インタビュー

MVNOサービス事業者に聞く

3タイプの高速モバイル通信サービスを用意するニフティ

 春は移動の季節である。引っ越しや家族構成の変化などから、インターネットの接続環境を見直そうと考えるケースもあるだろう。現在は、固定回線からモバイル接続まで、選択肢は豊富だ。特に、ポータブルなモバイルルーターを使った高速モバイル通信サービスは、その手軽さから注目を集めている。

 そこで、老舗のインターネットサービスプロバイダであるニフティのISP事業部 ISP企画営業部 課長の関根健二氏、同営業部の橋本昌和氏、住田苑子氏に、現在「@nifty」が提供する高速モバイル通信サービスの特徴や活用方法、今後の展開についてお話を伺った。

接続形態が変化し、ユーザーニーズが増加

関根健二氏

――今、時期的に引っ越しが多いと思いますが、新生活を始めるにあたり、インターネットの接続にも変化はあるのでしょうか。

関根氏
 ありますね。移転時期とは関係なく、新しいデバイスやサービスが登場するたびに試してみようと思われる方も多いのですが、これまでADSLを使われていた方が、引っ越しをきっかけにモバイルオンリーに切り替えたりするケースもあります。

――特に単身者にとっては、事前の手続きや、設置の立ち会いなどがあると大変なので、身軽でいたいというのはあるかもしれません。現在、御社で提供されている高速モバイル通信サービスについて教えてください。

住田氏
 NTTドコモの回線を利用する「@nifty do LTE」、イー・モバイルの「@nifty EMOBIE LTE」、UQコミュニケーションズの「@nifty WiMAX」の3タイプをご用意しております。

――3タイプも用意されてるのはどういう理由からでしょうか。ユーザーの要望でしょうか。

橋本氏
 もちろんお客様の声もそうですが、常にお客様のニーズで選んでいただけるような選択肢をご用意したいと考えて、現在のメニューになっています。

――ISPとして、これまでユーザーの接続をずっと見てこられたわけですが、昨年の8月31日には、AIR-EDGE対応PHS端末接続サービスが終了しています。純粋にISPとしてモバイル利用の接続サービスを提供されるという立場から、MVNOによる高速モバイル通信サービスを始めようと思われたきっかけはなんだったのでしょうか。

関根氏
 ここ数年で、お客様のご利用環境が大きく変化したことによりますね。家でパソコンを使って、という接続形態だけでなく、相当アクティブになったという背景があります。以前はモバイルといえば、携帯電話やPHSでの接続が主流でしたが、今はノートパソコンやタブレットが大きく普及して、一般のお客様の利用も大幅に増えました。

 また、昔はメールの送受信やチャット、ウェブブラウザでのネットサーフィンというスタイルが多かったと思いますが、今は動画の視聴も含め、データの送受信量も増えましたから、接続する端末数や通信速度へのこだわりも強まっています。そういった事情もあって、弊社としては、変化に対応しつつ、多くのお客様にご利用を続けていただきたいという考えから、快適なモバイル通信環境を提供するためにMVNOに至りました。

――やはり一昔前に比べると、モバイルルーターへのニーズや問い合わせは、圧倒的に増えているのでしょうか。

関根氏
 はい。モバイルのサービスに関する問い合わせは、サービスを展開して以来、どんどん増えてますね。まだ弊社の会員様の全体の分布という意味では、固定の光やADSLが多いので、問い合わせの絶対数でいえば多くはありませんが、それでもお問い合わせは右肩上がりで増えています。

――どういう方々が主に利用されてるんでしょうか。固定サービスのほうを契約せずに、モバイルだけ使うという方とかも結構いらっしゃるのですか?

