シャープ、ドコモ向け端末開発者インタビュー

ユーザーの声に耳を傾けて作り上げた5モデル


写真右から多伊良氏、磯部氏、永井氏

 シャープは今冬、ドコモ向けに「AQUOS PHONE SH-01D」「AQUOS PHONE slider SH-02D」「Q-pot.Phone SH-04D」のスマートフォン3機種と「AQUOS SHOT SH-03D」「SH-05D」のフィーチャーフォン2機種の計5モデルを供給する。これらの端末について、シャープのパーソナル通信第一事業部 商品企画部 部長の多伊良教文氏、同部 主事の磯部穂高氏、同じく主事の永井秀幸氏に聞いた。

――まずはそれぞれの端末の位置づけについて教えてください。

多伊良氏
 今日お持ちしたスマートフォン3機種のうち、SH-01Dは既に発売済みで、4.5インチ高精細HD液晶や1210万画素カメラ、日本仕様としてワンセグ、FeliCa、防水機能、赤外線通信などをフルに搭載したハイスペックモデルでして、ご好評いただいています。

 2つ目のSH-02Dは、Android端末としてはドコモ様初のスライダーモデルでして、テンキーを搭載したスマートフォンです。フィーチャーフォンからスマートフォンへ切り替えては行きたいけれど、タッチパネル操作に不安や苦手意識をもつ、主に女性がメインターゲットの製品です。

 3つ目は、Q-pot.さんとのコラボモデルのスマートフォン、SH-04Dになります。Q-pot.さんとはフィーチャーフォンでもコラボ企画を実施させていただきましたが、スマートフォンの長所を生かした画面作りはもちろん、充電器のデザインにもかなりこだわった、ファン向け商品ですね。

 次にフィーチャーフォン2機種ですが、まず1つ目は従来の携帯電話のスタイルで使いたいというユーザーさん向けに、カメラや液晶など最先端のフィーチャーを搭載したハイスペックモデルで、回転2軸タイプのSH-03D。2つ目は、よりスタンダードなタイプのSH-05Dです。おくだけ充電に対応し、バッテリーの大容量化や簡単操作で安心に使っていただけます。

AQUOS PHONE SH-01D


AQUOS PHONE SH-01D

――12月2日に発売されたSH-01Dは売れゆきが好調すぎて、購入希望者からすれば、もっと供給してほしいというような状況ですが、改めてコンセプトや端末の特徴についてお聞かせ下さい。

磯部氏
 はい、夏モデルのSH-12C、SH-13Cの関係のように、SH-01Dはハイエンドなフラッグシップモデル、SH-02Dはミドルレンジをターゲットにした商品です。

 まずSH-01D商品化の狙いですが、基本的にスマートフォンというのはキーの数に限りがあります。その中で液晶ディスプレイは見るだけでなく、操作にも重要なデバイスになっています。シャープは液晶のリーディングカンパニーとして、そこではデバイスも有効活用でき、差別化できる商品を作っていきたいと考えていますから、ディスプレイのさらなる進化を目玉にしたのがSH-01Dになります。

 市場トレンドは液晶の大画面化が流れとしてあり、ユーザーさんの評価も高いです。また、高精細化かつキレイというのが、ディスプレイがポイントになっているスマートフォンでは、ユーザーさんが気にする点になっています。次がパフォーマンスへの期待です。デュアルコアCPUの搭載を訴求した商品が増えてきていますが、操作性向上への期待値が非常に高まっていると感じました。

 こうした市場動向とシャープが得意とする技術を踏まえ、一番最初に考えたコンセプトをそのまま出しているのですが、HD液晶、ハイパフォーマンス、デュアルコアCPU、光学手ぶれ補正対応のカメラ、防水、省エネ機能のエコ技など、従来力を入れてきた部分はもちろん、フラッグシップモデルに相応しい、フルスペック搭載で商品化したものがSH-01Dになります。

