インタビュー

沖縄セルラー・北川社長に聞く

沖縄で、auがシェアNo.1でありつづける理由

 日本国内の携帯キャリアの契約数に占める割合は、NTTドコモ(45.5%)がトップシェアであり続けている。一方、沖縄県単体でのシェアはauがおよそ50%で、ふたりにひとりがauの携帯電話を使っている。KDDIの子会社で、沖縄県でauブランドを展開する沖縄セルラーは、1991年、KDDI(旧第二電電株式会社)をはじめ、沖縄県内の有力企業からの出資により誕生した。2010年には「沖縄通信ネットワーク株式会社」を子会社化し、移動通信事業と固定通信事業を手がける総合通信事業者となった。

沖縄セルラー電話 代表取締役社長の北川洋氏

 「沖縄のために」という声から生まれたという同社が、沖縄のトップシェアを守り続ける理由。2013年9月に完成したばかりの沖縄セルラー新社屋を訪れ、同社代表取締役社長、北川洋氏に話を聞いた。

地域に即したマーケティングとダントツの基地局数

 トップシェアを守り続ける理由のひとつに、移動回線と固定回線の一体営業がある。これは沖縄セルラーに限ったことではないが、KDDIグループとして取り組む「auスマートバリュー」が囲い込み施策として成功している。沖縄セルラーでは固定回線の「auひかり ちゅら」と合わせて契約することで割安になる。

 続く沖縄セルラーの強みとして、地域に即したマーケティング戦略にある。KDDIが全国で実施するさまざまに施策に加え、沖縄県独自のプロジェクトやキャンペーンを実施している。また、北川社長が「沖縄県で知らない人はほぼいない」と誇る沖縄セルラーのキャラクター“auシカ”。これはドコモの「ドコモダケ」に対抗して命名。「auシカちゃんの大好物はキノコ」なのだとか。筆者が現地取材で滞在した期間にも、テレビCMや同社がスポンサードする天気予報のバックで流れるアニメーションなど、たびたび見かけた。地域で親しまれるキャラクター展開は、日本でのマーケティングにおけるトレンドともいえる。

auシカの好物はキノコ

 沖縄の地域に即している点で外せないのは、離島などを含むLTE網のエリア化だ。沖縄セルラーでは、沖縄県内の1.5GHz帯の基地局を22局、2.1GHz帯は352局に加えて、800MHz帯は470局を設置している。また、販売網については県内のキャリアショップ数は86店舗。基地局数・販売店舗数ともにNTTドコモ、ソフトバンクと比較してダントツに上回る数で構築している。

沖縄県におけるキャリア別基地局数とキャリアショップ数

 「沖縄のために」という同社ならではの、地域へのアプローチや地道なエリア整備といった努力が、トップシェアをもたらしていることがうかがえる。

沖縄のキャッシュバック事情

 “ドコモからiPhone”の影響がより少なかったといわれている沖縄県。その理由はなにか。北川社長は「沖縄セルラーでiPhoneを導入した当初、iPhoneを絶対使いたいいわゆる尖った人たちの、ソフトバンクかauかという選択肢においては、すでに(auが)取り込んでいた。一方で、沖縄においても根っからのドコモファンは変わらない。シェアの変動は、iPhoneよりもキャッシュバックに魅力を感じている人たちがふらふらとしていることが要因のひとつ」と分析する。

 第二四半期では、0円端末を出し、さらにキャッシュバックを行っていたドコモに、ややシェアを取られたという。北川氏は「(沖縄セルラーは)純増が高いが、解約率も高い」と述べた。「キャッシュバックに惹かれてドコモに流れたユーザーは、周りがauを使っていることや、auの基地局の多さ(エリアの広さ)を実感することで、戻ってくるというケースが多い」とし、他県に比べてキャッシュバックの影響が出やすいという点についても触れた。第三四半期以降では、沖縄セルラーでもキャッシュバックを実施している。

「沖縄ではまだまだチラシの効果が高い」と言って見せてくれた配布物。他社のキャッシュバック情報は、チラシも含め日々チェックしているのだとか

 キャッシュバック制度については、各キャリアが見直すべきとの方針を述べているが、春商戦の最中というところもあり、即終了とはいかない状況だ。「表面ではキャッシュバックではないけれど、〜を〜カ月無料などの形をとっている店舗もある。また、(話を聞いた3月17日では)那覇市内のソフトバンクショップでは、5万円のキャッシュバックを、3万円に引き下げていた」と話し、今後は、他社の状況も見ながら調整していくとしている。

(川崎 絵美)