インタビュー

ファーウェイが投入するSIMフリー端末のコンセプト、特徴は?

ファーウェイ・ジャパン副社長にインタビュー

 ファーウェイから「Ascend G6」が6月27日に発売され、MVNO各社からもこの端末をセットにしたモデルが登場している。同社がハイエンドモデルに位置付けるスマートフォン「Ascend P7」は9月5日に日本で発売されるとアナウンスされているほか、「Ascend G6」の新色「Pink」も同日に発売。8月29日には、SIMロックフリーのタブレット3製品「MediaPad X1 7.0」「MediaPad M1 8.0」「MediaPad 7 Youth2」とウェアラブルアクセサリー「TalkBand B1」が発売される。

 MVNOのSIMカードなどとのセットで販売されるSIMロックフリーのスマートフォンは、これまで“格安”をウリにする安価な端末が中心だった。しかし、LGエレクトロニクスの「LG G2 mini」や、今回取材したファーウェイの「Ascend G6」をはじめとしたグローバルモデルは、価格は比較的安価な部類だが、品質や性能もしっかりと確保された端末というのが特徴だ。

 また、海外メーカーが中心であるものの、MVNO向けなどとしてメーカーが独自に端末を提供・販売する動きが拡大しつつあるのも、業界動向としては見逃せない。LG、ファーウェイだけでなく、サムスン電子もWi-Fiモデルながら最新のタブレットを独自の販路で展開し始めたばかりだ。

 今回、メーカー独自の端末の提供に動きだしたファーウェイ・ジャパン(華為技術日本) 副社長 端末統括本部 統括本部長の呉 波(ゴ・ハ)氏に、日本でのSIMロックフリー端末の展開について話を伺った。

ファーウェイ・ジャパン 副社長 端末統括本部 統括本部長の呉 波(ゴ・ハ)氏

MVNO拡大が投入を後押し、品質や機能も重視

――6月末にSIMロックフリーのスマートフォンとして「Ascend G6」が発売されましたが、売れ行きはどうですか?

 販売パートナーの各社とともに、予想以上の売れ行きと感じています。また、多くの店舗に並ぶことで、ブランドイメージも高まっています。現在、国内の2000を超える店舗で販売されており、今後は販売網を拡大し、店舗の中もで“イチ押し”としてもらえるよう注力していきます。

 「Ascend G6」はユーザーからの評価も高いですね。片手で操作できるが評価されていますし、インカメラを500万画素にして“自撮り”をポイントにしたのも評価が高い部分です。

――販売台数は公表されていますか?

 公表していませんが、然るべきタイミングを待って、公表したいと思います。

――キャリア向けに提供してきたモデルと比べて、売れ行きの速度に違いはありますか?

 日本ではほとんど、99%がキャリアが販売するモデルですから。ただ、第三者機関による調査をみると、総務省の施策もあり、MVNOの市場は拡大する見込みで、これは弊社にとってもSIMロックフリー端末の市場に力を注いでいくモチベーションになります。

――「Ascend G6」はミドルレンジで、9月5日発売と先日アナウンスされた「Ascend P7」はハイエンドクラスです。この投入の順番は狙ったものですか?

 データと音声通話のプランが拡充してきたこともありますが、日本でMVNO市場に参入するにあたっては、パートナー企業と一緒に計画を立ててきました。

インカメラ800万画素、“自撮り神器”の「Ascend P7」

――「Ascend P7」のポイントはどのような点ですか?

 「Ascend P7」については、「Ascend G6」のグレードアップ版と位置づけています。「Ascend P7」は“自撮り”機能をさらに強化した“自撮り神器”を目指したもので、インカメラは800万画素になっています。

 自撮り機能では、肌のトーンを補正し、輪郭をスッキリさせる「ビューティモード」の効果を、10段階で調整できます。また、インカメラによる自撮りでも“グルーフィー”(grouphie/グループでの自撮り)ができるようになりました。これは、自撮りでみんなと写りたいのに画面に入りきらない場合、(パノラマ撮影のように)順番に3枚を撮影して、1枚の画像に合成してくれるという機能です。

 写真撮影機能もさらに強化し、例えば画面がスリープした状態からでも、ボリュームキーの下を(ダブルクリックのように)2回押すと、すぐにカメラのシャッターを切ることができます。押してからシャッターを切るまで、だいたい1.4秒程度で、一瞬も逃さない、というものです。

 「Ascend P7」は「Ascend G6」のグレードアップモデルということで、一番の特徴は自撮り機能の強化ということになりますが、それ以外にも、例えばデザインでは、背面とディスプレイ面の両方にGorillaガラス3を採用し、背面は7層構造でラミネートされた素材により繊細な模様も見えるようになっています。

 「Ascend P7」のもうひとつの特徴は、SIMカード(microSIMまたはnanoSIM)、microSDHCカードの両方に対応したスロットを2つ装備している点です。特許出願中の機能で、今後は標準的に搭載していく計画です。中国市場向けモデルでは、どちらのスロットにもSIMカードを装着できるデュアルSIM対応モデルが提供されており、今後は2枚のLTEのSIMカードにも対応する予定です。グローバルモデルでは、SIMカードとmicroSDカード、もしくはmicroSDカードを2枚搭載させることができます。


「Ascend P7」

SIMロックフリー端末は基本的にグローバルモデル

――「Ascend G6」を皮切りに提供が開始されたSIMロックフリー端末は、グローバルモデルを投入する形ですが、日本向けにカスタマイズした点などはあるのでしょうか?

