インタビュー

レノボが語るモバイル戦略、日本参入の方針も

「日本でもシェアNo.1を目指す」

 中国に本拠地を構えるレノボは、今、スマートフォンメーカーとしても急成長を遂げている。IDCの調査によると、買収したモトローラと合算した2015年第1四半期の世界シェアは3位。2ブランドで5.6%のシェアとなっている。

モトローラを傘下に収め、世界3位のスマートフォンメーカーに躍り出たレノボ

 レノボのモバイルビジネス事業部幹部、ディロン・イエ氏によると、同社は傘下に収めたモトローラと、元々持っていたレノボ、2つのブランドを使い分ける戦略を採用しているという。先進国が中心の「成熟市場」ではモトローラを、スマートフォンの伸びが著しい「発展市場」ではレノボをというように、地域に合わせた展開をしている。

レノボのモバイルビジネス事業幹部、ディロン・イエ氏は、2つのブランドを使い分けていく戦略を語った。レノボとモトローラは、端末だけでなく、市場も補完関係にあるという
中国市場で急成長していたレノボのスマートフォンだが、最近では東南アジアを中心に勢力を拡大している

 巨大な中国市場を母体としており、シェアも高かったが、現在ではグローバルメーカーへの脱皮を目標にしており、海外シェアも徐々に上がっている。拡大戦略は、まさに全方位といったところ。イエ氏によると、タイミングよくマーケットに端末を投入しつつ、伝統的な小売や、キャリアとのビジネスに加え、eコマースにも力を入れているという。

 4月にレノボジャパンの代表取締役社長に就任した留目真伸氏によると、レノボとモトローラという2つのブランドは、今後も並存していく可能性が高いという。過去には、IBMからPC事業を取得し、NECと合弁会社を設立してきたレノボだが、こうした経験も複数ブランドを両立させる戦略に活かされているそうだ。留目氏は、NECとのPC事業の成功はグローバルでも高く評価されているといい、次のように語る。

「(IBMのPC事業取得を通じて)今の多様性のあるカルチャーや、グローバルに統合できるものと、そうでなくローカルに残しておくものもあるという認識ができた。NECのインテグレーションも基本的にはその辺のコンセプトを全部つぎ込んでいる。そのプロセスをいくつかのフェーズに分け、全体の戦略と合わせるところとそうでないところ、クイックに統合して成果を求めるところとそうでないところなどを振るいにかけた。レノボの機能とのすり合わせや、ミーティングの仕方までを一式まとめてツールにしたが、これをベースに(IBMから取得したサーバーの)x86やモトローラのインテグレーションをやっている」

日本でもスマホを拡大、モトローラブランドも活かす

 レノボは、グローバルでの拡大戦略の一環として、日本への本格参入も表明済みだ。すでにグーグルおよびワイモバイルから、モトローラ製の「Nexus 6」が発売されているが、この機種はあくまでグーグルのリードデバイスという位置づけ。年内には、自社が持つブランドを活かした端末も日本で発売していく。留目氏は「我々はグローバルで、スマートフォン、タブレット、PC、エンタープライズシステムのすべてを取り揃えてビジネスをしていく。コンシューマーの領域では、スマートフォンも当然やらなければいけない部分」と参入の意気込みを語る。

日本市場での意気込みを語る、レノボジャパン 代表取締役社長 留目真伸氏
モトローラ製ということでは「Nexus 6」も発売中だが、このモデルはあくまでグーグルブランド。レノボやモトローラとしての端末を日本で発売する予定だ

 日本市場で掲げる目標も大きい。留目氏は「まずはグローバルと同じぐらいのシェアは取りたい」と語る。日本は、アップルを筆頭に、ソニーやシャープなどの国内メーカーが上位を争う市場になっているが、最初のステップとして、この一角に名を連ねる方針。さらに「シェア1位のPCと同様、日本でもNo.1にならないといけない」と、規模の拡大を続けていくことを表明した。

 ただし、現時点では、参入の具体案は明かされていない。キャリア向けになるのか、MVNO市場をターゲットにしたSIMフリー端末を出すのかといった詳細は、現在検討中となる。

アジア・パシフィック地域担当プレジデントのロードリック・ラピン氏

 また、上記のように、同社はレノボとモトローラという2つのブランドを持つが、どちらが日本で本格展開されるかについても、「非常に難しい問題」だという。PCメーカーとして知名度を上げているレノボだが、一方で「マス向けにドーンとマーケティングしているわけではないので、全国的な知名度が上がったかといえば、そうでもない」。片やモトローラも、「一時的にはかなり知名度が高かったが、今は薄れてきているのも事実」だ。

 これに対し、留目氏の前任で、アジア・パシフィック地域担当プレジデントを務めるロードリック・ラピン氏は「現在、計画を策定中」と前置きしながら、「短期的にはモトローラブランドの方が、日本市場には適しているのではないか」と語っている。同氏は米国で発売され、背面パネルなどをWeb上でカスタマイズした上でオーダーする「Moto X」を例に挙げていたが、当初は、こうしたモデルを中心に日本で展開する可能性も高そうだ。

2015年のCESで展示されていた「Moto X」。オーダーメイド可能なモデルで、ラピン氏が日本導入の一例として挙げていた

(石野 純也)