インタビュー

キーパーソン・舛田氏に聞く、「LINE電話」と相次ぐ新サービス投入

――そこから見えるLINEの目指す姿とは?

 世界のユーザー数が4億人を超え、ますますグローバルでの成長が加速するLINE。先日、「BEYOND LINE」をテーマに3つの新サービスを発表した。とくに「LINE電話」は、固定電話への通話や国際電話を低価格で提供するもので、LINEユーザー間でのコミュニケーションの枠を超えたサービスとして注目が集まっている。

 法人向けにAPIを提供する「LINE ビジネスコネクト」や、手数料無料で提供する通販サービス「LINE MALL」、子ども向けに特化した動画配信サービス「LINE KIDS動画」など、これまで同社が育ててきた“人の集まるプラットフォーム”としてのLINEを活かした新サービスを次々と投入している。

LINE電話
LINE KIDS動画

 今回は、LINE株式会社 執行役員CMSOの舛田淳氏にインタビューを行った。話題にあがっているLINE電話の“番号偽装問題”についても聞いてみた。

なぜ今「電話」だったのか?

――そもそもの疑問なのですが、LINEには無料で音声会話ができる機能が備わっています。なぜいま「電話」に対応する必要があったのでしょうか?

LINE株式会社 執行役員CMSO 舛田淳氏

舛田氏
 もともとLINEをリリースする時に省いた機能が幾つかありました。実は、その中に電話機能が含まれていたんです。当時はこれを“LINE OUT”と呼んでいました。ただ、かなり重たい仕組み――これは開発もそうですし、サービス展開上もそうですが――なので、まずはLINE同士でコミュニケーションを取れる世界を作ることを優先した経緯があります。

 スマートフォンでのコミュニケーションをLINEで担っていく(LINE to LINE)ということで、テキスト、スタンプ、音声、ビデオと進化する延長線上で、まだ出来ることがあるはず、と考え一度は省いたLINE電話をここで実現させたというわけです。

 あともう1点は、特に海外展開を踏まえてのことでもあるんです。

――海外はWhatsAPPなどライバルも多く存在しますが、電話への対応が切り札になるのですか?

舛田氏
 急速にスマホの普及が進んでいる日本と異なり、海外、特にアジア諸国ではLINEに対応していない、あるいはスペックが低くてLINEが使いにくい端末もまだ多いのです。LINEから電話に発信できるということは、そういった方々同士もLINEで繋がることを意味します。

 私たちはOTT(オーバー・ザ・トップ)サービス事業者です。つまり、私たちは通信キャリアにはなれないし、なる必要がないと考えています。また「電話=音声通話」にこだわっているわけではありません。OTTとしての我々がユーザー間のコミュニケーションを拡げていこうとすれば、キャリアにはできないこと、あるいはキャリアじゃないからできることをやっていきたいというスタンスであり、それが存在意義であると考えます。

 音声のレイヤーではなくデータ通信のレイヤーだから低価格を打ち出せるのはもちろん、もともとアドレス帳をマッチングに利用させて頂いていますから、そのグラフも利用することができる。LINE@の加盟店には無料で電話ができるというOTTならではのサービスが実現していけるはずです。

アプリ 音声通話 IP電話 ボイスメール 備考
LINE
WhatsApp × × 14年2Qに音声通話対応を予定
カカオトーク × 音声通話は最大5人まで可能
Comm × ×
Skype IP電話は着信にも対応

――楽天が無料電話アプリのViberを買収した直後のリリースとなりましたが、何か意識をしたことなどはありますか?

舛田氏
 タイミングは全くの偶然ですね。2月26日の「LINE Showcase 2014 Feb.」でLINE電話は発表していましたので。先ほどお話ししたように、プロジェクト自体はもっと前から進んでいましたが、価格と音質の最適点を探るべく、海外のパートナー(※)の選定や彼らとの調整にかなり時間を掛けた結果、このタイミングでのリリースとなりました。

(※LINE電話は日本から一旦海外への通信を経由して国内の電話に発信する形で実現している。また複数の事業者を組み合わせたものになるが、その詳細はコストダウンのポイントのひとつとしており、明かされていない。)

――OTTとして、というお話でしたが、「電話」という意味ではキャリアがこれまで手がけてきた領域と重なる部分も大きいはずです。キャリアにとっての脅威とはならないのでしょうか?

