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子供の次はシニア・プレミア世代がターゲット、トーンモバイルの今後の戦略とは

 トーンモバイルは、MVNO「TONE」において、6月からソフトウェア更新で新機能の追加を行う。また、好評だったという春のキャンペーンをシニア世代にも拡大。その上で、今年度はシニア世代の開拓に向けた戦略を本格化させるという方針も明らかにした。

シンプルさとサービス内容に注力

 5月26日には、記者向けに説明会が開催され、トーンモバイル 代表取締役社長 CEOの石田宏樹氏が登壇。トーンモバイルの今後の戦略や、直近で実施されるアップデート、キャンペーンが紹介された。

 石田氏は、現在のMVNO市場の状況を紹介しながら、非常に多くの事業者が参入している状況は、かつてインターネットサービスプロバイダー(ISP)が多数参入し、その後に淘汰されていった状況に似ていると指摘。「MVNOは同じコスト構造でやるのでレッドオーシャンになる」と、当初から過当競争を懸念していたことや、サービスをしっかりと作り込む事業者が生き残るなどとして、これらへの対策として「TONE」では早い段階で「1機種1プラン」のシンプルな構成でサービス・サポートの拡充を中心に進めてきたことを語った。

 このシンプルな提供形態は、最近になって、知名度の向上にもプラスに働いているという。「昨年の12月ごろを節目として、変わってきたと感じる。他社の参入で(煩雑な)情報が増え、TONEが評価されるようになった」(石田氏)。

 石田氏は、「TONE」がソフトウェア更新で機能を拡充してきた様子を振り返ったほか、最近の動向では、端末と「TONEファミリー」機能が、東京都を含む9都県市の「推奨端末」に認定されたことを改めて紹介した。この「推奨」は東京都では4年半も認定がなかったとのことで、審査には1年かかったという。子供向けの機能も、「TONE」ではすでに約4年にわたって開発・提供しながら内容を拡充しており、マーケティングキーワード以上にサービスの実態に注力している様子を語る。

10代ユーザーが激増、満足度や退会率も公表

 こうした子供向けや家族向けの機能が充実してきたことを背景に、2017年3~4月の春商戦向けのキャンペーンでは、19才以下は全員、1年間無料という内容で実施。結果、3~4月を終えると10台以下の利用者が65%にまで上昇、若年層が爆発的に増加した様子を紹介した。この間、家族向けの機能を統合した「TONEファミリー」機能の入会率は94%に達したと、またブランド認知度は2017年5月末で19%で、「もう少しでキャズムを超える。匍匐(ほふく)前進のように認知度を高めているところ」と、地道な努力を続けている様子を語った。

 同氏は認知度がじわりと上がっていることとあわせて、顧客満足度と退会率にもついても明らかにし、ソフトウェアとサービスの向上を続けることで、最新でも86.5%と、高い顧客満足度を維持できている様子や、退会率は2017年5月時点で1.2%と、大手キャリア並みの低い値に収まっていることを紹介した。

実態は多様なシニア・プレミア世代にターゲットを拡大

 3~4月の春商戦は10代のユーザーの取り込みに成功したとする同社は、6~7月はターゲット層の拡大を明確にする。具体的には、「TONE」の構想段階でも戦略として描かれていたシニア世代にも、ターゲットを広げる。

 子供向け市場は人口が絶対的に少ないことから、市場の大きさは限定的な側面がある。19才以下は2179万人である一方、50~90才は合計で5816万人と3倍近く、「TONE」でもこの世代の利用の拡大に本格的に取り組む形。

 子供向け機能と同等に、シニア世代に向けた機能も2013年から提供し、すでに4年にわたって拡充している。具体的には、わかりやすさを追求したUIにはじまり、遠隔サポート、家族間サポート機能、パッケージを利用した「置くだけサポート」、健康管理の理論と合わせたライフログ機能などを提供してきた。