「大画面化と高精細化は両輪」と磯部氏

 各パーツの特徴ですが、まず液晶は夏モデルとの差として4.5インチとサイズがアップ、かつ解像度も720×1280ドットになっています。大画面化と高精細化は両輪かなと思っていまして、両者を兼ね備えることで液晶の使い勝手や使用シーンは広がっていくでしょう。大きな画面でオーディオビジュアル系のコンテンツを迫力いっぱいで楽しんでいただく一方で、Webなど情報系コンテンツもお楽しみいただけます。また1文字の表示も高精細な画面だからこそ、美しく表示できます。迫力と美しさの両方を兼ね備えているからこそ、多様なシーンでご活用いただけるでしょう。

 より細かい話になりますが、1インチあたりのピクセル密度という観点で言いますとSH-01Dは329ppiと非常にきめ細かいピクセル密度を実現しており、高精彩・高解像度というのがご理解いただけるのではと思っています。また、シャープが従来から得意とする3D対応にも、力を入れています。

 もう1つアピールしたいのが、屋外でも見やすいアウトドアビューで、視認性にも配慮しています。周囲が明るい環境では、バックライトを明るくしたりコントラストを調整したりしています。画面がいくらキレイで高精細になっても、ユーザーさんの目にきちっと見えなければ意味がありませんから。

――シャープとしては、3キャリア横断のテーマとして「エコ技」に取り組んでいらっしゃいますね。従来、普通のAndroidですとバックライトの光だけコントロールしていたのが、細かなところまで手を入れて、電池も持ちやすく工夫しているのが、今回のラインナップというわけですか。

多伊良氏は「快適にご利用いただくために、必然的な選択としてデュアルコアCPUになった」と話す

多伊良氏
 シャープとして頑張っているのは、何よりもまず絵の美しさを損なわないことです。視認性をキープしつつ、その上でどうやって省電力を実現するかを考え、ユーザーさんのいる環境に影響されない絵作り、というところに力を入れました。

 また、今回の冬モデルは、各社さんデュアルコアCPUを搭載するところが多くなっていますが、単にトレンドだから搭載しているわけではありません。解像度の高いHD液晶を採用していますので、データの処理量もそれに伴い増えています。それを快適にご利用いただくために、必然的な選択としてデュアルコアCPUになりました。ユーザーさんには、サクサクとした操作感を体験していただけると思います。

――今回、画面解像度が上がったことでCPUへの負荷は当然高くなっているでしょうし、そのあたりはデュアルコアでないと厳しい部分というわけですか。例えば、ミドルレンジの製品でもディスプレイの解像度が大きくとなると、シングルコアのCPUでは同程度の快適さは維持しづらいのでしょうか。

多伊良氏
 アプリによっては厳しいものも出てくるかもしれませんね。我々としては、ユーザーさんのタッチ操作の反応への期待値と、ズレをできるだけ小さくし快適に動かしたい。そうなるとデュアルコアCPUの採用も検討が必要になってくるかと思います。

――とにかく快適な操作というのが、今回の製品の狙いですか。

磯部氏
 そうですね。SH-12Cはデュアルコアではありませんでしたが、操作の快適さは高評価をいただいていました。そこで培った信用と期待を、冬モデルで裏切るわけにはいきません。操作性というのは、ユーザーさんの選択肢で大きなウエイトを占めていますから、きちんと作りこんで提供すべきだと考えています。

――速いCPUを載せると発熱の問題が厳しくなってきませんか? 特に今回は防水対応ということで、よりいっそう発熱に対しては厳しい環境での開発になったと思いますが、いかがでしょう。ハードルは高かったですか。

多伊良氏
 高かったですね。そうは言いましても、日本のユーザーのニーズとして、既存のフィーチャーフォンで入っている防水機能、カメラなどは、特にハイエンドモデルとなれば同レベルの物を求められます。そこで妥協せず作り込んだ商品に仕上がっています。

裏面照射タイプのCMOSセンサーを採用

――カメラ機能についてもご説明いただけますか。今回はCCDではなく、CMOSを採用されていますよね。

磯部氏
 SH-01Dのカメラは1210万画素と、かなり高画素のものを採用しました。シャープ製で高画素と言えばCCDというイメージが強かったと思いますが、今回はCMOSセンサーを採用しました。