舛田氏
 それはないと思います。KDDIさんやドコモさんとは、実際パートナーとして様々な取り組みを行っています。世界中の通信キャリアは今まさに(音声通話ではなく)データ通信にビジネスモデルへのシフトを加速させていますので。LINEというデータ通信サービスが魅力的になればなるほど、次の展開が見えてくるのではないでしょうか。

――先ほど“LINE OUT”という開発コードネームに触れられましたが、同様の仕組みを持つSkypeでは“Skype IN”という一般電話からSkypeに電話を掛けられる機能も備えています。LINE電話もそういった方向に進化しないのでしょうか?

舛田氏
 今のところはそういった構想はないですね。ユーザーの視点に立てば、全てがLINE電話である必要はないはずです。目的や用途に応じて従来のLINEの無料通話や通信キャリアの電話も組み合わせていただければ良いのではないかと。

番号偽装問題が問いかけるもの

――まさにこの取材の直前の週末から、「LINE電話は番号偽装ができてしまう。犯罪などに利用されるのではないのか」という声がネット上で上がりました。2台の端末の一方で番号認証の際SMSで送られてくるパスコードを、もう1台の端末の認証に使用することで、その端末が元々持っている番号とは別の電話番号で、LINE電話を使うことができるというものです。

(クリックで拡大)

舛田氏
 まず、ご指摘いただいていることに御礼を申し上げたい。そしてその部分について急ピッチで対応を行っています。たしかに現状ではご指摘いただいたような仕様になっております。ただ、当然そういった使い方を私たちは推奨していませんし、公式ブログでもご説明したように、LINE・LINE電話として使う限り認証は上書きされる――つまり、新たに認証した端末でしかLINEは使えず、古い方の端末では同じIDでLINEを使うことは出来ません。

 したがって、他人が自分のIDを使ってLINEにログインしたり、自分の電話番号で認証を行えば、自分のLINEが使えなくなってしまいますから、不正利用されていることに気がつかれずに悪用するということは難しいわけです。

――とはいえ、ある日LINEが使えなくなったからといって、他人に不正利用されているかも、とすぐに気がつく人はある程度ITリテラシーが高い層やアクティブユーザーに限定されるようにも思えます。また、先ほどの手順で1台の端末に、従来の電話用とLINE電話用に2つの番号を持たせた上で、元々の端末の契約を解除した場合、後日別の人がそうと知らずにLINE電話に割り振られている番号を、通常の電話番号として使い始める可能性がありますが。

舛田氏
 たしかに、現時点の仕様ではそのような事は起こりうるかも知れませんが、キャリアにおいても番号を再利用する際には保留期間(※)をおいています。公式ブログでは他人の端末からSIMカードを抜き取って認証に利用するといったケースも想定していますが、そちらはまず別の犯罪を行うことになってしまいますし、仮にLINE電話を「悪用してやるぞ」と思っても、現実問題としてかなり難しいのではないでしょうか。悪用する側からすれば、コントロールできないことが多すぎますから。

※ケースバイケースだがNTTドコモでは“少なくとも3カ月程度”を保留期間としている(編集部調べ)

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――ユーザーの声の中には、「スマホの紛失率」をもって脅威が存在するという見立てもありましたが、そこから更にこれらのハードルを乗り越えてあえてLINE電話を悪用しようという確率を掛け合わせると、可能性は低くなるのは確かです。そもそも、SIMの差し替えや、番号の再利用はLINE電話と関係無く行われているという現状もあります。

舛田氏
 この問題は突き詰めると「私たちはいつまで電話番号を個体識別に使い続けるのか」という本質的な問いにも繋がっていきます。それは重要な問いではありますが、これからも安心・安全に利用頂くための努力をLINEとして続けるのはもちろんですし、ご指摘いただいた部分については急ピッチで改善を続けていきます。

――今回の問題は、LINE電話が着信番号の表示に対応したことがきっかけでした。NTTドコモのように、一律非表示であればこういった懸念はそもそも発生しないわけですが、そういった方向での改修は考えないのでしょうか?

