インタビュー

ケイ・オプティコムが提供する選択肢「mineo」

メガキャリアと遜色ない品質のMVNOサービスを提供したい

 最近MVNO市場の動きが活発だ。近畿地方をベースにFTTHサービスを展開しているケイ・オプティコムが提供する「mineo」(マイネオ)は、5月に受付を開始したところ、1日で1000件の予約枠が埋まってしまった。

 「mineo」とは、業界初のKDDIネットワークを使ったMVNOサービス。SIMフリー端末のほか、auの端末でも利用できるのが大きな特長だ。月々の基本データ容量は現在1GB、2GB、3GBの3種類で、SIMのみだけでなく、ニーズに応じて090音声通話も組み合わせられる。端末がない場合は最新端末も購入可能なので、090音声付きのスマホを月々3590円から持てるようになる。

 音声通話はMNPも可能で、さらに050のIP電話「LaLa Call」も付属するため、従来の番号をそのまま使いながら、同じ端末で別の番号を安価に使い分けるといった使い方も可能。余った容量は繰り越しできたり、家族で分け合えるほか、足りないときは100MB(150円)単位で追加できるなど、かゆいところに手が届くサービスが魅力となっている。

 この「mineo」の立ち上げ経緯やこれからについて、ケイ・オプティコムの経営本部 モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの津田和佳氏と、同グループモバイル事業推進チーム マネージャーである森隆規氏に伺った。

「mineo」のキャンペーン、想定外の反響に驚く

津田和佳氏

――5月15日に開始されたMVNOの通信サービス「mineo」の予約が、あっというまに予定の1000名に達していましたね(参考記事)。

津田氏
 あれは予想以上でした。端末とセットでご購入の方は1000名限定24カ月基本料無料にしたんですが、予約受付を開始した翌日16日朝には1000件突破してまして。社内でどうしましょうって言われて。そこまで反響があるとは思いませんでした。

――現在の申し込み状況はいかがですか。

森氏
 契約者数でいうと、2万2000件くらいですね(2014年8月7日時点)。先日からAQUOS SERIE SHL25を販売しているんですが、日に数十件くらいはお申し込みいただいてます。

――端末と一緒に買われる方とSIMだけの方でいうと、SIMだけのほうが多いのでしょうか。

津田氏
 SIMだけの方が8割、端末セットが2割ですね。そこは想定と逆でした。これは端末が想定をすごく下回っているというのではなくて、予想以上にSIMをお客様にご購入いただいているという状況です。

――御社は関西で光ファイバーネットワーク事業を展開されてます。知名度からすると、やはりユーザーも関西の方が多いのでしょうか。

津田氏
 いえ。実は関西のユーザーさんが4割、それ以外が近畿圏外なんです。首都圏が4割で、その他が2割。最初はもっと関西が多いかなと思っていたんですが、意外に全国的に受け入れられていて嬉しいですね。

――普通に考えると、関西圏以外はつらいのかなと思ってたんですが。

津田氏
 「mineo」より先にスタートさせた050電話サービスの「LaLa Call」は現在開始から約1年経過してますが、こちらは9割が関西です。ですから「mineo」も立ち上がりは関西が6割程度で、ゆくゆくは知名度も上がって全国で売れていくのではと思ってましたが、ここまでとは思ってませんでしたので嬉しいですね。

――ユーザー層はどんな感じでしょうか。

津田氏
 年代でいうと30〜40代の男性が7割くらいですね。男女比率でいうと男性が9割女性が1割。最初のターゲットは30〜40代のある程度リテラシー高めの男性を想定してましたから、ここは想定通りですね。そこからご家族や周辺に広めていっていただければと思ってます。

――8月5日から「mineo」に2GB、3GBの新プランが追加されました。そちらに対する反響はいかがですか。

津田氏
 受付開始から間もないですが、こちらも思った以上に出て行ってます。一桁だったら寂しいなと思ってたんですけど、やっぱり1GBで不安という方が待たれてたのかもしれません。昨年の今ごろとったアンケートでは1GB、2GBあれば7割くらいいけるかなと思ってましたが、この1年でみなさん使い方が変わってきているようで、動画の利用が増えたという背景もありそうです。SIMだけじゃなくて、SERIEとのセットも多いです。

――「mineo」ですが、今注文すると、実質どれくらいで使えるようになるんですか?