 いち早く市場に投入することがエンドユーザーのためになるという観点で、グローバルモデルをそのまま日本に持ってきています。

 もっとも、これまでキャリアを通じて提供してきた日本市場向けの仕様を、グローバル端末に反映させたことはあります。例えば「Ascend P7」には防滴コーティングが施され、指紋などで画面が汚れにくくなっています。

――海外と日本で、オープンマーケットに違いはありますか?

 我々は、日本のオープンマーケットは“セミオープンマーケット”と呼んでいます。エンドユーザーがまず(SIMロックフリーの)白ロム端末を買って、どこのSIMカードを挿すか決める。これが白ロムのマーケットです。しかし日本で白ロム端末だけを買うというケースは非常に少なく、端末の購入には契約が必要で、料金も後払いになっている。これは(良し悪しではなく)コンセプトの問題でもありますが。

――そうした状況に変化が起きそうですか?

 正直なところ……読めないですね(笑)。

 ひとつ言えるのは、ファーウェイが市場の破壊者になることはない、ということです。日本でもこれまで、日本の商習慣に則って取り組んできました。例えば中国では、5インチディスプレイで599人民元(約1万円)の端末を「Honor」ブランドで提供していますが、こうした端末を日本市場で提供する予定はありません。日本に投入すると、市場を壊すと考えられるからです。

――「Ascend G6」の日本投入の発表と同時に、「Ascend P7」をはじめ、さまざまな端末の投入もアナウンスされました。どれが一番売れると考えていますか?

 一気に大きな市場シェアを獲得する、というのは非現実的ですし、一歩一歩、着実に進めていきます。

 今、MVNOというと、ローコスト、あるいは“LCC”といったことを思い浮かべる人が多いと思います。しかし、9月5日に発売する「Ascend P7」や、8月29日に発売する「MediaPad X1 7.0」は、弊社にとってはフラッグシップモデルです。グローバル市場向けのトップモデルを日本にも投入する形で、その使いやすさを体験してほしいですね。

「MediaPad X1」は狭額縁でWUXGA、LTE対応のハイスペックタブレット

――「MediaPad X1」は狭額縁でスペックも高い。リストバンド型の「TalkBand B1」はアクセサリーとしても少しユニークです。

 「MediaPad X1」は、非常に狭額縁で、7インチ、WUXGA(1920×1200ドット)の日本メーカーの液晶パネルを搭載しています。LTEに対応し、通話もできますが、耳にあてる方法では少し使いづらいという時は、「TalkBand B1」が使えます。「TalkBand B1」の黒い本体部分は、バンドから取り外すとBluetoothヘッドセットになります。耳にあてるイヤーピースは3種類のサイズが同梱され、しっかりフィットする仕組みで、簡単には落ちません。


「MediaPad X1」と「TalkBand B1」

 「MediaPad M1 8.0」にはディスプレイ側にステレオスピーカーを搭載しました。「SWS」(Super Wide Sound)と呼ぶサラウンド技術も搭載し、包み込まれるように立体的な音を楽しめます。ハードウェアの開発も強化し、ボリュームを最大にしても音が割れることはありません。

 我々の音響の研究開発ラボがドイツにあるのですが、SWSはそこで開発された技術です。開発したのは、フェラーリで車載音響システムを担当していた者で、SWSでは特許も取得しています。


「MediaPad M1」はフロントにステレオスピーカーを搭載

――SIMロックフリーでオープンマーケットと向けとしてラインナップされた端末の中には、スマートフォンだけでなく「MediaPad X1」のようなタブレットもあります。タブレットは投入しやすいようにも思えますが、どちらをプッシュしていくのでしょうか。

 スマートフォンとタブレットは、コンフリクト(衝突)しないと思っています。日本でのビジネスはパートナー企業とともに取り組んできました。どれも、パートナー企業の理解を得た上で展開しています。また、キャリアが販売されるものとMVNOは、補完関係にもある。スマートフォンとタブレット、どちらも注力していきたいですね。

――auのネットワークに対応した端末を投入する予定はありますか?

 auに対応したものはケイ・オプティコムから提供されていますね。市場にニーズがあれば、それを満たす製品が出てくるのではないでしょうか。

サポート体制は従来同様、全国をカバー

――「Ascend G6」をはじめ、キャリアではなくファーウェイが提供する端末となりますが、修理などのサポート体制はどうなっているのでしょうか。

 我々は2007年から日本で端末を提供し、キャリアを通じて累計600万台の端末を販売してきましたが、アフターサポートは日本全国をカバーできる形で整えています。これから販売する端末も、おなじ体制で、同じレベルのアフターサポートを提供します。

 日本ではアフターサービスも品質の一環ですし、日本でやるからには品質が第一でないといけない。日本市場での品質は、ローエンドモデルでもハイエンドモデルでも、同じ基準を設けています。これは日本市場に対するコミットメントで、弊社が一貫してきたものです。

 我々の、日本の端末事業に関わる社員のうち、15%は品質を専門に担当していますし、品質関連業務に携わる人間は全体の35%にもなります。

――最後の本誌読者にメッセージなどがあれば。

 自分を綺麗に撮りたかったら、ぜひファーウェイの端末を買って下さい(笑)。写真やカメラに対しては特に力を入れています。“自撮りの神器”と位置付け、海外でも売れていますから。


――本日はどうもありがとうございました。

(太田 亮三)