 石田氏は、現在の34才はファミコンネイティブ世代、10才はスマホネイティブ世代といった具合に、生まれた時や幼少期に何に触れて育ってきたかで、その後のテクノロジーへの接し方が決まるというネイティブ理論を取り上げ、今後ターゲットにするというシニア世代(現時点で50才以上)は、カラーテレビやモノクロテレビが普及したころに育ったと指摘。加えて、時代や世代として音楽や映画、旅行などに興味を広げていった「カルチャー世代」であり、これはTSUTAYAが提案する領域と重なるとして、CCCグループに強みがあるとする。

※「千」は誤植
※「千」は誤植
※「約4年」が正しい

シニア世代の「3つの不安」を解消

 一方で、「団塊の世代」を含むこれらの世代は、経済不安、健康不安、孤独不安という3つの不安を抱えているとし、「TONE」のシニア世代をターゲットにした戦略では、こうした不安も解消していくとする。石田氏は、既存のプロダクトやサービスでも「不安の解消」には足りないと指摘、実際の施策としては、ソフトウェアを中心としたプロダクトのアップデートと、「魅力的なキャンペーン」の2つが中心になる。

 石田氏は、「不安を感じているシニア世代は、あっと驚く機能を提供しても動かない。不安を丁寧に解消していく必要がある」という基本方針を示した上で、シニア世代は全体として「やがてフィーチャーフォンが無くなる」という不安を感じていると指摘し、転じて「スマートフォンを使う不安」を解消していくという点が基本とする。

 すでに実施されているものでは、具体的には、TONEの販売店舗にて、フィーチャーフォンのアドレス帳をスマートフォンに移行する仕組みを無料で提供する。フィーチャーフォンの赤外線通信の仕様をつぶさに調べたとのことで、他社では有料で提供している内容という。

 また、スマートフォンの使い方を学べる「無料スマホ講座」を全国18カ所で月平均3.5回開催していること、端末からサービスまで網羅した紙の取扱説明書を作成し、毎月内容を更新していること、フィーチャーフォンのユーザーに向けた使い勝手が特徴の「TONE UI」などを紹介した。

メールの文章は音声入力、「歩いてTポイント」はキャンペーンで10倍に

 さらに、6月1日には「TONE」で標準で提供されるメールアプリ「TONE Mail」をアップデートし、件名や本文の入力の際に音声入力用のマイクのボタンを追加し、Googleの音声認識機能と連携して長文でも入力しやすくする。トライアル提供では、非常に好評とのことで、やりとりする文章量も格段に増加するという。

 トラブル対策では、政府を中心に消費者ホットライン(188)が案内されているが、「TONE」の7割のユーザーが使っているというIP電話では特番の188に発信できないため、188がダイヤルされると、GPSにより現在地を把握した上で、最寄りの消費者センターを代わりに案内する機能を提供する。

 シニア世代・プレミア世代は、実際には非常に細分化されており、何事にもこだわりの強い人や、プライドの高い人も多いという。そこで、「見守り機能」についても、内容を少し緩和した「簡易見守り機能」を提供する。家族向けの通知機能では、予め設定した歩数に達していない場合のみ通知するといった形での利用が可能になる。

 「TONE」のライフログ機能は、青柳幸利氏の研究結果を反映し、1日8000歩と20分以上の中強度の運動(早歩きなど)が生活習慣病を防ぐとして推奨されているが、これをクリアした際に獲得できるTポイントは、まだまだ獲得しているユーザー数が少ないとして、6月1日~7月31日の2カ月間はキャンペーンとしてポイント獲得を10倍に引き上げる。

 このほか今後提供されるソフトウェアでは、画面を停止させて拡大や移動が行える拡大鏡アプリや、画面の外側からなぞると表示できるショートカットメニューも追加する。

“1年間は無料”が50才以上に拡大

 「TONE」ではさらに、春商戦で好評だった「1年間無料、または端末を1万円引き」というキャンペーンを50才以上の契約者にも提供する。期間は6月30日まで。

 石田氏は、「子供ナンバー1の後は、プレミア(世代)ナンバー1。次の発表会では大きなアップデートも発表できると思う」とし、今回の発表のように、CCCグループとしての強みを活かしながら今後も続々と拡充していく方針を示している。