関根氏
 一部のアンケートやお申し込みいただく際に伺うヒアリングによれば、年齢層的には中盤から低め、30〜40代前半の方の層が厚いですね。弊社の会員層自体が、40〜50代が一番厚めなんですが、それに比べると、30代の比率というのはやや多いのかなと思います。全体の中ではまだまだ少ないですが、固定回線を持たずに、モバイルだけの契約の方もいらっしゃいます。ケーブルが不要なので、簡単で楽ということで、女性の利用も多いようです。

どこにいても高速でつながる安心感

橋本昌和氏

――3つのサービスについて、それぞれの特徴や選ぶポイントなどがあったらご紹介いただけますでしょうか。

橋本氏
 選ぶ際のポイントは、ご利用になる場所に加え、利用頻度、目的、契約期間、価格、機器は購入かレンタルか、などをお考えいただくといいと思います。

 たとえば、「@nifty do LTE」の場合、NTTドコモが提供するLTEサービス「Xi(クロッシィ)」エリア、およびFOMAエリアに対応していますから、山間部、地下、高層階の通信にも比較的強いという特徴があります。機器は、購入、レンタル、UIMカード(SIM)レンタルから選べます。外出や地方出張の多い方なら、カバーエリアの広さという安心感が得られると思いますし、訪問先が高層階が多いという方も安心ですね。

 「@nifty EMOBILE LTE」の場合は、LTEエリアが広い主要都市メインでの利用をお考えの方で、通信速度を期待したい方や、Mobile BBやEMOBILE G4をご利用いただいていた方の乗り換えに適しています。

 「@nifty WiMAX」は、通信制限がなく、契約期間も1年単位というのが大きな特徴ですね。特に単身者ならこれ1台で屋内外両方カバーできますので、固定回線は持たずにこれだけというのもこちらが多いです。引っ越しが多い方や、動画の閲覧が多いヘビーユースにも向いていますが、利用期間が1年なので、とりあえず始めてみたいという方におすすめです。自宅にご家族がいらっしゃる方には、フレッツ光とセット利用がお得な「&WiMAX割」もいいかもしれません。セット利用することで、WiMAXがワンコインで使えます(2013年3月現在)。

@nifty do LTEで使用する「Aterm MR01LN」
@nifty EMOBILE LTEで使用する「Pocket WiFi LTE(GL04P)」
@nifty WiMAXで使用する「AtermWM3800R」(ブラック)
「AtermWM3800R」(ホワイト)
住田苑子氏

――なるほど。そうはいっても、ラインナップが豊富だと、どれにしようか悩みそうですね。皆さん、どうされているのでしょうか?

住田氏
 結果的にブランドイメージを優先される場合もありますが、あえてメインの回線と違うものを選ばれる方もいらっしゃいます。違うサービスにしておけば、何か回線にトラブルが発生した場合でも、モバイルルーターからは接続できる可能性はありますから。

――いざというときの保険というわけですね。実は先ほど、こちらに伺う直前に、メインで使っているスマートフォンの電波の届かない場所で電車が止まってしまったので、連絡ができずに困りました。ですから気持ちはよく分かります。

住田氏
 そうですね。安心感のために違うものを選ぶというのはありだと思います。

――モバイルルーターで接続というと、ビジネスマンが仕事でノートパソコンを開いて……というイメージを持たれる方もいらっしゃると思うのですが、他にはどういった使い方が考えられますか。

@nifty WiMAXでは、モバイルルーターとLenovo製の7インチAndroidタブレット「IdeaTab A2107A」のセットプランも用意されている

関根氏
 公衆無線LANの有無に関わらず、好きなところでインターネットに高速接続できますし、1台あれば、ノートパソコンやスマートフォン、タブレット、ゲーム機などを複数同時に接続して使えます。ゲームがお好きな方なら、家族やお友達とも外で活用できますね。

 単身者は会社に行っている間は自宅の回線は使いませんよね。モバイルルーターなら携帯しやすいので、一緒に持って出かけてもいいと思います。WiMAXですと通信の上限がないので、ご自宅の回線を置き換えて、帰宅後もめいっぱい使われる方もいらっしゃると思います。特に最近はタブレットが人気ですが、女性なら、タブレットでレシピを見ながら料理しても便利ですね。