舛田氏
 従来のIP電話では、まさに番号が非通知になってしまうものが多く、「誰から掛かってきたか分からなくて、電話に出るのがためらわれる」という状態になっていたと思います。コミュニケーションを促進するのがLINEのミッションですから、非通知ではその目的にそぐわないものになってしまいます。

 発信者番号の通知は(音声と通信が分離された)今のルールの中では――つまりLINE IDが表示できないのであれば、コミュニケーションに不可欠な情報だと私たちは考えています。技術的な改善を行い最大限、その方向で努力していくつもりです。

――ちなみに、ユーザーからこのような声が上がることはある程度想定されていたのでしょうか?

舛田氏
 申し訳ございません。正直ここまで細部に至って指摘を頂くことは想像していませんでした。けれども、私たちにとっても、何が問題視されていて、どのように改善して行けば良いのかを考える上で、とても参考になるご指摘だったと思います。

――LINE電話は海外市場攻略のためにも重要というお話しがありましたが、海外ではこういった点に懸念の声は上がっているのでしょうか?

舛田氏
 いまのところ無いですね。

――LINE自体が登場した際も、電話番号を使ってマッチングを行っていることに対して、特に日本でそれを不安視する声が強かったように思えます。日本人にとって電話番号は、eメールアドレスなどと比べても特別思い入れがあるものなのかも知れません。

舛田氏
 そうですね。今回の問題にも通じますが、現実に不具合が起こる確率は低いものの、そこにユーザーが不安を持つことも事実ですから、これからもご意見は真摯に受止めて1つ1つその解消に努めていきたいと思います。

矢継ぎ早の新サービス投入が意味することとは?

――LINE電話をはじめ、このところ、立て続けに新サービスを開始していますね。「楽天・アマゾンに対抗」などとメディアでは喧伝されたLINE MALLはその1つですがその現状は?例えばトータルの売上などはどうなっているのでしょう?

舛田氏
 3月26日に発表させていただいた数字(2週間で新規ダウンロード100万件・新規出品数10万点・成約率20%超・のべ77.4%が完売)させて頂いた通りですが、そこから売上はある程度推測(※)いただけるのではないかと思います。今後もこういったインパクトのある数字が出てくれば、その都度発表していきたいと考えています。

(※あくまでも推測だが仮に商品単価を5000円とした場合、LINE MALL全体での2週間の売上は1億円となる)

――手数料完全無料ということで、大きく取り上げられたLINE MALLですが、ビジネスユーザー向けに出店の受付を開始するのはこの春以降としています。具体的にいつ頃になりますか?

舛田氏
 まだLINE MALLは進化の最中ですので、もう少しお待ちいただく事になります。スマートフォンとLINEならではのEコマース体験を提供すべく、いろいろな機能や仕様――例えば、プッシュ型のサービスであったり、検索に依存しないモデルであったり、真の完全無料=決済手数料すら掛からない――といった、いわば「カートリッジ」を足していっているところなのです。

――Eコマース革命を謳っているYahoo!ショッピングよりも、さらに手数料を取らないモデルになっていますね。

舛田氏
 完全無料であることをきっかけに、まずはLINE MALLという場に多くの出品とお客さまが集まってくる、その上でビジネスモデルは考えようということで壮大な実験を行っているところです。LINE MALLはLINE同様、既存のサービスと同じ姿であるべきではないのです。その過程は、LINEがコミュニケーションの本質を突き詰めて生まれ、そこにいろいろな「カートリッジ」を足して現在の姿があるのと同じです。

――ただ、そういったイノベーティブな姿を目指すとなると、出店を考えている非IT系の企業などにとっては、かえって扱いづらいサービスになってしまう、ということはありませんか?