津田氏
 注文すると、3〜4日で届きます。端末のセットでしたら、設定を見ながらやっていただければすぐ使えるようになりますよ。

――MNPもできるということなのですが、使えるようになるまでに時間がかかるのでしょうか。

津田氏
 いえ。ご自身でやっていただけますので、すぐです。MNPの申し込みは別途していただなくてはなりませんが、キャリアさんで予約番号をもらって、その番号を申し込み画面で入力していただく形です。SIMを差し替えてから、パソコンのWebブラウザ上で切り替えというボタンを押すという流れで、切り替えそのものは10分程度で完了します。パソコンでなくても、Wi-Fiが利用可能なスマホなら、そのブラウザで手続きできます。やり方は全部手順書に書いてありますし、Webページでもサポートしてますから安心してください。

森隆規氏

――想定以上のオーダーがあったということなんですが、そこから現在に至るまでで、サービスとして改良した部分や、新たな課題として認識されているところはありますか。

森氏
 設定の部分ですね。今回au初のMVNOということで、だれもau端末を使ってAPNの設定をしたことがないという状況でした。設定例を掲載したものの、機種毎にクセがあって、どう設定したらいいのというのは結構問い合わせとしてありました。その部分の情報を補強しています。ユーザーさんの声を拾ってサポート面に生かしています。

津田氏
 課題としては、申し込みを簡単にしたいなというのはちょっとありますね。我々の仕組み上、eo IDというIDを取得していただかないといけないんですが、それが終わってから「mineo」でeo IDでもう一回ログインして申し込みをするという流れなので、結果的に画面数が多くなってしまいます。その部分をもう少し簡単なやり方にできればな、というのはあります。

サービスを始めた経緯

――改めて、このサービスを始められたきっかけを教えていただけますでしょうか。

津田氏
 MVNOサービスの検討を開始した理由は2つあります。1つは会社としてFTTHの次の柱を模索するということですね。今、当社は近畿でFTTHを展開しておりますが、シェア争いは激しいですし、現状普及率が50%を超えていまして、いずれ飽和するだろうという懸念が2〜3年前からありました。

 もう1つは、お客様のためになるサービスを出してみたかったということです。検討を始めた頃はすでにMVNOはありましたが、まだ普及していなかったというのと、何かを我慢して安くするという感じでした。ですので、キャリアと同じ利便性で安く提供できないかということで検討を始めました。

――時期的にはいつ頃から考えられたんでしょうか。LaLa Callを始められられる前からですか?

津田氏
 LaLa Callを発表したのが2013年の9月でした。その前から「mineo」を企画していました。当初からLaLa Callは「mineo」の中にセットで販売していくということを考えつつ、先にLaLa Callをスタートさせました。

なぜKDDIのネットワークなのか

――ネットワークとしては業界初というか、国内初のKDDIネットワーク利用MVNOです。光ファイバーの事業でKDDIさんと協力してるというのもありますので自然な流れだったのかなと思うんですが、そのほかのネットワークは検討されたのでしょうか。

津田氏
 もちろんいろいろと検討しました。実際参入したのは2014年6月になりますので、業界的にはかなり後発組です。そこを考えると、他と同じというのもどうかと思いますし、まだ無かったKDDIさんを使ったほうがお客さんの選択肢が広がりますよね。LTEというところもありましたので、最終的にKDDIさんを選択しました。

――データ通信をLTEのネットワークのみとされたのは思い切ったなと思いましたが、どういう意図があったのでしょうか。

津田氏
 将来を見据えたところ、LTEだけになりました。キャリアさんの話を総合していくと、ゆくゆく3Gはなくなり、LTEになっていくと。ユーザーさんの利用形態も数年前とは変わって、動画を見る率が非常に高まってますし、KDDIさんのLTEカバー率は99%ですし、端末としてはそういう方向に向かっていってるのは間違いないですね。ですから今後を考えるとLTEだけでもいいのかなと。VoLTEとか、そんな話も出てきてますので、その方向にどんどん向かっていけば、我々としても想定通りかなと思います。まだ山に行くとLTEが繋がらず不便な部分もありますが、実際生活している範囲では問題ないと思います。ただ、海外から旅行で来られる方には、端末側の対応状況もあり、まだまだ3Gが必要なのかもしれません。その辺は課題ではありますけども。

最新の端末があるMVNOは今のところmineoだけ

――今回最新の端末を用意されていますが、それはやはり初のKDDIのネットワークであることや、中古市場におけるドコモの端末に対する流通のハンデも考慮したことでしょうか。

津田氏
 そうですね。中古市場がドコモ端末のように潤沢になればいいんですが、まだそういう状況ではありません。また、アンケートによれば、SIMカードを挿すという行為に対して不安を覚える方がおられるので、できることなら端末と090の音声、SIMをセットでお渡しするということを1つの目標、コンセプトにしました。もちろんSIMだけでいい方はそれだけで使える、それを選べるようにするということも、他社との差別化ということで考えておりました。

 それから、やっぱり新しいもののほうがいいよね、と。2年経って割賦の支払いが終わると、電池の持ち方などの差が結構大きいと思うんですよ。やっぱり型落ち端末を使うのは心配でしょうし、できたらみんなと同じようなものがいいというのが日本人の心理でもあるかなと。

