インタビュー

キーパーソン・インタビュー

「Y!mobile」スタートから3カ月、スマホ戦略とこれからを聞く

 ワイモバイル(Y!mobile)が8月1日から本格的にサービスを開始し、3カ月が経過した。11月13日に開催された発表会では、新モデルとして「Nexus 6」「MediaPad M1 8.0 403HW」をラインナップに加えることが発表されたほか、MNOとして初めて、1契約に複数のSIMカードを発行するオプション「シェアプラン」を導入することも明らかにされた。

 同時に、さまざまな施策もあり、大手量販店での新規契約を中心に「Nexus 5」「DIGNO T 302KC」などのスマートフォンが好調とも報告されている。

 スマートフォンの販売が拡大している背景のほか、MVNOの存在感が大きくなる中での対抗策、端末ラインナップとその戦略、10月より開始されたPHSのMNPなどについて、ワイモバイル 取締役 営業第一本部 本部長の太田靖士氏に話を伺った。

ワイモバイル 取締役 営業第一本部 本部長の太田靖士氏

スマートフォン好調の背景と、端末の新ラインナップ

――ワイモバイル(Y!mobile)が本格的にスタートしてから3カ月が経過しましたが、いかがですか? 変わった部分はありますか?

 おかげ様で順調にユーザーを増やしており、特にスマートフォンは好調です。PHSやPocket WiFiもこれまで通り提供していますが、これに新しいスマートフォンのサービスが加わりました。

 8月に「Y!mobile」にブランドを変えた瞬間、スマートフォンがキュッと増えましたね。新規のユーザーが増えているのも特徴です。

 通話定額などもあり、PHSは30代とかの比較的若いユーザー層が中心になっていましたが、今増えているスマートフォンのユーザーは40〜50代が中心になっています。想定通り、初めてスマートフォンに触れるユーザーが入ってきています。9月度で新規・MNPのユーザーを対象に調査も行いましたが、初めてスマートフォンを購入したというユーザーが54%にも上りました。

――ユーザーの心理としては、やはりスマートフォンは高いと、躊躇していたということでしょうか?

 そうだと思います。MNPでの転入も多いですし、フィーチャーフォンからのMNPも非常に多いですね。

 40〜50代では、スマートフォンに興味はあっても、やっぱり高いと感じていたことが、背景にある要因だとみています。そこに、「ガラケー並みの料金で使い放題 月額2980円」といったように、狙い通りの価格戦略がハマったといえます。また、若い年代のユーザーには、すでにスマートフォンが浸透しているという面もあると思います。

 GfKが発表している量販店の販売数では、8〜10月のAndroid端末における新規契数約・キャリア別シェアで、Y!mobileが約40%でナンバー1になりました。10月の、PHSからスマートフォンにMNPをしたユーザーの数も情報が入ってきました。我々が想定したより、MNPでPHSから他社にポートアウトするユーザーは、少なかったですね。

――11月13日に発表された新しい端末ラインナップへの反響はいかがでしょう。「Nexus 6」が加わったことで、最先端のユーザーにもフィットする形でしょうか?

 「Nexus 6」は大きな画面にAndroid 5.0という最新のOSで、リテラシーが高い人だけでなく、どなたでも使えるモデルだと思います。ただ、ハイエンドモデルですので、そういう意味ではリテラシーの高い、ガジェット好きな人向けということになりますね。

 すべての人の手元にインターネットを、という方針に沿って考えるなら、上から下までのラインナップを揃えたことになりますし、この先も揃えていくつもりです。

――新しいラインナップのひとつ、「MediaPad M1 8.0 403HW」は、ベースとなったSIMロックフリーのモデルがメーカーから提供されていますが、ワイモバイル向けにはネットワークまわりが最適化されているとも聞きました。

 そうですね。ワイモバイルのネットワーク向けに接続性を向上させています。また、搭載OSがAndroid 4.4にバージョンアップしているなどの違いもあります。

 ヤフーの提供する「Yahoo!カーナビ」が非常に便利なので、このアプリとの組み合わせも、店頭ではプッシュしていきたいですね。アクセサリーとしてスマートフォン用のカーホルダーも提供します。私も自分の車で「Yahoo!カーナビ」使ってみましたが、車に搭載していた古いカーナビよりよっぽど便利でした(笑)。

個人が持つ端末同士で“M2M”も起こりうる


――「Car Wi-Fi」の投入は意表を突かれました。

 すべての人の手元にインターネットを、ということで進めていますが、通信機器を追加すると、どうしても通信料がかかります。しかし「シェアプラン」なら、大きな負担なくできますし、親回線の契約が「スマホプランL」なら、シェアプラン自体の利用料はかかりません。追加の機器を、従来のような追加の通信料なしに利用できる。

 これからは、個人が持つ端末で、M2M(機器同士の通信)も起こりうるのです。その市場を目指していきたい。すべての人にインターネットを、というスローガンに加えて、「すべてのモノにインターネットを」という事も視野に入れていきたいですね。

 今、IoT製品が注目されていますが、例えば今のBluetoothなどはスマートフォンが近くにないと利用できない。離れた場所で使うなら、3Gや4Gの出番です。「Car Wi-Fi」などもそうしたIoTの市場を睨んだ取り組みの第1弾ですね。

――シェアプランでは今後、利用できるSIMカードの枚数が5枚や7枚といったように、増えていくのでしょうか?

