIが大幅に変わったので、これまでAndroidを使っていた人の中には、戸惑われる方もいるようです。反対に、Androidを使ったことのない人からは、使い勝手が良いという感想が寄せられます。OSの変更により、地味なところが使いやすくなっていたり、今までAndroidでできなかったことができるようになっているので、「こういう操作で動くんだ」という感動を味わっていただけると思います。

――「GALAXY Nexus」と「GALAXY S II LTE」でどちらを購入しようか悩んでいる人も多いと思います。

糸櫻氏
 そうですね。ドコモさんの最新技術であるXiを搭載しているのが「GALAXY S II LTE」、Googleの最新技術であるAndroid 4.0を搭載しているのが「GALAXY Nexus」ということになるので、そこが違いになると思います。

阿部氏
 どこに重きを置くかということではないかと思います。Android 4.0はこれからの技術なので、とにかく新しい物を好む人にとっては、「GALAXY Nexus」が最高です。すぐにスマートフォンをフルに楽しみたい人にとっては、「GALAXY S II LTE」が入りやすいのではないでしょうか。

 GALAXYシリーズは、必ずしも日本仕様のような機能がすべて入っているわけではないので、先端ユーザーが主なターゲットとなっていますが、その中でも、さらに先端ユーザーの方が「GALAXY Nexus」のターゲットになります。どちらもターゲットの基本コンセプトは男性中心ですが、女性の方も含めてすっと容易に使っていただけるのは「GALAXY S II LTE」だと思います。同じ先端ユーザーでも度合いによって分かれるのではないでしょうか。

GALAXY Tab 7.0 Plus SC-02D

GALAXY Tab 7.0 Plus SC-02D

――続いて、「GALAXY Tab 7.0 Plus」について教えていただきたいのですが、「GALAXY Tab」の後継モデルということで、特徴はどのような点になるでしょうか。

糸櫻氏
 「GALAXY Tab」は、7インチというサイズ感が評価していただけていたので、何を変えれば後継機として相応しいかを考えました。まず、四角ばっていたボディをラウンドフォルムにして丸みを持たせて、かつ薄く、軽くすることで、持ちやすさを改善しました。加えて、CPUをデュアルコアにしました。7インチという良さをキープしつつ、軽く、薄く、スピードを早くしたのが特徴です。

――OSがAndroid 2.xからAndroid 3.2(Honeycomb)に変わりましたね。

糸櫻氏
 はい。Honeycombがタブレットに最適化されたOSということで、Honeycombを搭載しました。Honeycombは本来、音声通話をサポートしていないのですが、音声通話は「GALAXY Tab」の特徴の一つでもあったので、独自実装によりHoneycombながら音声通話もサポートしています。

――そこまでして音声通話をサポートした理由は何でしょうか。

糸櫻氏
 タブレットとスマートフォンを両方持っている人もいますが、「GALAXY Tab」1台で済ませている人も多くいるためです。たとえば、シニアの方などでは、文字が大きく、Webも見やすいタブレットで通話もしたいと考えている人もいらっしゃいます。また、若い方でも、Bluetoothヘッドセットを使って、「GALAXY Tab」1台で通話も済ませている人もいらっしゃいます。7インチというサイズ感で音声通話もできるというのがポイントだと考えました。

阿部氏
 タブレットが最後の通話手段になるというケースも考えられます。私などもスマートフォンをずっと使っていてバッテリーが切れてしまったときでも、「GALAXY Tab」で通話ができるので安心感があります。「GALAXY Tab 7.0 Plus」も、最後の通話手段として安心して使えるバッテリーサイズになっています。
GALAXY Tab 7.0 Plus SC-02Dの背面

――「GALAXY Tab 10.1 LTE」はLTEに対応していましたが、「GALAXY Tab 7.0 Plus」はLTE対応にしなかったのはなぜでしょうか。

阿部氏
 「GALAXY Tab 7.0 Plus」は、2台目需要ということを考えて、価格面での購入しやすさを重視しました。LTEを搭載して高くなるよりも、より買いやすいほうが多くの方に使っていただけると考えたからです。

――ターゲットはどのようなユーザー層となるでしょうか。

阿部氏
 ターゲットは幅広い年齢層、ユーザー層を想定しています。たとえば、「GALAXY Tab 10.1 LTE」のような10.1インチのタブレットが大きすぎると感じる方もいると思いますが、「GALAXY Tab7.0 Plus」は、ハンドバッグにも入れられて、女性の方でも携帯しやすい大きさのタブレットになっていると思います。カラーリングもホワイトなので、女性ユーザーも多く取り込みたいと考えています。

――最後に、他社と差別化するにあたっての御社の強みを教えていただけますか。

阿部氏
 1つ目は、評価をいただいている操作感の良さです。サクサクやヌルヌルと表現されますが、そういった操作感の良さは今後も維持、改善していきたいと思います。2つ目は、スマートフォンで搭載している有機ELのSuper AMOLEDディスプレイです。いまでは他社からもAMOLED搭載の端末が出ていますが、最初はGALAXYシリーズだけでしたし、自社でパネルも作っているので、その時点でもっとも良いパネルを搭載できるというアドバンテージがあります。この2点が差別化のポイントになるのではないかと考えています。

――本日はありがとうございました。




(鈴木友博)

2011/11/17 10:00