 従来のCCD採用モデルですと色再現性の高さなどをウリにしていましたが、今回はCMOSセンサーと言っても裏面照射タイプを採用することで、光の取り込みについては従来のCMOSよりも優位性があります。これまでCCDが得意としてきた低照度での撮影も、裏面照射によってそれほど遜色のない写真が撮影できます。また弊社の強みの1つでもありますカメラ専用画像処理エンジンProPixを12M CMOS向けにチューニングしました。

――チューニングの方向性というのはCCDとCMOSで、それほど違うものなんですか?

磯部氏
 狙っている方向性がCCDとCMOSで大きく違う、ということはありません。ただ、色づくりなどの点で弊社らしさを出すことを強調しました。

 もう1つの大きな特徴は従来の電子式に代わって、新たに光学式を採用した手ぶれ補正です。モバイル機器が薄型軽量化する一方、カメラの高画質・高画素化は進んだ結果、手ぶれの影響は無視できなくなっています。光学式のメリットは、画質を落とさず手ぶれを抑えられることです。電子式は画素をフルに使わず、補正に使うための領域を確保しておいて、後からソフト的に補正をかけます。しかし、光学式の場合はレンズを動かしてブレを相殺することで手振れが無い状態を作り出し、画素をフルに使えるため画質的にも優位性が高くなります。

――この機能は静止画、動画両方に対応でしょうか。

磯部氏
 はい、動画でも手ぶれ補正に対応しています。これもレンズを実際に動かす光学式手ぶれ補正のメリットと言えるでしょうね。ちなみに、こちらが実際のCMOSモジュールです。厚さは5mm台で非常に小さくなりました。スマートフォンも薄さ競争に入り、カメラ部分だけポコっと厚みが出るとデザイン的に弊害があります。デザイン性だけでなく、電力消費の点からいってもCCDより優位性がありますし、こういったCMOSモジュールの採用は1つの有効な選択肢かなと思います。

AQUOS PHONE slider SH-02D

AQUOS PHONE slider SH-02D

――続いてSH-02Dの特徴やアピールポイントの解説をお願いします。

永井氏
 SH-02Dは見ていただいた通り、とにかくこのテンキー搭載が特長の製品です。商品企画を始めたのがちょうど今から1年前、フルタッチのスマートフォンが出始めた頃でした。弊社でもドコモさん向けにSH-03Cなどを出しまして、ユーザーはアーリーアダプターと呼ばれる方が多かったです。そういった方々を対象にユーザビリティテストを行うと、メールの文字入力、電話を受け取る、切るといったところで一瞬操作にとまどわれるんです。そこで、1年後の冬モデルが発表される時に市場がどうなっているかを考えました。スマートフォンへという流れは加速しているでしょうし、今までフィーチャーフォンを使っているユーザーでそこまでリテラシーが高くない層もスマートフォンへの憧れは抱くでしょう。しかし「文字入力がうまくできるのか」、「操作が難しいのでは」とためらうことを想定し、どういった商品像がふさわしいか考えました。

 そこでタッチとキー操作の併用は親和性として相性がよい、大画面かつキーが使えるということでスライダー式をコンセプトに据えました。

――タッチ操作には大画面の方が当然やりやすい、さらに操作性への不安を解消するためにテンキーが必要だと。

永井氏
 スライダータイプには元々、一定の需要があったと思います。今までは3.4~3.5インチぐらいがフィーチャーフォンでのスライダーの主流でした。そこでデザインに関する調査を行うと、一見スマートフォンに見えるけれどテンキーも使える点に新しさを感じていただき人気も高く、こういったスタイルを取り入れてみようという話になりました。

 そうは言いましてもフィーチャーフォンから乗り換える際に、今まで使っていた機能、ワンセグや赤外線、おサイフケータイなどはやっぱり欲しいでしょうし、特に最近の端末は防水に対応したものが多いです。そこで防水は外せない機能だろうと、ドコモでは初のスライダータイプのスマートフォンですが、防水・防塵に対応しました。