――最近はスマートフォンでテザリングされるケースも多いと思うのですが、いかがでしょう。

関根氏
 確かにテザリングも便利ですが、バッテリーのことを考えると、長時間使える専用機のほうが安心ではないでしょうか。つい夢中になって動画を見続けるということも考えられますし、テザリング中に電話が着信しないとも限りませんので、バリバリ使いたい方には、専用のサービスをお勧めします。

――SIM単体の提供というのは、使い方としてはハードルが高いと思うのですが、ニーズとしては確実に高まってきているのでしょうか。

関根氏
 まだニッチな使い方ですし、提供を開始したのは昨年の12月からなので、爆発的に数が伸びているというわけではないですが、これからSIMフリーの端末、デバイスが増えてくると、そこで利用が広がるかなと思っています。

――他社でもMVNOサービスは提供されているわけですが、御社の強みといえばどこになりますか。

関根氏
 お客様に選んでいただく、ラインナップを多くもっているという点だと思います。回線の品質そのものに大きな差があるわけではないので、あとはやはり@niftyそのものの魅力ですね。ウェブサービスの充実度や、手厚いカスタマーサポート力という部分に強みがあると考えております。常にコンテンツを強化し、回線をラインナップを増やして、どれでも選べるように、長く使えるようにしているのも長年の強みかなと思います。あとは、ニフティのIDでSkypeクレジットを買えるようになっている点も魅力でしょうか。

――インターネット接続事業が立ち上がったばかりの頃は、メールアドレスが持てる、ウェブページ用のサーバー容量がどれくらい無料でついてくる、オプションでCGIが使える、といったサービスがISPの差別化材料になっていたかと思いますが、現在はそれに準じるものというのはあるのでしょうか。

関根氏
 それらは当然ありますが、現在はセキュリティのサービスやデータバックアップ用のストレージなども回線とセットでお申し込みいただくようお勧めしています。

将来はISPならではの柔軟なプランも

――しばらく使っていると、自分の使い方が見えてくるものですが、契約途中でコースを変えたいという方も出てきたりしませんか。

橋本氏
 2012年の秋に「@nifty do LTE」のサービスを開始して間もないので、まだそうした事例はないようですが、回線変更の希望は可能性としてはありますね。現在、契約途中で違うサービスに切り替えるというのは難しいかもしれませんが、ニフティのサービスの中でのコース変更という形で、臨機応変な対応ができたらとは考えていますし、それを特徴につなげられたらと考えています。

 先ほどもちょっとお話ししましたが、今「&WiMAX割」というプランを出しております。それはフレッツ光の「@nifty光ライフ with フレッツ」と「@nifty WiMAX」をセットで使うと、お得になるという内容なんですが、このあたりはISPならではの、キャリアを横断したメニューといえます。そんな風にいろんなバリエーションもご提供できたらいいなと思っています。他にもタブレットをセットにした特典などもご用意しておりますが、これからは、モノを提供するだけではなくて、サービスをご利用いただくための手段、アイテムという位置づけになればと考えていますし、そういうアプローチは大事だと思っています。

――今、動画配信サービス関連が熱いといいますか、自宅のレコーダーで録画したものをモバイル環境で楽しむとか、そういう流れになってきていると思いますが、その辺りで何かお考えになっていることはありますか。

関根氏
 現段階であまり詳しいお話はできませんが、ニフティの事業全体としてのシナジー効果は非常に意識しておりますので、考えていることはあります。ハードウェアは規格の問題等がありますが、ソフト面では他社さんと連携して、エンターテインメントを楽しめるような使い方をご提案したりもしています。今後さらにさまざまなサービスを提供できるようになれば、高速モバイル通信サービスの楽しみ方も、さらに大きく広がると思いますので、ご期待いただきたいです。

――本日はお忙しいところありがとうございました。

(すずまり)