舛田氏
 LINE全体を通じて言えることですが、できるだけ「リテラシー」を必要としない設計を心がけています。ゲームもライトユーザーが楽しめるものが中心ですし、これまでメッセージアプリを使ったことがなかった人たちも、LINEを使ってコミュニケーションを取るようになったわけです。LINE MALLも同じような姿を目指したいと考えています。

 スマートフォンとLINEが組み合わさった世界が新しいものである以上、つまり様々なカテゴリに対してLINEを使ってイノベーションを行う以上、従来の姿や形を踏襲することはないはずですが、それは高度で難しいものが生まれるということを意味するものではないのです。

――その中核をなすプラットフォームとしてのLINEをみたときに、先日発表された「LINE ビジネスコネクト」も重要な要素だと感じます。以前、別の取材の中では、性別・年齢・職業といったユーザープロフィールに基づく伝統的なマーケティングに対して、公式アカウント(企業)とユーザーがダイレクトにつながる場がより効果が高いのではないか、というお話しもされていましたが、今回のAPI一部開放が与える影響は?

舛田氏
 基本的な考え方は変わっていません。ただ、公式アカウントは企業からの一方通行な情報発信で顧客と企業をつなぎきれていなかったのもまた事実です。それでも、価値が十分認められてきて、様々なビジネスも生まれたわけですが、顧客の要望に応えることができていなかった。コミュニケーションをベースにしているLINEなのですから、本来であれば顧客からのリクエスト(クエリー)を汲み上げ、解決していくのがあるべき姿です。

 例えば、渋谷で僕が「ピザを食べたいな」と言ったときに、近くにあるピザ屋さんの公式アカウントがそれに応じてくれるようにはなっていなかった。それはちょっと理想と違っていたんですね。そこはもう一歩進むべきだろうと。そのために「LINE ビジネスコネクト」は生まれたのです。

 ただ、注意いただきたいのは、あくまでユーザーのリクエストに応じて反応が返ってくるというのが大前提です。ユーザーが許可していないのに、何か情報を送りつけてくる、あるいはLINE電話が掛かってくるということを野放図に認めているわけではありません。

――つまり、APIを完全に開放して何でもありという状態にはしないということですね。

舛田氏
 そうですね。もちろん、チケット予約や家電連動など、LINEと連携するサービスによって提供するAPIは異なってきます。いずれにせよ、我々自身がこれまで築いてきたような機能やサービスに加え、パートナーと組むことによって実現できることが拡がり、LINEが目指すゲートウェイへとまた一歩近づくことになるのです。

――なるほど。一方で、プラットフォーム化を宣言された当初からメニューの中に存在していた音楽サービスがまだ始まりません。定額視聴サービスの本命とも言われるSpotify日本版の開始もまもなくと言われますが、こちらの状況は?

舛田氏
 ビジネスモデルのあり方を巡って、一度リセットがあったのは事実ですが、ただいま鋭意準備中です(笑)。定額制のサービスが普及した上でも、楽しんで頂けるものとして、それほど遠くない未来にお披露目することができるはずです。

――わかりました。毎日のようにリリース情報を発信するLINEに対して、収益化への焦りがあるのでは、という声も一部では聞かれますが、実際のところどうなんでしょうか?

舛田氏
 理想とする形に向かって邁進してはいますが、収益化を急いでいるというつもりは全くないですね。ITビジネス全般を通じて言えることですが、まずはサービスの品質を高め、より多くのユーザーを確保すること、それによってビジネスモデルや収益手段は後から構築できるというのが基本的なスタンスです。

FacebookのWhatsApp買収は好機

――2月19日のFacebookによるWhatsApp買収は、LINEにとってどんな影響があったのでしょうか?

舛田氏
 あのニュースを見て「これからLINEは大丈夫なんですか?」と心配の声も頂いたのですが、実はあの買収によってLINEの利用数は逆に伸びているんです。まず、Facebookがあの金額(160億ドル=約1兆6000万円)で買うほど、このカテゴリの価値があるということが示されたのは大きかったですね。世界中のメディアがなぜこれほどまでの金額をFacebookが投じたか、私たちのようなライバルの存在も含めて紹介してくれたわけですから。

 特にヨーロッパでの利用者数は延びていますね。なかには(メッセンジャーのやり取りも含めて)全てのプライベートな情報がFacebookに一元的に握られてしまうことへの懸念から、代替案としてLINEをはじめる、というケースもあるようです。

――LINEが攻略しづらいとされる北米(パケット定額制が一般的ではない)や中国(国による規制が厳しい)などについてはいかがでしょうか?

