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KDDI、グローバルのデータセンターで大手クラウドとの直接接続サービス

 KDDIは、海外で展開するデータセンター「TELEHOUSE(テレハウス)」で、大手クラウドサービスとのダイレクト接続サービス「TELEHOUSE Cloud Link」を提供する。4月からは米国、英国でスタートし、今後は欧州やアジア主要都市で提供する。

 「TELEHOUSE Cloud Link」は、テレハウス内に設置された導入企業のシステムと、Microsoft Azure、Amazon Web Services、Google Cloudと専用線で繋ぐというもの。セキュア度を向上させ、なおかつ低遅延な環境になる。

「デジタルのマーケットプレイス目指す」

 KDDIのグローバル事業は、東アジア(中国、台湾)、東南アジア、欧州、米州という4つのブロックに分かれて展開する。その具体的な内容のひとつは、ミャンマーやモンゴルでの携帯電話サービスのようなコンシューマー向け事業。そしてデータセンターの「TELEHOUSE」やネットワークなどのICT事業、3つ目が国際電話やデータ営業、ローミング交渉といったキャリアビジネス事業だ。

KDDI グローバル事業本部長の曽雌博之氏
3つの事業で構成

 新興国が中心のコンシューマー向け事業は、成長を牽引する勢いのある存在。一方、この4月からグローバル事業のトップとなった曽雌博之氏が「地味なグローバル事業のなかでもまた地味なのがICT事業」と評すのはICT事業だ。堅実な実績を積み上げることから、そうした表現になったようだが、それは看板と言える事業でもあることの裏返し。その中核であるデータセンター事業は、クラウドサービスの拡がり、IoTの普及、あるいは4Kのようなコンテンツの高解像度化により、同社のみならず、市場全体で、2015年と比べ2020年には10%以上の成長を遂げ、そのデータセンターを経由するデータ量は2015年の4倍になると見られている。

欧州、東南アジア、東アジア、米州にそれぞれ拠点

 世界で初めてデータセンター専用ビルを建てたこと、2012年にハリケーンがニューヨークを直撃して競合他社のサービスが続々とストップしたものの水没などを免れる設計をしていたことから唯一、継続稼働できたことなどから、海外では高い信頼を得ていると曽雌氏は胸を張る。

 さまざまな事業者に利用されることから、将来的に同社のデータセンターを「デジタルのマーケットプレイスにしたい」と曽雌氏。ここで言うデジタルのマーケットプレイスとは、企業、個人を含めてメリットを感じられるような場所であり、多くのユーザー、企業が集約されるような場というイメージ。今回の大手クラウドとのダイレクト接続サービスは、そうした環境に向けた施策のひとつと位置付ける。

 一方、5G時代では自動運転車のような利用例が期待されたり、IoTによりさまざまなデバイスが拡がるなかで、サーバーを今までよりユーザーに物理的に近い場所へ展開するエッジコンピューティングといった考え方も出てきている。データセンターという巨大な施設を展開することはその流れとは別の取り組みのように見えるが、グローバル事業を率いる立場である曽雌氏は「海外ではまだこれから」と語りつつ、インターネットを介するサービスはすべからくデータセンターを経由する形になるとの見通しを示した。

報道陣にふるまわれたコーヒーは、障害を持つKDDI社内のスタッフが提供するもの