 1〜2世代前の端末を用意して、安いけれども端末はちょっと……みたいな、何かを我慢して安さを享受するというよりは、いい端末をそのままメガキャリアよりも安い値段で提供したい。社内としても端末は大事だと思っていますので、詳しくは申し上げられませんが、これからもがんばって調達していきます。最新の端末があるMVNOは今のところウチだけですので、そこをさらに大きな差別化ポイントにできるところかなと思いました。

――御社のモデルは基本的な性能はキャリアモデルと同じなんですが、顔のところに灰色のmineoロゴが入っていたりとか、メーカーさんもそこそこカスタマイズされているような印象があります。そこもこだわられたんでしょうか。

津田氏
 はい。auが使っている端末を、我々のmineoサービスが利用できるようにメーカーさんと調整して、カスタマイズをかけています。ただ、コストの問題で画面にauのアプリがまだ残っていたりするんですが。最低限使えるようしっかりやっていきながら、ゆくゆくは独自の便利なアプリとかを載せるところまで考えていきたいと思っています。

――今後も端末のラインアップはどんどん増やしていく予定ですか? ものすごく安い端末も登場したりするのでしょうか。

津田氏
 絞った形で増やしていくことになると思います。年間5機種程度ずつ増やしていく感じかなと思いますけども。今はハイスペック端末なので、もう少し下のクラスも選択肢として揃えていきたいと考えています。どんなメーカーの端末にするかは、市場の動向をみながら、海外でいいメーカーがあれば導入も検討します。

現在の業界の動向は歓迎

――ドコモのカケホーダイをきっかけに、ソフトバンク、KDDIと追随して、スマートフォンだと2700円で音声定額、データの方のプランもGB単位のパックプランになっています。業界のこういったトレンドを御社はどのように見ていらっしゃるんでしょうか。

津田氏
 キャリアさんがいろんなメニューを出して来られるっていうのは、我々としても市場が活性化するかなと歓迎してますね。キャリアさんがメニューを出されると、ユーザーはそういうサービスがあるんだと知って、他にはないのかと調べ始めます。その中に我々のサービスも1つの選択肢として挙がってくると思いますので、あとはお客さんの選択です。やっぱりキャリアのサービスの方がいいと思われるかもしれないですが、我々のサービスはキャリアのサービスとは遜色なく、容量だけは絞って安くというところですので、選んでいただける可能性もあります。音声についても090が使えますし、MNPできますし、さらにLaLa Callも基本料無料で提供しています。LaLa Call同士なら無料でかけられますし、とてもお得です。そういう情報が伝わりやすくなると思っています。

――御社はFTTHで固定のIP電話もサービスしてると思いますが、音声定額後の通話の動向はいかがでしょうか。

津田氏
 eo光電話というサービスをやってますが、今のところ固定側で着信回数が増えたといった変化はないですね。通話料の定額化によってこれからどうなるのか見守っていきたいと思います。

 実は通話回数自体は年々減ってきてるんですよ。昔は電話かメールしかなかったのが、今自分のことを発信する手段が豊富になりましたからね。5年前はLINEっていうのはなかったのが、今は友達とやりとりするのにほとんどメールじゃなくてみんなLINEでやってる。あれって結構自分のペースでできたりしますからね。

音声通話プランにはLaLa Callがついてくる

――LaLa Callについてですが、最近アップデートされました。細かいところにまじめに対応されたという印象がありますが、そこはユーザーの声が大きかったということでしょうか。

津田氏
 今回からアプリ未起動時の「プッシュ着信通知」を開始しましたけども、それは声が大きいというより、スタート時点から早く対応したかった部分でした。いろんな開発の優先順位の都合で時間がかかってしまいました。「mineo」のお客さんの声を踏まえて、LaLa Call全体として改善して行こうと社内で調整中です。

――LaLa Callというと、LTEネットワークにつながっていれば基本的に快適に通話できるはずで、基本料もかかりませんし、電話を受けるだけなら非常にお得に使えますね。

津田氏
 今、SIMだけのお客さんで、090なしで申し込まれるお客さんも結構いまして。社内の中でも数人に聞くと050だけでいいという人もいます。LaLa Call同士やeo光電話への通話料は無料ですが、一般加入電話への通話料は3分8円、スマートフォンや携帯電話へは1分18円。しかも、海外から日本国内にかけた場合でも、これらの料金が適用されるので安心です。実際、仕事で海外行きましたが、高い国際料金払わずに済むので便利でした。