 1台目のスマートフォンとして持っていただいても、フィーチャーフォンと比べても遜色無いスペックで、なおかつテンキーによる簡単な操作性でハードルを下げたのが本商品です。

最大の特長であるテンキー

 特に苦戦したのはキー配置でした。中央にクリア、その脇にオン/オフフックという従来製品とまったく同じキー配置にできればよかったのですが、Androidの仕様を考えると1つのキーにまとめて割り当てるのが難しいんです。そこでデリートとクリアキーはハッキリ分かりやすくしました。オン/オフフックは外せないキーですが、従来どおりにするとテンキーがとても小さくなってしまいます。せっかくのテンキー搭載なのに、文字入力が使いにくくなると本末転倒ですから、テンキーのサイズ感を最優先にしてあります。

 もう1つSH-02Dの特徴は、おくだけ充電への対応です。特に防水の場合、充電コネクタのカバーの開閉を頻繁に行うと劣化して防水機能が損なわれやすくなります。スマートフォンの場合は特に充電する機会が多くなりがちですので、手軽さもウリにできるおくだけ充電に対応しました。

――女性ユーザーにとっては防水でキー操作ができるというのは、嬉しい仕様だと思います。

永井氏
 特に女性からの関心は高いです。私も周囲の女性で「スマートフォンは買いたいけれど……」とちょっと悩んでいる方にSH-02Dの話しをすると、興味をお持ちいただけますね。ただ、そういったユーザーさんはIT系の雑誌などを見てチェックするタイプではないので、そこまでの認知度が無い、存在を知られていないということも大きいでしょう。

「フィーチャーフォンで当たり前にできていたことが使えない、使い方が分からないとならないよう、心がけた」と永井氏

――店頭での展示も開いた状態で置いてほしいですね。そのまま置くと普通のスマートフォンに見えちゃいますから(笑)。SH-01Dのターゲットは新しい製品に興味があるハイエンドユーザー向けということでしたが、SH-02Dは使い勝手重視のユーザー層になりますか。

多伊良氏
 SH-01Dはやっぱり20代~30代の男性が中心に、SH-02Dは女性向けで、発売後の動きも実際その通りになっています。

――スライド+防水機能以外で、SH-02Dの特徴は何かありますか。

永井氏
 パレットUIというドコモさんのホーム画面が初期設定になっていますが、最初はキーの対応がなかなか難しかったんです。そこもドコモさんと調整してカーソル移動など、キーで操作できるようになっています。そこからさらに、シャープのホーム画面の方もキーで使いやすく仕上げていまして、ソフトキーを使ってアプリやブラウザの一発起動、ショートカットのカスタマイズ、#キー長押しでマナーモードに切り替えるなど、フィーチャーフォンで当たり前にできていたことが使えない、使い方が分からないとならないよう、心がけました。

――カメラについてはいかがでしょう。CMOS搭載ですよね。

永井氏
 はい、裏面照射ではありませんが、800万画素でスペック的には満足できるラインを搭載しています。アプリケーションはSH-01Dと一部共通の物を採用しました。

AQUOS SHOT SH-03D


AQUOS SHOT SH-03D

――では、次にSH-03Dについてもお願いします。

永井氏
 SH-03DはドコモのSTYLEシリーズに分類されていますが、現在は廃止されたPRIMEシリーズというハイエンド製品、夏モデルのSH-10Cの後継機種になります。

 PRIMEシリーズはとにかく新しい、最先端の機能を搭載するモデルでしたが、そういった製品を好むユーザーはどんどんスマートフォンに移行しています。ではどういったユーザーが冬モデル発売のタイミングで、フィーチャーフォンを購入するかと考えると、メールやカメラを片手で操作できる従来の操作性を重視する方です。また、AQUOS SHOTというブランドを強みにやってきたこともあり、そういった機能を重視されるユーザーは残っているのではないかと考えました。

 では、どういった進化を遂げていくべきかというと、ベーシックなメールと電話が使いやすいこと。持っていて快適さを提供してくれる携帯電話であるべきかな、と考えました。前機種と異なり、3D液晶ではありませんが、その分、薄くて軽いサイズ感にしたことも1つのポイントです。

