インタビュー

「STREAM X」担当者インタビュー

イー・モバイルが語るLTEスマホの本当の魅力とは

 イー・アクセス(イー・モバイル)から3月7日に発売されたAndroidスマートフォン「STREAM X(GL07S)」は、LTEに対応しクアッドコアCPUや4.7インチのHDディスプレイを搭載、おサイフケータイもサポートするなど、スマートフォンでハイエンドモデルが登場していなかったイー・モバイルのラインナップでは注目の端末だ。

 この端末はHuaweiがグローバルで2月末に発表したばかりの「Ascend P2」とベースを同じくする日本向けモデルで、グローバル市場に先駆けて日本で投入される形。ブランド名はソフトバンクモバイルから発売されているHuawei製端末と同じ「STREAM」とし、夏からはソフトバンクの3Gエリアでも利用できるようになるなど、イー・モバイルとソフトバンクモバイルの経営統合の成果も盛り込まれている。

 「STREAM X(GL07S)」はイー・モバイルのラインナップとして期待のハイスペックなスマートフォンということになるが、イー・モバイルの担当者に話を聞いたところ、注目すべき大きなポイントがほかにもあるという。同社における「STREAM X(GL07S)」の位置付けや販売施策、今後の方針などについて、イー・アクセス 常務執行役員 営業本部 本部長の高島謙一氏に話を聞いた。

「STREAM X(GL07S)」

目玉は「料金」、月額3880円のスマホ

イー・アクセス 常務執行役員 営業本部 本部長の高島謙一氏

 高島氏によれば、日本で同社が発表した「STREAM X(GL07S)」関連の情報で一番の目玉は、“料金”だという。「端末代も含めて、新規や機種変更、MNPでも月額3880円」とし、これはイー・モバイルのモバイルWi-Fiルーターなど、データ通信端末の月額の利用料と同じ金額になっている。「3880円という数字にはこだわった」とのことで、「初めてのLTEスマホということで、新しい料金プランを作った」と語るように、スマートフォンに対する施策をリニューアルさせている。

 このように「STREAM X(GL07S)」では、従来のイー・モバイル製品では複雑だったスマートフォンやフィーチャーフォンの販売形態をシンプルに改めているのが、販売現場での大きな変化になる。毎月かかる料金は、基本料、データ通信の定額料、端末代金と大きく分けて3つの構成とした上で、「LTE電話プラン」の(にねん)の基本料、月額980円(2年契約)は「LTEスマホ割」で無料になり、「STREAM X(GL07S)」の端末代金も24回払いの1回に相当する1750円を毎月割り引いて相殺し、端末価格は実質0円としている。ISP料金も「LTE電話プラン」に含まれている。これにより、「STREAM X(GL07S)」はモバイルWi-Fiルーターなどと同様にデータ通信だけなら月額3880円で利用できることになる。

 音声通話の通話分は従来と同様に従量制となり、他社宛が30秒あたり18.9円で、イー・モバイル同士の通話は24時間無料。

 テザリングは簡単に開始できるようホーム画面にウィジェットが用意され、バッテリーや電源制御の進化もあり、テザリングの連続通信時間は約8時間となっている。「モバイルWi-Fiルーターとして見ても、一世代前の製品と変わらないスペック」とのことで、端末の進化により、モバイルWi-Fiルーターを求めて来店するユーザーにも訴求できる内容になっているという。

 この端末と同社のモバイルWi-Fiルーターなどが異なる点は、当月のデータ通信料が5GBを超えると128kbpsに通信速度が制限される点。多くのキャリアでは月間7GBが制限の基準となっている。高島氏によれば、モバイルWi-Fiルーターのユーザーにおいても「約9割のユーザーは月間5GB以内」とのことで、5GBの制限でも多くのユーザーには影響がないとする。

 なお、「STREAM X(GL07S)」はイー・モバイルのポリシーに従いSIMロック・フリーの仕様で販売される。LTEは1.8GHz帯のサポートで基本的にイー・モバイルのLTE用だが、3Gは国内外の状況を鑑みて1.7GHz帯に加えて2.1GHz帯をサポートしている。この2.1GHz帯は、夏以降、ソフトバンクモバイルの2.1GHz帯に対応する予定。イー・モバイルのエリア外にいる場合、ソフトバンクモバイルの2.1GHz帯(3G)のエリアであれば通信できるようになり、特に都市部以外や地下施設などでエリアが拡大する。

 高島氏は、他社のハイエンドモデルと比較すれば、「STREAM X(GL07S)」に見劣りする部分はあると認めるものの、「この料金でこの端末の内容なら、いいんじゃない?と」と、端末代金や料金を踏まえた上で考えると、大きな魅力があるとアピールする。

1.5GHz駆動のクアッドコアCPUに4.7インチHDディスプレイ、ソニー製の1300万画素CMOSセンサー、2350mAhのバッテリーなど従来モデルよりスペック面を強化
おサイフケータイは「他社とほぼ同等」とのことで、対応サービスも順次拡大される見込み

夏以降も継続的にLTEスマホを投入

 では今後のラインナップはどうなのだろうか。7インチなどタブレット端末の拡大を受け、モバイルWi-Fiルーターの需要は依然として伸びているとのことで、同社としてスマートフォンはモバイルWi-Fiルーターを入れ替えるものではなく、追加の施策に位置付けている。前述のように端末の進化によりモバイルWi-Fiルーターとして使っても遜色ないスペックを実現できるモデルが登場してきたことで、「今後はスマホにも、より積極的に力を入れていきたい」とする。

 同社がスマートフォンにも力を入れるポイントは、データ通信の収入以外の、手数料などの収入も見込める点がある。音声通話の料金のほか、「STREAM X(GL07S)」の発売時点では対応していないが、将来的には決済代行やアプリの配信といったサービス・コンテンツ関連での副次的な収入も期待されており、こうした点はデータ通信専用の端末では実現が難しいだけに、魅力と写っているようだ。

 「STREAM X(GL07S)」はLTEスマホ第1弾という形で、ユーザーにとっては今後の展開や継続性も気になるところだが、高島氏は「夏・秋にも端末を出す。夏以降はマーケティングも強化していく」という方針を明らかにし、LTEスマホを順次拡充していく予定。「STREAM X(GL07S)」ではカバーしていない防水・防塵に対するニーズや、スマホ初心者向けといったような端末も、こうした今後のラインナップの中で検討されていくという。

「モバイル業界のLCC」

 高島氏は、「STREAM X(GL07S)」を投入し、端末代金も含めて安価なプランを用意した点を「モバイル業界のLCC(格安航空会社)」と謳う。

 同社が「STREAM X(GL07S)」をはじめとするスマートフォンを投入する際の、ターゲットとするユーザー層は大きく3つに分けられる。現在フィーチャーフォンを使っているユーザー、既存のスマートフォンユーザーで料金の安さを追求するユーザー、同社のモバイルWi-Fiルーターを利用しているユーザーの3つで、この3つのユーザー層がどういった割合になるかは「開けてみないと分からない」という。一方、「LCC」を謳うように、スマートフォンの料金に抵抗を感じているユーザーにアピールしていく狙いがある。

 「STREAM X(GL07S)」ではスマートフォンの初心者に向けた対策は十分ではないとするものの、フィーチャーフォンを使っているユーザーにアピールしていくのは「イー・モバイルのやりたかったポジション」として、大きな目標になっているようだ。また、ソフトバンクモバイルグループの一員としても、安価なプランを提供していくポジションにあるといい、一連のスマートフォンへの取り組みが中長期的な施策になることを明らかにしている。

(太田 亮三)