インタビュー

スマホの普及で旅行はどう変わる?

エクスペディアのモバイル部門総合責任者が語る未来

 スマートフォンの普及に伴い旅行のスタイルが変化している。テクノロジーのさらなる進歩により、どんな風に旅行のスタイルが変化していくのか、グローバルで旅行サービスを提供するエクスペディアのモバイル部門総合責任者(Head of Mobile Product)ジェラルド・シン氏に伺った。

Expedia Inc. Head of Mobile Productのジェラルド・シン氏

――まずはエクスペディアのモバイルサービスの体制について教えてください。

 グローバルでどうやって勝っていくか、モバイルの分野でどう勝っていくかということに関していえば、アジアを非常に重視しています。日本、韓国、タイ、マレーシアといった地域は、最近非常に伸びています。とくにスマートフォンが伸びています。モバイルを押さえることが、アジアを押さえるということになりますが、アジアの市場をリードしているのが日本のマーケットです。ですから、日本を大変重視しているわけです。

 人材の関係から、開発のチームは日本には無く、サンフランシスコにあります。その代わり、日本にはプロダクトチーム、パートナーチームがあり、サンフランシスコと連携しながらサービスを提供するという体制です。

 具体的な例を挙げると、昨年末にユーザビリティテストを東京で行いました。15人ほどのユーザーに集まってもらい、iPhoneやAndroidなど、実際にアプリを使っていただいたのですが、そのリアクションを見ていて非常にショックを受けました。一つはカレンダーの使い方で、日本人は左手に端末を持って右手で入力していくのですが、アメリカ人は右手に端末を持って、そのまま右手の親指を使って操作します。そのあたりの使い方がまったく異なるということが分かったので、ユーザーインターフェイスに修正を加えました。

 そのほか、エクスペディアではA/Bテストをいくつも行っており、日本でも同様にテストを行っています。例えば、行間を空けてタップしやすくしたところ、サクセスレートが3割上がるなどの効果が出ています。インターフェイスについては、グローバルでベストプラクティスのものを採用することにしていますが、サイトの構成などを日本に合う形に変えることも行っています。

――モバイルの比率はどんどん高まる傾向にあるのでしょうか?

 現状、日本での売上については15%がモバイルからになっています。2014年のクリスマスから年末年始の時期には、(グローバルでの)1日あたりのモバイルの売上は50%に達すると見ています。それに比べると日本の15%という数字はまだまだ少ないですが、今後伸びていくのは間違いありません。

 「エクスペディア」でキーワード検索している方で言えば、モバイルからの流入が半分を占めます。モバイルで眺めて予約はPCという方も多いのです。もっとモバイルを利用していただきたいので、モバイルクーポンを配布するなどしているところです。

――御社の強みは何でしょう?

 我々は、フライトとホテルの予約に注力しているのはもちろん、アイテナリー(旅程表)のモバイル化にもフォーカスしています。我々の強みは、アイテナリーがリアルタイムであるという点です。飛行機がいつ着いて、いつチェックインするということが分かっているので、そこにフォーカスしたサービスを提供可能です。その一つに買い物の提案というのもあるでしょう。

 また、直前に予約できるというのも弊社の強みです。ホテルに関しては、直前の予約が65〜75%に達しています。アクティビティについても同じだと考えられ、タクシーを呼ぶというのも同じニーズでしょう。ですから、今年フォーカスしていることは、一つはパッケージ、二つ目はモバイル、三つ目はアクティビティへの対応強化です。

 ユーザーが直前に予約するという傾向は、エクスペディアだけでなく、モバイルの普及によりどんどん増えています。旅行業界だけの話でもありません。車に飛び乗ってから、アプリを見てどこに行くか、週末の使い方を決められるようになってきています。我々はモバイルの分野では、そうした状況に対応できるように努めています。パッケージ旅行なども直前の予約でもリーズナブルな料金で予約できるようにするべきだと思っています。

――今、注目しているテクノロジーは何かありますか?

 今はユーザーがサイトに来て必要な情報を引き出しているという状況にあります。しかし、iBeaconやSmart Watchといったものでは、どちらかというとユーザー側から情報を送る、という形になります。

 例えば、ホテルにチェックインする時、お客さんがパスポートやクレジットカードを提示するのではなく、入ってきた瞬間にそれらの情報がホテル側に伝えられていて、「ようこそ、○○様」と出迎えられるという風になります。実は昨日、東京へのフライトが2時間ほど遅れてしまったのですが、それも事前にホテル側に情報が入り、「2時間も遅れて本日はお疲れ様でした」と言ってもらえるとか、「2時間遅れてもお部屋はキープしておきますからご安心ください」と連絡してもらえるわけです。

――本日はお忙しい中、ありがとうございました。

(湯野 康隆)