 また、サイドのイルミネーションも好評をいただいており、そこをどう進化させたかと言いますと、単に光るだけではない、光ることに意味を持たせました。サブディスプレイ部にタッチセンサーを導入し、マナーモードの設定や新着メール、時計/歩数計の画面切替などができるようにしました。従来製品にもサブディスプレイはありますが、閉じたままで何かができるというのは少なかったと思います。フィーチャーフォンの良さは、いちいち画面を立ち上げる必要が無い手軽さです。そのタッチセンサーの反応表示をイルミネーションが演出してくれるのは、SH-03Dでこだわった部分です。

 もう1つは新しいプラットフォームで、今回は1.2GHzのCPUを採用しました。こういった訴求をするのはフィーチャーフォンでするのは初めてなんですが(笑)、スマートフォンライクなパフォーマンスにもこだわり、サクサク操作できる点を強調しています。メールや動画視聴などもフィーチャーフォンの中でもトップクラス。とにかく最終形態と呼べるクラスにまで持って行けたと考えています。

――見ているとスマートフォン以上にいじくり倒して、CPUに負荷がかかっている節もありますが、そこは今までのノウハウでカバーしているのでしょうか。

永井氏
 はい、これまでの蓄積が活きています。今回は特に快適な操作性にこだわった結果、スマートフォンと比べても遜色ないレベルに仕上がったと思います。



――ドコモの商品ラインナップとしては、こういったフィーチャーフォンが、まだまだ必要だと考えていらっしゃるんでしょうか?

多伊良氏
 そうですね。ドコモ様はユーザー層が幅広いこともあり、一定数量のユーザーはフィーチャーフォンを必要としており、我々もそこに向けての開発は需要があると考えています。

――しかし、ハイエンドやコアユーザーがスマートフォンにどんどん移行していく中、どこまでフィーチャーフォンの開発にお金をかけられるのか、というのは結構問題だと思いますが……。

多伊良氏
 そうですね。ただ、中途半端なものを作ってもユーザーさんには分かってしまいます。完成度の高いものを作るのはメーカーの責任であり、フィーチャーフォン開発の手を抜くつもりはありません。

永井氏
 ハイスペックなフィーチャーフォンはSH-03Dがある種の完成形だと考えていますが、フィーチャーフォン全体の進化は、よりベーシックへ向っていくと思います。

多伊良氏
 旧PRIMEシリーズのユーザーさんはスマーフォンに向いています。むしろスタンダードな部分をきちっと作っていくべきでしょうね。

Q-pot.Phone SH-04D

Q-pot.Phone SH-04D

――続いてQ-pot.コラボモデル、SH-04Dの紹介をお願いします。

永井氏
 こちらはもうご存知かと思いますが、アクセサリーブランドのQ-pot.とのコラボレーションモデル、3機種目になります。前の2機種はフィーチャーフォンでしたので、スマートフォンとしては初コラボですね。外観は当然のこと、内蔵コンテンツにもこだわった製品を作ってきましたが、今回もチョコレート風デザインに加えてさらなるこだわりとして、おくだけ充電の充電台もQ-pot.の世界観を壊さないよう、専用ワイヤレスチャージャーを作りました。こちらにも注目していただきたいです。

 ベースとなった機種はSH-13Cなんですが、充電する時にいつもの充電台があったら、そこでQ-pot.の世界観が壊れてしまいますよね。そこで、1日使ったスマートフォンを夜に寝かしてあげるというコンセプトで、クリスタル風デザインチョコレートベッド、“CHOCOBED”と命名しました。稼働式ではなくコイルは固定式にはなりますが、端末とぴったり同じサイズにしてあります。

 内蔵コンテンツもこだわっていまして、電池の残量に応じて壁紙のチョコレートが溶けていったり、さらにQ-pot.専用ゲームはチョコブロック崩し、ホーム画面をタッチすると急にお化けが顔を覗かせるといった、デザイン性だけではないこだわりを楽しんでいただけると思います。