 ユーザーの利用状況を見て検討します。現時点では特に決まっていません。

――「迷惑電話チェッカー」などの、他社にはないユニークな端末も多いですが、こうしたユニークな路線は今後もあるのでしょうか?

 ぜひやっていきたいですね。

――子供向け、高齢者向け端末という展開は考えていますか?

 「高齢者」といっても、パソコンをこれまで使ってきたような人が高齢になってくるケースが増えてきます。今後も(非常にシンプルな)高齢者向けの端末が必要かどうかというのは、よく見極めていく必要があると思います。今は、文字を大きくする程度なら簡単にできますし、シンプルなモードを搭載する形でいいのでは、という考え方もあります。

MVNOには店舗網やサービス品質で対抗


――MVNO各社では、格安プランなどの料金競争も激しくなっています。MNOとしてどういう立場で対抗していくいのでしょうか?

 MVNOとの料金競争は、意識をしていないわけではありませんが、料金競争はあまり考えていません。我々はサービスに加えて端末を販売しますし、どれも安ければいいというものでもない。価格とサービスのバランスを、ユーザーがどう支持するかで決まるのではないでしょうか。我々のアドバンテージは、店舗網や、端末も開発・提供できる点で、サービスの内容や質ということになると思います。

 キャリショップのほかに、量販店にも販売スペースを確保できています。アフターサービスの面で店舗があるのは大きな違いです。使いこなせない人の受付窓口にもなりますし、MVNOとの差別化という意味では大きいですね。

 ワイモバイルのショップについては、店舗数をある程度の規模の中で増やそうと考えています。効率を考えて出店しますので、ただ増やすだけではなく統廃合もあります。しかし、接点は重要で、「キャリアショップ」の形でなくても、ショップは必要だと思います。店員の質の向上も大きなテーマとして継続的に取り組んでいきます。

――「Y!mobile」のロゴやイメージとして、インターネットの「Yahoo! JAPAN」を思い浮かべると思いますが、「Y!mobile」になって、店舗でのユーザーの反応はいかがでしょうか。

 ヤフーのブランドは分かりやすいですし、「Y!」のロゴで「Yahoo!」を想起すると思います。ユーザーが理解しやすいブランドになっているのは確かで、「Yahoo! JAPAN」自体がすでに多くの人に知られている。そういう意味でも良いブランドと提携できたと思います。

 ただ、我々が提供しているのはどちらかというとインターネットのネットワーク側ですし、その点ではサービス内容で判断されているのではないかと思います。

――ショップとは別に、オンラインでも販売されています。これはどのキャリアでもそうですが、本人確認などの都合上、手続きや利便性の面で、買いづらいイメージがあります。もう少し買いやすくならないのでしょうか?

 (買いづらいのは)そう思います。ネット上の販路は、大きなテーマです。ただ、関連する法律や割賦販売、本人確認の書類のやりとりなどもあり、コストや人件費などを含めて、ハードルになっています。いろんな面で改善する準備はしていきたいですし、そこに大きなマーケットがあると、認識はしています。

 ネット上での、申し込み完了までの時間を計測すると、内容が決まっていれば、実はそれほど時間がかかるわけではありません。ただ、書類をアップロードするなどの必要な手続きは生じてしまいます。

 シンプルであるというのは、重要なサービスのひとつだと思っています。実際、ワイモバイルは他社と比べてもシンプルな料金体系になっていますので、スマートフォンが初めての方にも受け入れられたのではないかと思っています。こうした、シンプルがよいというニーズは大事にしていきたいと思います。

――訪日外国人向けのサービスという意味で、ショップでの対応を含めて、何か取り組んでいるサービスはありますか? ここ(取材現場のY!mobile コンセプトショップ)も六本木ということで、観光客の外国人が多いイメージですが。

 この店舗には、英語に対応できるスタッフを配置しています。ワイモバイルとして外国人専用のサービスは提供していませんが、SIMカードのみの販売などを含めて、今後はあり得るかもしれませんね。

――本日はどうもありがとうございました。

(太田 亮三)