――110番や119番へはかけられないですが、050だけでいいという方は割り切っていらっしゃるのでしょうか。

津田氏
 いろんな制約からIP電話からそこにかけられないわけですが、いざというときはご家族だったり家の固定電話だったりと、050以外の回線がまったくないという状態もなかなかないわけで、外に持ち出す電話として、そこまでいらないかなと割り切られているのだと思います。

 最近は名刺に050の番号を加える方もいらっしゃっいます。仕事とプライベートで使い分けされてるようです。LaLa Callなら、通常の番号に加えて新たに050の番号もプラスできるということで「Wステバンキャンペーン」を実施中です。

これからのサービス展開について

――今後についてお伺いします。今回2GB、3GBというプランが追加されましたが、そのさらに上や下、またはプリペイドなどは考えられていますか。

津田氏
 現在プリペイドは考えています。1つの目的は「mineo」を知っていただくためのお試しですね。最近メディアではMVNOとかmineoって言われてるけども大丈夫なんだろうか、本当に使えるんだろうかという方にまずは1カ月試していただくとか。普段家にいるのであまり使わないけれど、旅行に行くときタブレットを持っていきたいとか、海外から来られる方やライトユーザー向けに使えるプリペイドSIMがあるといいなと考えています。

 1GBに満たないライトプランや、低速のプランは、そういうお客さんをどこまでターゲットとしてやっていくかという戦略との兼ね合いもありますので、考えなければいけないと思いますが、価格帯もいろいろ揃えていくと、選択肢が広がります。後発ですし、他社と遜色ないようなものは最低限揃えるというのは今年度の目標にしています。

――シニア層や子供はいかがでしょうか。

津田氏
 今、未成年には販売しておりませんので、そこは今後どう広げていくかですが、具体的に議論中なのはシニアの方ですね。普通にスマホと1GBのプランだけ渡しても何に使っていいかわからないということもあると思うので、そういう方向けに必要なアプリをプリセットしてお渡しするとか、勉強できるコミュニティを用意するとか、単純に今と同じような形態ではなく、ちょっとした一工夫を加えてやっていければなと考えています。

――現在、Webサイトでの受付のみですが、今後は量販店にカウンターを作るなど、そういう拡張はお考えでしょうか。

津田氏
 現在は30〜40代のリテラシーの高い男性をターゲットにしていますが、幅を広げていくならWebサイトだけでなく電話で受け付ける、紙の申込用紙に書いていただくといったことも必要になってくるかなと思います。そこは状況を見つつ、お客様の声を聞きながら進めていきたいと思っています。

 実は、その前に進めていこうとしているのが2つあります。1つはWeb上でのコミュニティなんです。今、2ちゃんねるなんかで良いこと悪いこと、いろいろ書かれています(笑)。そこが質問と回答の場になったりもしていますが、そういうものをmineoのコミュニティでやっていただきたいなと思うのです。契約する上での不安や、エリアに関する質問など、我々が回答すると、どうしても大丈夫ですという回答にしかならないんですが、そこを実際にご利用のユーザーさんに本音で答えていただいたり、使い勝手をユーザー同士で語り合っていただきたい。我々が運営しますが、活躍していただく方にはインセンティブをお渡ししながらやっていくようなことをしたいなと。その中で登場する疑問をFAQの形でまとめて、ベスト10みたいな形で表示できると、初めてアクセスされたお客様のお役に立てると思います。

 もう1つは、そこでいろんなイベントや、ユーザーさんのアイデアを募集して、それをサービスに反映していくような仕組みも考えています。キャンペーンですと、どうしてもプレゼントが当たるとか値引きみたいじゃないですか。そうじゃなくてmineoユーザーになると、月に1回面白いことがあるみたいな、そういうイベントを企画したいですね。

――それでは最後に本誌読者に一言お願いします。

津田氏
 ヨーロッパのMVNOは20%ぐらいはシェアがあります。日本ではまだ5%程度。これからさらに市場は伸びると思います。今年に入って他社さんのCMやら参入の話題やらで、市場全体がとても活性化してきています。これで認知も上がってくると思うので、競合他社さんと切磋琢磨しながらいろんなことをやっていきたいですね。

森氏
 ユーザーさんの声をもっと聞いていきたいです。そこで今後は定期的にアンケートをとっていきたいなと思っています。加入していただいている方全員に、ご意見を聞く機会を増やしていきたいなと思いますね。あとは先ほど津田が申したコミュニティ。そういったところで、エリア情報などのユーザーさんの声を集めていきたいです。そういうのを合わせて積極的に作っていきたいなと思います。

――そういえば、“ミネオくん”っていうゆるキャラがゆくゆくは登場するのかなって思ってるんですが(笑)。

津田氏
 我々の中では“ミネオ”のイメージが固まっているので、そのうち登場するかもしれませんよ(笑)。

――楽しみにしています。本日はどうもありがとうございました。

(すずまり)