――Q-pot.コラボモデルはシリーズとしても大変人気が高く、過去の製品もすぐに完売してしまった経緯があります。今回ももちろん注目されていますし、先日には販売数量が3万台から5万台に拡大され、ユーザーからは相当期待されているようですね。パッケージや充電台の独自デザインから考えて、いろいろと大変そうですね。

永井氏
 とにかくQ-pot.のイメージを壊さないことに注力しました。スペック的には、ベースになっているSH-13Cから大きく変更したところはありません。また、SH-01D/SH-02Dに搭載しているエコ技などは本モデルでは対応していません。

――エコ技などの機能を、後からアップデートで対応するのは可能ですか?

永井氏
 全て追加実装していくというのは難しい点も多いのですが、お客様のお声を聞きながら、検討していきたいと思います。


おくだけ充電の充電台もQ-pot.の世界観

SH-05D

SH-05D

――それでは最後にSH-05Dの特徴やコンセプトをお聞かせください。

永井氏
 SH-05Dは、SH-03Dの構想があった後にラインナップされた製品です。フィーチャーフォンの売れ筋商品は、少しずつ低価格のミドルレンジに移りつつあります。ある程度安いモデルでもそれなりに満足できるカメラが搭載されていたり、ベーシックな部分はどれを購入しても対応してきています。

 そこでシャープとしてどういった商品を作っていくべきか考えた時、メールと通話しか使わないユーザーはもっといるのではないかという結論に至りました。案外そういったユーザー層に向けたベーシックな製品が少なく、機能全部入りに注力してきたところがありますから。

 少し視点を変えてみると、ライトユーザーほど毎日充電が必須ということは少なく、長く使える、充電が持つ方が嬉しいし満足度も高いのではと、思い当たりました。とにかく電話とメールを長く使えることを狙いに置いて、電池の大容量化といちいちカバーを外さなくてもサっと充電できる、おくだけ充電に対応したのがSH-05Dというわけです。

 ベーシックと言いながらもSH-03D同様の高速なCPUを搭載していますから、メールや写真を撮影して送信するといった、よく使う機能も今まで以上にストレスなく使えるというのが本製品のアピールポイントです。

――スマートフォンは電池が持たないため充電の頻度も高く、だからこそ、おくだけ充電への需要もありました。しかし、それをあえてフィーチャーフォンの世界に持ち込んだのは、ユーザーの使い勝手を最重要視したからこそなんですね。

永井氏
 おくだけ充電に対する認知度も少しずつ広まっていますし、毎日充電しないタイプの人だからこそカバーを外す一手間を省きたいはずです。フィーチャーフォンに搭載する価値はあると思いました。

――ユーザーの潜在意識が震災の前後で変わったことも大きいと思いますが。

永井氏
 それは間違いなくあると思います。とくに東日本を中心に、もしもの場合になるべく長く使える携帯電話を、という意識は高まりました。電池の消費が大きいスマートフォンが普及したことで、余計に注目されているようです。長時間使用が1つの安心感になると思います。

――そういえば、今回は全モデル防水対応ですね。スマートフォンでも妥協せずに防水は必須とお考えですか。

多伊良氏
 ライトユーザーを含め、ユーザーがフィーチャーフォンからスマートフォンへと移行していく中、やはり今まで使えたものが新しい端末で搭載していないと選択肢に入れてもらえないでしょう。SH-01Dなどは、このサイズ感で防水機能搭載という点が評価をいただいています。

磯部氏
 SH-01DのサイズはSH-12Cとほぼ変わらないですね。むしろ薄く、バッテリー容量は上がっています。

――ところで、他社はLTE対応端末を出しています。ユーザーはシャープに作ってほしいと期待していると思いますが、それに対して今回のラインナップに無いのは残念です。将来的には登場すると考えてよいのでしょうか。

多伊良氏
 我々の方でも開発は進めていますので、ご期待いただければと思います。

――本日は長時間、ありがとうございました。




(麻生 ちはや)

2012/1/11 08:00