舛田氏
 まだまだという段階ですが、やはりそれぞれ伸びてますね。北米アメリカは1000万ユーザーを越えましたし、単機能ではないユニークなメッセンジャーとして評価を得つつあるのかなという手応えを感じています。中国も瞬間風速的にはSNSカテゴリで1位を取ったこともあります。

――昨年、舛田さんはインドやロシアへ足繁く訪問していたようにお見受けしました。

舛田氏
 インドは事業開拓の基盤が整いましたので、成長の段階に入っていますね。ロシアはまだ立ち上げの段階です。これらの地域では、メッセンジャーアプリのデファクト的な存在が定まっていないということもありますし、やはり英語圏ではないというのがWhatsAppのようなライバルに対して、我々LINEが優位に立てる可能性がある市場として非常に重要な点です。

――アジア圏では、格安SIMのキャンペーンを狙って頻繁にキャリアを乗り換える=電話番号が変わるユーザーが多いと言われます。そこからアジアにおけるLINEのアカウント数が実際はそういった乗り換えユーザーで占められ、実際のアクティブ率が低いのではないかという見立てもありますが?

舛田氏
 いえ、そういう状況にはないと思います。例えばタイではアクティブユーザー(MAU)は全体の70〜80%です。先ほどLINE電話のところでもお話ししましたが、アジア圏ではLINEが快適に動作しないような低スペックの端末や、2.5Gのような1世代以上前の通信環境を選ぶユーザーが一定のボリュームを占めています。逆に言えば、LINEのユーザー層は、ある程度可処分所得のある中流以上の層なんです。そういった層は、キャンペーン狙いでキャリアを乗り換えるということをしませんから。

ソフトバンクによる買収は?上場は?

――2月25日にブルームバーグが報じた「ソフトバンクによるLINE買収の意図あり」のニュースには驚かされました。

舛田氏
 記事を読んだとき、率直な感想としては「すごい記事だな」というものでした(笑)。孫さんが「LINEはすごい、買いたい」とコメントしただけで、大騒ぎになりましたからね。「買う」とは一言も仰ってないのにね。孫さんの影響力はすごいと思いました。実際のところ全く交渉も何もなかったので、「そういうお話は無いですよ」と取り急ぎ否定のコメントは出させて頂きましたが。

――予想される上場と連想しての報道の過熱もあったかと思います。実際、上場の準備についてはどういう状況なのでしょうか?また100%親会社の韓国NAVERとの関係についてはいかがですか?

舛田氏
 上場については私たちからお話ししたことは何もありません。

 韓国NAVERについては、これまでの展開がスピード感を持って行えたのも、100%株主であるNAVERあってのことだと考えています。仮に様々な資本が入っていれば、ここまで自由に素早く意思決定を重ねることはできなかったはずです。

 NAVERはグループ全体として「世界ナンバーワン」のサービスを構築することをミッションとしています。そのミッションのもと、ある意味NAVERが資本によるバリアを張ってくれている中、我々はフリーハンドで我々の意志によって理想に向かって突き進むことができました。エンジニアの応援態勢から、海外展開に際してのパートナーの紹介まで、助けられてきました。従って、その基本形を変える合理的な理由は現状ありません。

 ITサービス自体にも通じる話ですが、特に動きの激しいメッセージアプリの競争にあっては、少しでも油断すれば、あっという間に退場を迫られてしまいます。喩え、長い歴史や膨大なユーザー数を誇るサービスであっても同じです。そこで我々にとっては、韓国NAVERはもちろんのこと、旧ライブドアや旧ハンゲームのリソースを積極的に活用できるのが大きな強みになってくるわけです。

――なるほど。最後に上場の時期・場所についてお話し頂けることは?

舛田氏
 繰り返しになりますが、我々からは何もお話ししたことはない、というのが回答になります。

――本日はありがとうございました。

(まつもと あつし)